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新たな関係
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「おはようございます」
朝、いつものように食事を準備しているとフィストがキッチンダイニングにやってきた。
「ああ……おはよう」
フィストは少し戸惑ったような表情だ。昨日、俺は一度、軟禁から解放されたが自分の意志で戻ってきた。
フィストは少し目をウロウロさせたあと、ダイニングの椅子に座った。
俺にとっては昨日と同じような日常だったが、フィストは戸惑っているようだ。
何も無かったように食事を出す。昨日と違うのは足に手錠が付いていないだけだ。
今日の朝食は目玉焼きとベーコン、それから淹れたてのコーヒー。
「どうぞ」
「あの……ヤン……」
何か言いたそうにフィストが言った。
「どうしました?」
「本当にいいのか?」
「何がですか?」
「軟禁してたのに、戻って来て良かったのかと思って……」
「まあ、常識から考えればどうかとは思いますが、特に損もしてないですしね」
「そうか……じゃあ、これからどうするんだ?」
「とりあえずしばらくここに泊まらせてもらって、最初の目的だった物件探しでもしようかな……」
元々この街には店を開店するために、物件を探しにきたのだ。まだ、この街で開店するか決めては無いが、どうせなら。
「ああ、そう言えばそんな事を言っていたな」
「まあ、特に期限は決めてませんから、少し気になることもあるし……休暇と思ってのんびりしようと思ってます」
「そうか。ここにはいつまでいてもいいからな。出ていけとは言えない」
フィストは何故かホッとしたような表情になってそう言った。
「ありがとうございます。その先の事はこれから考えていこうと思います。よろしくお願いしますね」
「ああ……」
そんな会話をしながら食事を進める。
「あ、そうだ。今日は余裕があったのでランチも作ったんです。良かったら仕事に持って行って下さい」
食事が終わって、出勤の準備をしているフィストに俺はそう言った。
「ありがとう、こんな事まで悪いな。……そう言えば、さっき言っていた、気になる事ってなんだ?」
フィストが思い出したように聞いた。
「それはもちろんフィストの事ですよ」
「俺?」
「なんで、軟禁なんてしようとしたのか気になって。実は離婚してたのにそれを隠してり、隠したいのに軟禁したことも意味が分からないですしね」
「まあ……確かに……」
フィストは自分の事なのに、ぼんやり答える。
「フィストも真剣に考えて下さいよ。軟禁までしたんですから、協力してくれますよね。俺だけじゃ分からないんですから」
「そうだな……確かにきちんと考えた方がいいな……」
すこし頼りない返事だが、フィストは扱く真面目な表情で言った。
こうして、終わったかと思った二人の生活はまた始まった。
俺は、フィストに言った通りとりあえずのんびりと過ごした。
家事にはもう慣れたし、部屋はあらかた綺麗になったので暇な時間の方が多いくらいだ。
一度まとめた自分の荷物を解いたりあらためて整理をして、体を動かして適当に過ごしていると、フィストが仕事から帰ってくる。
いつものように食事の準備をしていた時、ふと思い出した事があって俺は聞いた。
「そう言えば、忘れてたけど昨日何か買ってきたって言ってませんでした?」
元奥さんのことがあってすっかり忘れていたが、フィストが昨日帰って来た時何か言っていたのを思い出した。
「ああ、そういえは俺も忘れていたな」
フィストはそう言って、買って来た物を持って来た。
「何ですか?」
「服だよ。必要かと思って」
そう言ってフィストは大きな紙袋を持ってきて置いた。
「ありがたいですけど。……それにしては多くないですか?」
置かれた紙袋はやけに大きい。しかも二袋もあるのだ。
「どれも似合いそうだと思ったから……ほら、これとか絶対に似合うぞ」
フィストは嬉しそうに服を取り出し、俺の体に合わせてみせる。
「そうですか?」
フィストはさらに他の服も取り出して、これもこれもと俺に渡す。
「うん。着てみてくれ。そうだ、車にもまだあるんだった」
「え?まだあるんですか?」
呆れたことに服はまだあるようだった。フィストは車から同じ大きさの紙袋を二つ持って戻ってきた。
「店で見ていたら買いたくなってしまってな……うん、やっぱり似合う」
せっかくだからと、着てみるとフィストはまたもや嬉しそうに言う。何がそんなに嬉しいのかよくわからない。
フィストはさらに買ってきた服を俺に手渡してくる。
「よくサイズがわかりましたね。っていうかこんなに一気に着れないですよ……」
困りつつもそう言った。せっかくだからと何着か着てみる。
「必要ない物は捨ててもいいし、何なら売ってしまってもいいぞ」
フィストはまた袋から服を取り出し、俺に押し付けるように渡す。
「流石にそれは……」
「これで、償いにはならないだろうけど。これくらいは受け取ってくれ」
「……分かりました。そうだ、そろそろ夕食にしましょう」
ちょっと必死な感じでフィストが言うので俺は諦めてそう言った。それに、旅だからとあまり服の種類が無かったから、ありがたい。
服を着替えていたらかなり時間が経っていた。フィストもそれに気が付いたのか苦笑している。
その後、二人で食事をする。
朝は少しギクシャクしていたが、フィストは少し慣れてきたようだ。
何気ない会話をしながら、作ったものを食べる。
「今日の夕食も旨いな。こういうのはどこで教わるんだ?」
「ありがとうございます。元々親も店を経営していて、ある程度の年になったら自分で作るようになったので、自然に覚えた感じですね」
「親御さんも店をしているのか。だからヤンも店を持ちたいのか?」
「ええ、実は色々あって親の店は潰れてしまったので、それを復活させたいっていうのもあったんです」
店が潰れたのは本当に不運な出来事だった。最初は父親が病気になった事がきっかけだった。その治療のために店は休みがちになり、そうすると自動的にその間は稼ぎがなくなる。
それなのに、治療費はどんどん膨らんでいく。
しかも治療のかいなく父は死んでしまった。
だから、店は手放す他なかった。
「そうだったのか……」
「見ての通り、俺は移民の二世で親戚も近くにいなかったし、俺は丁度良く魔力があったので、手っ取り早く金を稼ぐには軍に入るのが一番早かったんです」
「親御さんは、東の大陸からの移民なのか?」
「ええ、俺はここで生まれたのでその当時の事は話でしかか知らないですけど」
俺は見た目は東大陸人だが生まれも育ちもここなので、ルーツの国の事はあまり知らない。一度くらいは行ってみたいが、そこまで興味もなかった。
「東大陸か……俺も行った事はないな」
そんな風に会話をしていた時、俺はふと思い出して聞いてみた。
「そういえば、もう俺とセックスはしないんですか?」
「ッ……ゲホ、ゲホ……な、なに?」
フィストはいきなり、むせた。
「いや、昨日まで隙さえあればしようとしてたから。今後はどうするのかと思って……」
「い、いや。俺はどちらかというと罪滅ぼしをしないといけないのに、そんなことしたいとは言えない」
まあ、確かに昨日から状況は変わってないが、関係性は変わった。
軟禁されていると言う立場から、ほぼ対等か俺の方が立場が上になったのだ。
「じゃあ、したいって気持ちはあるんですか?」
「う、そ、それは……」
フィストは顔を真っ赤にさせながらもごもご言う。
「まあ、俺はどっちでもいいんですけどね」
「嫌じゃないのか?」
「俺はどちらかと言うとヘテロですけど、抵抗はないしぶっちゃけると気持ちいいことは好きなので、嫌ではないですよ。そもそも最初は俺から無理矢理したようなものですし……」
軍でディアボルスと戦い、フィストが怪我をした時にしたのは俺からだった。必要だと思ったからしたのだが、少し後ろめたい。
「そうなのか……じゃあ……い、いや、駄目だやめておこう」
フィストは俺の言葉に迷ったような素振りをした、が思い直してそう言った。
「そうですか……」
慌てる様子が少し可笑しくて、俺は少し笑いながら答える。自分よりがたいのいい男なのに可愛いと思ってしまった。
食事が終わったので食器を片付ける。いつものようにフィストが食器を洗い始めた。
俺もその隣で洗った物を布巾で拭いていく。
「フィスト、実は今日色々考えてみて。少し確かめたい事があるんですけど……」
「なんだ?」
「一度、他の男とセックスしてみません?」
「はっ?あっしまった!」
フィストは驚いて洗っていた食器を落としてしまった。ガシャン!と音がする。幸いにも割れたりはしていないようだ。
「大丈夫ですか?」
「い、いきなり何を言いだすんだ?前も言ったが、俺は男となんて興味無いぞ」
フィストはオロオロしながら言う。
「それは聞きましたけど、その割に俺とはできるし、したがるでしょ?」
「そ、それは……」
フィストはまたもごもごと答える。今日、荷物の整理をしながらこの事を考えていた。
「フィストは離婚の事を隠していた事を、自分でもなんでそんな事をしていたかわからないって言ってたじゃないですか。だから、フィストは自分で自分の事よくわかってないんじゃないかと思って」
「ま、まあ、確かにな……」
フィストは考えこむように言う。
「それに、実は奥さんから離婚理由を聞いたんです」
「そうなのか……」
「勝手に聞いてすいません。ただ、奥さんと出来なかったって事は女性がダメなのかもしれないじゃないですか。それを確かめるためにも、色々試してみてもいいのかなって……」
チラリと隣を見ると、フィストは考え込んでいるのか、難しい顔をしている。プライベートなことに踏み込みすぎたかなと思いつつ、ここまで来たらあまり関係ないよなと思い直す。
「妻と出来なかったのは……」
「理由はわかりますか?」
「……いや、俺もわからなかった。わかっていたらどうにか解決したかったよ」
「だから、実際に他を試してみれば何かわかるかもしれませんよ。実験してみて、出来なかったとしても出来ないってことが確実に分かるだけですし」
可能性が一つ潰れれば、他の可能性について考えられる。
そういうとフィストは一応納得してくれたようだ。
「わかった、試してみよう」
そんなわけで俺達は早速相手を探しに街に出かけた。
朝、いつものように食事を準備しているとフィストがキッチンダイニングにやってきた。
「ああ……おはよう」
フィストは少し戸惑ったような表情だ。昨日、俺は一度、軟禁から解放されたが自分の意志で戻ってきた。
フィストは少し目をウロウロさせたあと、ダイニングの椅子に座った。
俺にとっては昨日と同じような日常だったが、フィストは戸惑っているようだ。
何も無かったように食事を出す。昨日と違うのは足に手錠が付いていないだけだ。
今日の朝食は目玉焼きとベーコン、それから淹れたてのコーヒー。
「どうぞ」
「あの……ヤン……」
何か言いたそうにフィストが言った。
「どうしました?」
「本当にいいのか?」
「何がですか?」
「軟禁してたのに、戻って来て良かったのかと思って……」
「まあ、常識から考えればどうかとは思いますが、特に損もしてないですしね」
「そうか……じゃあ、これからどうするんだ?」
「とりあえずしばらくここに泊まらせてもらって、最初の目的だった物件探しでもしようかな……」
元々この街には店を開店するために、物件を探しにきたのだ。まだ、この街で開店するか決めては無いが、どうせなら。
「ああ、そう言えばそんな事を言っていたな」
「まあ、特に期限は決めてませんから、少し気になることもあるし……休暇と思ってのんびりしようと思ってます」
「そうか。ここにはいつまでいてもいいからな。出ていけとは言えない」
フィストは何故かホッとしたような表情になってそう言った。
「ありがとうございます。その先の事はこれから考えていこうと思います。よろしくお願いしますね」
「ああ……」
そんな会話をしながら食事を進める。
「あ、そうだ。今日は余裕があったのでランチも作ったんです。良かったら仕事に持って行って下さい」
食事が終わって、出勤の準備をしているフィストに俺はそう言った。
「ありがとう、こんな事まで悪いな。……そう言えば、さっき言っていた、気になる事ってなんだ?」
フィストが思い出したように聞いた。
「それはもちろんフィストの事ですよ」
「俺?」
「なんで、軟禁なんてしようとしたのか気になって。実は離婚してたのにそれを隠してり、隠したいのに軟禁したことも意味が分からないですしね」
「まあ……確かに……」
フィストは自分の事なのに、ぼんやり答える。
「フィストも真剣に考えて下さいよ。軟禁までしたんですから、協力してくれますよね。俺だけじゃ分からないんですから」
「そうだな……確かにきちんと考えた方がいいな……」
すこし頼りない返事だが、フィストは扱く真面目な表情で言った。
こうして、終わったかと思った二人の生活はまた始まった。
俺は、フィストに言った通りとりあえずのんびりと過ごした。
家事にはもう慣れたし、部屋はあらかた綺麗になったので暇な時間の方が多いくらいだ。
一度まとめた自分の荷物を解いたりあらためて整理をして、体を動かして適当に過ごしていると、フィストが仕事から帰ってくる。
いつものように食事の準備をしていた時、ふと思い出した事があって俺は聞いた。
「そう言えば、忘れてたけど昨日何か買ってきたって言ってませんでした?」
元奥さんのことがあってすっかり忘れていたが、フィストが昨日帰って来た時何か言っていたのを思い出した。
「ああ、そういえは俺も忘れていたな」
フィストはそう言って、買って来た物を持って来た。
「何ですか?」
「服だよ。必要かと思って」
そう言ってフィストは大きな紙袋を持ってきて置いた。
「ありがたいですけど。……それにしては多くないですか?」
置かれた紙袋はやけに大きい。しかも二袋もあるのだ。
「どれも似合いそうだと思ったから……ほら、これとか絶対に似合うぞ」
フィストは嬉しそうに服を取り出し、俺の体に合わせてみせる。
「そうですか?」
フィストはさらに他の服も取り出して、これもこれもと俺に渡す。
「うん。着てみてくれ。そうだ、車にもまだあるんだった」
「え?まだあるんですか?」
呆れたことに服はまだあるようだった。フィストは車から同じ大きさの紙袋を二つ持って戻ってきた。
「店で見ていたら買いたくなってしまってな……うん、やっぱり似合う」
せっかくだからと、着てみるとフィストはまたもや嬉しそうに言う。何がそんなに嬉しいのかよくわからない。
フィストはさらに買ってきた服を俺に手渡してくる。
「よくサイズがわかりましたね。っていうかこんなに一気に着れないですよ……」
困りつつもそう言った。せっかくだからと何着か着てみる。
「必要ない物は捨ててもいいし、何なら売ってしまってもいいぞ」
フィストはまた袋から服を取り出し、俺に押し付けるように渡す。
「流石にそれは……」
「これで、償いにはならないだろうけど。これくらいは受け取ってくれ」
「……分かりました。そうだ、そろそろ夕食にしましょう」
ちょっと必死な感じでフィストが言うので俺は諦めてそう言った。それに、旅だからとあまり服の種類が無かったから、ありがたい。
服を着替えていたらかなり時間が経っていた。フィストもそれに気が付いたのか苦笑している。
その後、二人で食事をする。
朝は少しギクシャクしていたが、フィストは少し慣れてきたようだ。
何気ない会話をしながら、作ったものを食べる。
「今日の夕食も旨いな。こういうのはどこで教わるんだ?」
「ありがとうございます。元々親も店を経営していて、ある程度の年になったら自分で作るようになったので、自然に覚えた感じですね」
「親御さんも店をしているのか。だからヤンも店を持ちたいのか?」
「ええ、実は色々あって親の店は潰れてしまったので、それを復活させたいっていうのもあったんです」
店が潰れたのは本当に不運な出来事だった。最初は父親が病気になった事がきっかけだった。その治療のために店は休みがちになり、そうすると自動的にその間は稼ぎがなくなる。
それなのに、治療費はどんどん膨らんでいく。
しかも治療のかいなく父は死んでしまった。
だから、店は手放す他なかった。
「そうだったのか……」
「見ての通り、俺は移民の二世で親戚も近くにいなかったし、俺は丁度良く魔力があったので、手っ取り早く金を稼ぐには軍に入るのが一番早かったんです」
「親御さんは、東の大陸からの移民なのか?」
「ええ、俺はここで生まれたのでその当時の事は話でしかか知らないですけど」
俺は見た目は東大陸人だが生まれも育ちもここなので、ルーツの国の事はあまり知らない。一度くらいは行ってみたいが、そこまで興味もなかった。
「東大陸か……俺も行った事はないな」
そんな風に会話をしていた時、俺はふと思い出して聞いてみた。
「そういえば、もう俺とセックスはしないんですか?」
「ッ……ゲホ、ゲホ……な、なに?」
フィストはいきなり、むせた。
「いや、昨日まで隙さえあればしようとしてたから。今後はどうするのかと思って……」
「い、いや。俺はどちらかというと罪滅ぼしをしないといけないのに、そんなことしたいとは言えない」
まあ、確かに昨日から状況は変わってないが、関係性は変わった。
軟禁されていると言う立場から、ほぼ対等か俺の方が立場が上になったのだ。
「じゃあ、したいって気持ちはあるんですか?」
「う、そ、それは……」
フィストは顔を真っ赤にさせながらもごもご言う。
「まあ、俺はどっちでもいいんですけどね」
「嫌じゃないのか?」
「俺はどちらかと言うとヘテロですけど、抵抗はないしぶっちゃけると気持ちいいことは好きなので、嫌ではないですよ。そもそも最初は俺から無理矢理したようなものですし……」
軍でディアボルスと戦い、フィストが怪我をした時にしたのは俺からだった。必要だと思ったからしたのだが、少し後ろめたい。
「そうなのか……じゃあ……い、いや、駄目だやめておこう」
フィストは俺の言葉に迷ったような素振りをした、が思い直してそう言った。
「そうですか……」
慌てる様子が少し可笑しくて、俺は少し笑いながら答える。自分よりがたいのいい男なのに可愛いと思ってしまった。
食事が終わったので食器を片付ける。いつものようにフィストが食器を洗い始めた。
俺もその隣で洗った物を布巾で拭いていく。
「フィスト、実は今日色々考えてみて。少し確かめたい事があるんですけど……」
「なんだ?」
「一度、他の男とセックスしてみません?」
「はっ?あっしまった!」
フィストは驚いて洗っていた食器を落としてしまった。ガシャン!と音がする。幸いにも割れたりはしていないようだ。
「大丈夫ですか?」
「い、いきなり何を言いだすんだ?前も言ったが、俺は男となんて興味無いぞ」
フィストはオロオロしながら言う。
「それは聞きましたけど、その割に俺とはできるし、したがるでしょ?」
「そ、それは……」
フィストはまたもごもごと答える。今日、荷物の整理をしながらこの事を考えていた。
「フィストは離婚の事を隠していた事を、自分でもなんでそんな事をしていたかわからないって言ってたじゃないですか。だから、フィストは自分で自分の事よくわかってないんじゃないかと思って」
「ま、まあ、確かにな……」
フィストは考えこむように言う。
「それに、実は奥さんから離婚理由を聞いたんです」
「そうなのか……」
「勝手に聞いてすいません。ただ、奥さんと出来なかったって事は女性がダメなのかもしれないじゃないですか。それを確かめるためにも、色々試してみてもいいのかなって……」
チラリと隣を見ると、フィストは考え込んでいるのか、難しい顔をしている。プライベートなことに踏み込みすぎたかなと思いつつ、ここまで来たらあまり関係ないよなと思い直す。
「妻と出来なかったのは……」
「理由はわかりますか?」
「……いや、俺もわからなかった。わかっていたらどうにか解決したかったよ」
「だから、実際に他を試してみれば何かわかるかもしれませんよ。実験してみて、出来なかったとしても出来ないってことが確実に分かるだけですし」
可能性が一つ潰れれば、他の可能性について考えられる。
そういうとフィストは一応納得してくれたようだ。
「わかった、試してみよう」
そんなわけで俺達は早速相手を探しに街に出かけた。
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