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アカネとサオリ 01
04 データが逃げる理由
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データが逃げている。
「……逃げてる」
「逃げてるね」
「何で?」
「僕が知るわけがない。プログラムしてないんだから」
「データが意思でも持っていると?」
「それを言われても――」
「じゃあ、なに?」
「知らないけど。データが動く設定にしていれば」
「そんな設定、したの?」
「したの、アカネだよね」
「そんなわけ……。ないじゃん」
数秒、心当たりを探したアカネ。
「でも、動いているんだから」
「というか、動かなかったら判らなかったよ」
「動かなかったら、なくならなかったんじゃ?」
「……そうだね」
「しっかりしなよ。所有者」
動く、データ。
追跡を続けるオカン、Cマス、マッサンなど。
「でも、何で?」
「最初から動くようにしてた?」
「それは、サオリさんからもらったものだから」
「サオリさんが作ったなら、あり得るかも」
「そう? いろいろ作って……。あ」
「あの人、変なのをよく作っていたから」
「そうだね――」
「サオリさんじゃなければ――」
「誰かに上書きされたとか――」
「タロスは違うとしても――」
タロスの痕跡はなかった。
「じゃあ、サオリさん? なんのために?」
「それは遊びで付けたとしても、別の方かな」
「もう一つ?」
アイテムを探しながら可能性を探る。
「このゲームの管理者は僕だけじゃないから」
「他の人が関与している?」
「アイテムだしね。タウン関係なら、僕とアカネくらいだけど」
「誰も狙わないの?」
「誰も狙わないし、狙う目的もない」
「このタウンのデータは? 凄いよ。実際」
「狙うより、発注してくるから」
「……え、副業?」
「そういうこと。パクリと言われないしね」
「パクるリスクより、発注の方がいいんだ。というか、まだ稼ぐの?」
「依頼が来るから。ある程度暇だし」
「そうか――。夢あるな~~。ニッチって」
話を戻す。
「パクリじゃなければ、このタイミングでアイテムを動かした」
「何のために?」
「そんなの、知らない。僕、一切関わってないし」
「何だろうね。行ってみたら判るとか」
「さぁ、判ればいいけど」
「――サオリさん、嫌いなの?」
「好きじゃない」
「何で?」
「変な仕掛けを作るところ。あの人、マッドな部分、あるから」
「ソラタは、それだけできて、マッド感ないの?」
「あると思う?」
「ないかな。ずっと暇をしてるし」
「サオリさんは――。そのうちウィルスを作りそうだもん」
「あ、それ判る」
「それに――」
思い出した。
「なに?」
「いや、なんでもない」
話を戻す。
「最後は、他の人がハッキングしているか」
「やっぱり、人なんだ」
「AIも、あるか」
何個か考えた結果。
「動いているから、行ってみたら判るか」
アイテムが止まった。
「――止まったね」
しばらくしても、アイテムは動かない。
「動かないね」
「ここ、ってことか?」
転送をかける。
「……逃げてる」
「逃げてるね」
「何で?」
「僕が知るわけがない。プログラムしてないんだから」
「データが意思でも持っていると?」
「それを言われても――」
「じゃあ、なに?」
「知らないけど。データが動く設定にしていれば」
「そんな設定、したの?」
「したの、アカネだよね」
「そんなわけ……。ないじゃん」
数秒、心当たりを探したアカネ。
「でも、動いているんだから」
「というか、動かなかったら判らなかったよ」
「動かなかったら、なくならなかったんじゃ?」
「……そうだね」
「しっかりしなよ。所有者」
動く、データ。
追跡を続けるオカン、Cマス、マッサンなど。
「でも、何で?」
「最初から動くようにしてた?」
「それは、サオリさんからもらったものだから」
「サオリさんが作ったなら、あり得るかも」
「そう? いろいろ作って……。あ」
「あの人、変なのをよく作っていたから」
「そうだね――」
「サオリさんじゃなければ――」
「誰かに上書きされたとか――」
「タロスは違うとしても――」
タロスの痕跡はなかった。
「じゃあ、サオリさん? なんのために?」
「それは遊びで付けたとしても、別の方かな」
「もう一つ?」
アイテムを探しながら可能性を探る。
「このゲームの管理者は僕だけじゃないから」
「他の人が関与している?」
「アイテムだしね。タウン関係なら、僕とアカネくらいだけど」
「誰も狙わないの?」
「誰も狙わないし、狙う目的もない」
「このタウンのデータは? 凄いよ。実際」
「狙うより、発注してくるから」
「……え、副業?」
「そういうこと。パクリと言われないしね」
「パクるリスクより、発注の方がいいんだ。というか、まだ稼ぐの?」
「依頼が来るから。ある程度暇だし」
「そうか――。夢あるな~~。ニッチって」
話を戻す。
「パクリじゃなければ、このタイミングでアイテムを動かした」
「何のために?」
「そんなの、知らない。僕、一切関わってないし」
「何だろうね。行ってみたら判るとか」
「さぁ、判ればいいけど」
「――サオリさん、嫌いなの?」
「好きじゃない」
「何で?」
「変な仕掛けを作るところ。あの人、マッドな部分、あるから」
「ソラタは、それだけできて、マッド感ないの?」
「あると思う?」
「ないかな。ずっと暇をしてるし」
「サオリさんは――。そのうちウィルスを作りそうだもん」
「あ、それ判る」
「それに――」
思い出した。
「なに?」
「いや、なんでもない」
話を戻す。
「最後は、他の人がハッキングしているか」
「やっぱり、人なんだ」
「AIも、あるか」
何個か考えた結果。
「動いているから、行ってみたら判るか」
アイテムが止まった。
「――止まったね」
しばらくしても、アイテムは動かない。
「動かないね」
「ここ、ってことか?」
転送をかける。
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