一度寝ただけの同僚に軟禁されました

ブッカー

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過去とこれから

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俺はフィストのオフィスを出て、軍施設を後にした。
守衛には少し引き留められたが、なんとか断って不動産屋に会いに向かった。
不動産屋には事前に要望は伝えていたので、それを元に物件を紹介してもらうことになっている。
約束の場所に行くと、案内してくれる担当者の車に乗っていくつか物件を回った。

「こちらはどうでしょうか?」
「うん、こっちもいいね。迷うな……」

三軒ほど見て回って、ラストの物件を見た後担当者が言った。
紹介してもらった物件はどれも良いものだった。家賃も予定より安いし場所もいい。

「改装が多少は必要でしょうが、条件によっては買い上げてもいいそうです」
「うーん、それも考えてたんだけどな。実際にどこまでできるか分からないしな……」
「それは後からでも変更できるそうです。しばらくここを使ってみてから考えてみては?」
「あ、それでもいいんだ。うーん本当に迷うな」

俺は腕を組んで考え込む。

「まだ時間がありますので、よく考えてからで大丈夫です」
「そうなんだ。じゃあ、少し考えさせてもらおうかな」
「決まりましたら、いつでもご連絡して下さい」
「ありがとう。それにしても、こんなにいい物件ばかり本当に助かった。良かったんですか?」

俺はここの地域では新参者だ。信用もないのに、こんなにいい物件ばかりを紹介してもらえるとは思わなかった。

「フィストの紹介ですから。間違いはないと思いまして。それにここは静かでいい場所ですが、田舎なので店を開店していただけたら、街も活気が付きます」

不動産屋がニコリ笑って言う。。そうなのだ、彼はフィストを介して紹介して貰った。

「たしかハイスクールで友達だったんですよね?」
「ええ、フィストとはその時からの付き合いなんです。最近はお互い仕事でたまにしか会わなくなったんですけど」

不動産屋はそう言って苦笑した。

「そういえばフィストはハイスクールではどんな感じだったんですか?まあ、今と同じで優秀だったんだろうけど」
「ええ、成績も優秀で友達も多かったですよ。それでスポーツもトップクラスですからね。学校でも目立つ存在でしたよ」

予想通りだったがやはり想像していた通りだったようだ。

「凄いな、もし俺が同級生だったら喋ることすらなかっただろうな.。それじゃあ、モテてたんじゃないか?」
「それはもう、凄かったですよ。でも幼馴染のリリアスと付き合ってたし、付き合いが長いぶん割って入る隙もなかったな。だから離婚したって聞いた時は驚いたよ」
「……それは、確かに」
「一時期、そのせいか元気が無かったな」

不動産屋は思い出すように言った。

「そんなに落ち込んでたんですか」
「一見そうは見えなかったけど。明らかにお酒の量が増えてたな」
「ああ、再会した時もバーで飲んでました」

家も荒れてたし、酒の瓶も沢山転がっていた。

「ヤンは?確かフィストとは軍でお知り合いになったんですよね」
「俺は、本当に短い間だったけどな。だからこんなに良くして貰って申し訳ないくらだよ」
「そんなこと無いでしょう。この間会った時は前より声が明るくなっていた。きっとあなたといることで気持ちも切り替わったんじゃないかな?」
「そうだといいですけど」

まあ、色々あったからなと思いながら俺は首を竦めて言った。
フィストと何があったのか知ったら卒倒するだろうなと思いながら苦笑する。
物件に関してはもう少し考える事にして、またいい物があれば知らせるということになった。
そうして、その日はそれで家に戻った。

「それにしても、フィストはやっぱりモテてたんだな……」

家に帰って食事の準備をしながら、俺はぼそりと呟く。
それは当然だろうなとは思ったものの、少し複雑な気持ちになる。成り行きで変な関係になり好きになったが、二人の関係は複雑でややこしい。
誰にも知られることのない関係だ。何かあれば、すぐ終わってしまう。

「まあ、その方がフィストにはいいかもしれないな……」

男の俺と一緒にいても、誰にも言えないしどこまでもうしろめたさが付きまとう。俺は男同士でも特に気にならないが、世間はそうじゃない。
本当ならフィストは女性と付き合った方がいい。

「ただいま」

少ししんみりした気持ちになっていたところに、フィストが帰って来た。

「お帰りー」

丁度、手が離せなかったので返事だけですませる。フィストの声を聞いたら少し気持ちが持ち直した。
この先はどうなるか分からない。フィストがどんな答えを出すのか、もしかしたらずっと出ないかもしれない。
結局のところ、俺は何も出来ない。
その時、フィストに後から抱きしめられた。

「どうしたんですか?食事はもう少しで出来ますよ?」
「……帰ったら続きをするって……」

俺が聞くと、フィスト恥ずかしそうに小さな声でぼそりと言った。そして、さらにギュッとだきしめる。腰にはすこし硬くなったものが押し当てられていた。
続きとは軍施設で冗談めかして言った言葉だ。もしかして今日ずっとその事を考えて楽しみにしていたのだろうか。

「せっかちですね。食事はどうですか」

そう言いつつ抱きしめられた腕に触れながら、首を捻って軽くキスをする。

「まだ、お腹は空いてないから……」

フィストは言い訳するように言う。その言葉に俺は笑った。可愛くて可愛くて仕方がなくなる。

「仕方ないですね。じゃあ、食前の運動でもしましょうか」

そう言ってコンロの火を消し抱きしめ返す。
そうして、もう一度キスをする。次はさっきよりさらに深く、そうしてそのまま俺達はキッチンで昼間の続きを行った。
ガタンと音がして俺はテーブルの上に乗せられる。ベッドルームに行く余裕は無かった。息をつく暇もなくキスをされながらお互いの服を脱がし合う。
フィストの積極的な態度に俺も余裕がなくなってきた。もっと近づきたい直接触れたい。
隙間なく抱きしめたいけど、早く繋がりたい、ズボンが片足に引っかかったままの状態でフィストの固く勃ちあがったものが添えられた。

「あ、濡らさないと」
「フィスト、そのままでいいですよ。早くしてほしい」
「っでも……」
「じゃあ、これ使わせてもらいますね」

フィストが躊躇しているのを見て、近くにあったオリーブオイルを手に取る。トロリと手につけると指を入れてほぐす。足を開いて指を入れ、ゆるゆると動かす。昨日の夜も散々フィスト、としたので柔らかい。
それを見ていたフィストがゴクリと喉を鳴らした。

「美味しそうですか?」
「あ、ああ……」

フィストは真っ赤になりがながらもごもご言った。嬉しくてフィストを引き寄せてキスをする。

「フィストも手伝って下さい」
「ああ」

ほぐしていた場所に太くてゴツゴツしたフィストの指が入ってきた。少し乱暴だけどその刺激が逆に気持ちよくて体がさらに熱くなっていく。
指で探られているだけなのにすぐにイッてしまいそうになるぐらい気持ちがいい。

「ヤン、悪い。もう我慢出来ない」
「俺も早くして欲しい。入れて下さい……」

少し、早い気もするがもう待てない
それよりも早くフィストを感じたかった。それを聞いたフィストは俺の膝裏を掴み持ち上げると、体を入れ込み硬く勃ちあがったものをそこに添える。

「っく……」
「あっ……ぅっ」

ビリっと痛みが走ったがそれはすぐに快楽に変わる。思わず背中を反らし、中を締め付けた。
無意識に声が漏れる。

「んあ……」

もっと深くに欲しくてフィストの体に足を絡めて自分の方に引き寄せると、フィストも気持ちよさそうに顔をしかめた。

「フィスト……」

フィストと目が会う。熱を持ったその視線で胸が高まる。
何も言わずもう一度キスをすると同時にフィストが激しく動き出す。テーブルが激しくガタガタいう。

「ヤン、……ヤン……」

フィストは俺の胸を探る。濡れた指が乳首をこねるので更に気持ち良くなっていく。
フィストが必死に腰を振りぐちゃぐちゃになるまでキスをする。
その姿にさらに愛おしさが増す。
そんな風にお互いを貪り合うようにセックスをしていたら、あっという間に一時間が経っていた。
抜かずに二度の射精した後、引き抜くと大量の精液がテーブルに溢れる。

「あー、汚れちゃった」
「悪い……」

フィストは気まずそうに言う。

「いいですよ。拭けばいいですから。それより、夕食がまだですね。っていうか先にシャワーを浴びないと」
「ああ、そうだった。悪い、夕食がまだだったな。忘れてた」

すまなそうにフィストが頭をかく。

「いいですよ、時間はありますし気持ちよかったですしね。食事終わったら、またしましょう。フィストのここはまだ元気みたいだし」

そう言ってフィストのそこに触れる。そこはまだ芯が残っていて、固い。軽く手で扱くとそこがビクビク反応した。まだまだ出来そうだ。

「っちょ……そ、そんなに……何回も……」
「じゃあ、やめときますか?」
「い、いや。その……ヤンがしたいなら……」

やめるというと、フィストは慌てて言う。
俺はクスクス笑いながら「じゃあ、急いでシャワーを浴びて食事にしましょう」と言って俺はテーブルから降りる。
その時、電話が鳴った。

「ヤン、先にシャワーを浴びてくれ。電話は俺が出る」
「わかった」

俺は言葉に甘えて、バスルームに向かう。
簡単にシャワーで汗を流して出る。タオルで頭を拭きながらキッチンに戻ると、フィストが何故か慌てたように服を着て出かける準備をしていた。

「どうしたんですか?」
「ああ、ちょっと緊急の仕事が出来て、戻ることになった」
「何かあったんですか?」
「ちょっと問題が起きた。悪いが食事も無理そうだ。先に寝ていてくれ」
「わかりました、気を付けて下さい」

フィストの仕事ということは軍関係だろう。深刻そうな顔をしていたから。何かあったのか心配になる。
こんな事なら、食事を先にすればと後悔しながら、俺はフィストを見送った。
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