すろらいふ・おんらいん

TaHiRo

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アカネ 01

02 つまり脳筋

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 過酷労働は、やりたい人に任せて。
「せっかく実装したから、それなりに楽しめばよくない?」
「それ、楽しんでいるの?」
「楽しいよ。作っている時から」
「町並み、景色ばっかり――」
「無心で出来るけど」
「いや、ゲームって興奮しないと――」
「え~~。ゲームの中にまで緊張感を?」
「いや、ソラタはずっと優雅でしょうに」
「――忙しいよ。僕も」
「全く見えない! 現実でもそんなに仕事してないよね」
「少しは眼精疲労とかも起きるんだよ」
 いくら4K映像でも、ずっとだと疲れるよ。
「……羨ましい悩みだこと。こっちはデスクワークで全身筋肉痛なのに」
「運動できているね」
「……喧嘩売ってる?」

「というか、どうやっているわけ?」
「軽微な修正はオカンがしてくれるから。そのためのマザーAIだよ」
 だから僕はオカンに修正を指示する程度。
「相変わらず凄いマザーAI。……オカン貸してよ」
「いや、そっちにもいるでしょ」
 各部署にマザーAiがいる。
「いるけどね。オカンに比べれば――」
「他と比べたらダメだよ」
「なに? その、よそはよそ、うちはうち論は」
「僕は、恵方巻き派かな」
「節分の話はしていない」

「でもさ、オカンを貸すって、大変だよ」
 レンタルの問題ではなく。
「多分、クエスト班のチーフが怒る。正規品なのにだよ!」
「プライドだよね~~」
「正規品を買って、プライドを持つな! さっさと環境改善をしてほしい!」
「あ、ストライキ?」
「一人でどうするのよ。――あ、参加」
「しないよ」
「判ってた!」
 
「というか、そんなにオカンがいいの? 褒めても何も出ないよ」
 他人の評価は別では?
「もちろん自信作だけど。お陰で暇なんだよ~~」
「本当、いい機械って人を怠惰にさせるわよね」
「それほどでも――」
「あ、そう」
 ツッコまないアカネ。
「でも、働くのってこのくらいがいいよ~~」
 僕はいかに、人が働かずにお金を貰えるかかもねと。
「でも……。この怠惰め!」
「え、よくない?」
 そのためのAI補助。
「僕たちは基本、働き過ぎなんだよ。体を壊すなんてもってのほかだから」
「なんか、正論を言うと腹立つんだけど」
「……何で怒っているの?」
「とにかく、ダメ。そっちのチーフのOKは出ないから」
 各々でマザーAIを持っている。浸食不可が基本。
「本当、なんでこんなにアタマが堅いんだろう。そんな仕事じゃないはずなのに」
「そうだね」
 アカネの不満。僕は流れに任せるだけ。
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