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三章
散策
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「今度はあれを食べてみようぜ!!」
今日もお出かけ日和の晴天だった僕達は、ちゃんと日が出てからクリスさんの許可も貰って、街で気になる屋台を見つけては買食いをして周っていた。
最初は、みんなで宿の近くの店を周っていたのだけれど、貴族が多くいる場所だからか、整然とした建物が並んでいるばかりで、目新しい物がなくてつまらないとバルド達が言うから、街の人が多く利用する屋台の方へとやって来た。
「あっちのも美味しかったよ!」
街を案内しながらも、人混みの中、前に食べて美味しかった屋台を見つけた僕は、急いでみんなへと声を掛ける。
「よし!!あれも食べようぜ!!」
「やっぱ、案内があると違うな!」
「うん!此処ら辺は任せてよ!」
街の人が多く集まるこういった場所は、たまにドミニクから父様の同行を止められる事があったけど、此処は父様達と一緒に周った場所だから、だいたいの場所は行った事がある。
「それにしても、やっぱり使用人置いてきて正解だったな!何も言われずに自由に回れる!!」
街の雑踏を避けながら、屋台で買った物を両手に持って街を満喫しているクリスさんが、僕の横で楽しげな声を上げていた。
でも、たしかに使用人達は父様と違って、変な所に行こうとすると直ぐに止めに入って来るから、何も言われないで好きに行動できる今は、僕としても楽しい!
最初、僕達が街に遊びに行くと母様達に言った時は、当然のように保護者として使用人を連れて行くように言われた。けれど、来年には実習課題で魔物の討伐にも行くようになるから、保護者なんかいなくても大丈夫だ!と言って強引にクリスさんが押し切ったおかげで、渋々ではあったけれどちゃんと僕達だけで行く許可は貰えた。
だけど、それでもやっぱり不安なのか、宿を出る時に振り返って見た顔は、どれも曇っているように見えた。けれど、その中でカレン様だけは何処か楽しげな笑みを浮かべていたのには少しだけ気になった。
「でも、兄さんだけでも来れば良かったのにな…」
「お前なぁ!兄貴は真面目で滅多に休もうとしないんだから、旅行くらいゆっくり休ませてやりたいだろ!!」
ちょっと寂しげに言ったバルドの呟きに、クリスが少し嗜めるような口調で言った。
心配して一緒に付いて来ようとしていたお兄さんの言葉も何で断ったのか分からなかったけど、あの時にそんな事を考えているなんて思っても見なかった。
「そ、それにしも、髪の色が違うだけで何か違和感ありますね!」
楽しかった空気がひょんなことから少し悪くなり、コンラットがその空気を払うようにあえて楽しげに僕の髪の件に触れて来た。
「そう?僕からはあんまり見えないから、僕としては実感ないんだけど?そんなにも違って見える?」
街に行くなら、目立つ銀色の髪はせめて隠した方が良いと言われて、僕だけ魔法薬で髪の色を変えていた。
「ああ、貴族には見えないぞ」
「それ…褒めてる…?」
「ああ、ちゃんと街に溶け込んでる」
街でも目立たない焦げ茶色の髪に、準備して貰ったお忍び用の服を来ているから、街の住民に溶け込んでいるのは良いことなんだろうけど、本当に褒められているのかと、何か釈然としない。それにしても、いつの間にこんな魔法薬を準備していたんだろう?
「おい!あれなんだ!?変なのがあるぞ!?」
少し落ち込んでいたバルドが、顔を上げて指差す方向を見ると、お土産屋さんの店内に、此処の地名が書かれた二等辺三角形の物が飾ってあるのが見えた。
「あれは?旗?ですかね?」
「面白そうだし、ちょっと近くで見てみようぜ!!」
人混みの中、お土産屋さんの方へと走って行く2人に、僕らもはぐれないようにして付いて行く。
「近くで見ても、何だかわからねぇな?」
お店の前で不思議そうに首を傾げながら見ているクリスさんに追いついた僕は、前に教えて貰った事を話した。
「これ、お土産の定番らしくて、他の街のお店とかに置いてたりするよ?何でも、部屋に飾る物なんだって?」
「これを部屋に飾ってどうするんですか?」
「さぁ?僕もそう聞いただけで、買った事はないから分かんない?」
聞きかじっただけの知識だったから、詳しく聞かれても説明出来ない。なにせこれは、父様でさえも知らなかった物だ。だけど、一緒に周った使用人が何故か知っていて、そう教えて貰った。だけど、その使用人も何で飾るかまでは知らなかった。
「そうなのか?よし!なら、買ってみようぜ!!」
「うん!!」
「え!?買うの!?」
まるで怖い物知らずみたいに興味本位で買おうとしているバルド達に、僕は驚愕の視線を投げる。
「お土産の定番なんだろ!!なら、買ってみようぜ!!」
「こんなの、ゴミになるだけだろ…」
「私も買いませんよ…。そもそも、買って何処に飾るんですか…」
「え?う~ん?そうだな?」
「勲章とかが飾ってある部屋で良いんじゃねぇか?」
首を傾げて悩むバルドに、クリスさんがなんて事もないように平然と言い放った。
「ああっ!そういえば、旗みたいな奴とかも置いてあった!!」
「だろ!それに、これが飾ってあるのを見つけた時、親父がどんな顔するのかもおろしろそうだしな!!」
「ただの悪ガキだな…」
「ブライド様の苦労を感じます…」
呆れ果てる僕らをよそに、2人は悪巧みしてそうな笑みを浮かべながら、何かを話しあっていた。何で怒られそうな事を進んでやろうとしているのかは分からないけど、叱られないといいね…。
その後、悪巧みを終えて意気揚々と歩きながら街を散策していたら、クリスさんが途中で何かに気付いたように足を止めた。
「なぁ?あれって冒険者ギルドだよな?」
「うん。そうだと思うよ」
王都で見た事がある看板が屋根に掲げてあり、武装した人達も多く出入りしている建物を見た僕は、クリスさんにそう返事を返した。だけど、新しいいたずらでも思いついたような顔で言うクリスさんの事を見て、コンラットは嫌な予感でもしたような顔を浮かべる。
「ちょっと、覗いてみないか?」
「子供だけで行って、怒られませんかね…?」
「大丈夫だって!何せ、俺はもう大人だからな!」
コンラットの言葉に、クリスさんは自信ありげに返すけど、僕にはどうしても上手くいきそうには思えない。
クリスさんは僕らよりたしかに年上だけど、年齢的に体格が小柄で僕達とそんなに見た目が違わないせいか、周りからは年齢も同じくらいに見えそうだ。
「相手にされずに門前払いされるのがオチだ」
「はぁ!!何でだよ!!?」
僕も思ってはいたけれど、誰も言えないような事をネアは平然と口にした。
「それに、荒くれの連中もたむろしてたりしてるような場所に行って、そこで何かあったらお前は責任取れるのか?」
「うっ……」
正論をつかれたからなのか、顔をしかめながら呻き声を上げるけど、納得していないような目をしていた。
「ほら、行くぞ」
「「………」」
ネアが声を掛けて歩き出そうとしても、バルドもその場を動こうとしない。
「はぁ…窓から様子を伺うくらいなら大丈夫なんじゃないか…」
誰も動こうとしないでからか、それとも未練がましそうに見て来る視線に負けたのか、ネアの方が先に折れた。
「おぉ!なんか潜入ミッションみたいでそれ面白そうだな!!」
「よし!みんなで速く行こうぜ!」
建物の裏手に行こうとするみんなと一緒に、僕も一歩を踏み出そうとしたら、ネアに肩を掴まれてそれを止められた。
「いいか、お前の正体がバレたら面倒な事になるのは確実だ。だから、お前は絶対見つかるなよ」
僕は何もしていないのに、ネアは真剣な顔をして、何故か僕にだけ念を押すようにして言ってきた。その事を不満に思った僕は、それを口にしようとしたけれど、僕が口を開くよりも前に楽しげな声が聞こえてきた。
「それなら!リュカが見つかっても負けだな!」
「おっ!!見つかったらアウトな極秘物を持ってのミッションって事だな!!」
ネアの言葉に振り返りったバルド達は、まるでゲームのルールを足していくように楽しげだった。でも、僕が危険物扱いされてるような扱いには、少し納得出来ない。
「不貞腐れてると置いてくぞ」
「ネアのせいでしょ!」
僕が口にした言葉を聞いても、ネアは物ともしない態度で歩き始める。その後ろ姿を不満げに見つめるけれど、僕もギルドの中は、父様に頼んでも中に入れて貰えなかったからもともと興味があった。だから、少し不満はまだあったけれど、僕もみんなの後に続いて、一緒に窓の下から冒険者ギルドの中をちょっと伺ってみる事にした。
今日もお出かけ日和の晴天だった僕達は、ちゃんと日が出てからクリスさんの許可も貰って、街で気になる屋台を見つけては買食いをして周っていた。
最初は、みんなで宿の近くの店を周っていたのだけれど、貴族が多くいる場所だからか、整然とした建物が並んでいるばかりで、目新しい物がなくてつまらないとバルド達が言うから、街の人が多く利用する屋台の方へとやって来た。
「あっちのも美味しかったよ!」
街を案内しながらも、人混みの中、前に食べて美味しかった屋台を見つけた僕は、急いでみんなへと声を掛ける。
「よし!!あれも食べようぜ!!」
「やっぱ、案内があると違うな!」
「うん!此処ら辺は任せてよ!」
街の人が多く集まるこういった場所は、たまにドミニクから父様の同行を止められる事があったけど、此処は父様達と一緒に周った場所だから、だいたいの場所は行った事がある。
「それにしても、やっぱり使用人置いてきて正解だったな!何も言われずに自由に回れる!!」
街の雑踏を避けながら、屋台で買った物を両手に持って街を満喫しているクリスさんが、僕の横で楽しげな声を上げていた。
でも、たしかに使用人達は父様と違って、変な所に行こうとすると直ぐに止めに入って来るから、何も言われないで好きに行動できる今は、僕としても楽しい!
最初、僕達が街に遊びに行くと母様達に言った時は、当然のように保護者として使用人を連れて行くように言われた。けれど、来年には実習課題で魔物の討伐にも行くようになるから、保護者なんかいなくても大丈夫だ!と言って強引にクリスさんが押し切ったおかげで、渋々ではあったけれどちゃんと僕達だけで行く許可は貰えた。
だけど、それでもやっぱり不安なのか、宿を出る時に振り返って見た顔は、どれも曇っているように見えた。けれど、その中でカレン様だけは何処か楽しげな笑みを浮かべていたのには少しだけ気になった。
「でも、兄さんだけでも来れば良かったのにな…」
「お前なぁ!兄貴は真面目で滅多に休もうとしないんだから、旅行くらいゆっくり休ませてやりたいだろ!!」
ちょっと寂しげに言ったバルドの呟きに、クリスが少し嗜めるような口調で言った。
心配して一緒に付いて来ようとしていたお兄さんの言葉も何で断ったのか分からなかったけど、あの時にそんな事を考えているなんて思っても見なかった。
「そ、それにしも、髪の色が違うだけで何か違和感ありますね!」
楽しかった空気がひょんなことから少し悪くなり、コンラットがその空気を払うようにあえて楽しげに僕の髪の件に触れて来た。
「そう?僕からはあんまり見えないから、僕としては実感ないんだけど?そんなにも違って見える?」
街に行くなら、目立つ銀色の髪はせめて隠した方が良いと言われて、僕だけ魔法薬で髪の色を変えていた。
「ああ、貴族には見えないぞ」
「それ…褒めてる…?」
「ああ、ちゃんと街に溶け込んでる」
街でも目立たない焦げ茶色の髪に、準備して貰ったお忍び用の服を来ているから、街の住民に溶け込んでいるのは良いことなんだろうけど、本当に褒められているのかと、何か釈然としない。それにしても、いつの間にこんな魔法薬を準備していたんだろう?
「おい!あれなんだ!?変なのがあるぞ!?」
少し落ち込んでいたバルドが、顔を上げて指差す方向を見ると、お土産屋さんの店内に、此処の地名が書かれた二等辺三角形の物が飾ってあるのが見えた。
「あれは?旗?ですかね?」
「面白そうだし、ちょっと近くで見てみようぜ!!」
人混みの中、お土産屋さんの方へと走って行く2人に、僕らもはぐれないようにして付いて行く。
「近くで見ても、何だかわからねぇな?」
お店の前で不思議そうに首を傾げながら見ているクリスさんに追いついた僕は、前に教えて貰った事を話した。
「これ、お土産の定番らしくて、他の街のお店とかに置いてたりするよ?何でも、部屋に飾る物なんだって?」
「これを部屋に飾ってどうするんですか?」
「さぁ?僕もそう聞いただけで、買った事はないから分かんない?」
聞きかじっただけの知識だったから、詳しく聞かれても説明出来ない。なにせこれは、父様でさえも知らなかった物だ。だけど、一緒に周った使用人が何故か知っていて、そう教えて貰った。だけど、その使用人も何で飾るかまでは知らなかった。
「そうなのか?よし!なら、買ってみようぜ!!」
「うん!!」
「え!?買うの!?」
まるで怖い物知らずみたいに興味本位で買おうとしているバルド達に、僕は驚愕の視線を投げる。
「お土産の定番なんだろ!!なら、買ってみようぜ!!」
「こんなの、ゴミになるだけだろ…」
「私も買いませんよ…。そもそも、買って何処に飾るんですか…」
「え?う~ん?そうだな?」
「勲章とかが飾ってある部屋で良いんじゃねぇか?」
首を傾げて悩むバルドに、クリスさんがなんて事もないように平然と言い放った。
「ああっ!そういえば、旗みたいな奴とかも置いてあった!!」
「だろ!それに、これが飾ってあるのを見つけた時、親父がどんな顔するのかもおろしろそうだしな!!」
「ただの悪ガキだな…」
「ブライド様の苦労を感じます…」
呆れ果てる僕らをよそに、2人は悪巧みしてそうな笑みを浮かべながら、何かを話しあっていた。何で怒られそうな事を進んでやろうとしているのかは分からないけど、叱られないといいね…。
その後、悪巧みを終えて意気揚々と歩きながら街を散策していたら、クリスさんが途中で何かに気付いたように足を止めた。
「なぁ?あれって冒険者ギルドだよな?」
「うん。そうだと思うよ」
王都で見た事がある看板が屋根に掲げてあり、武装した人達も多く出入りしている建物を見た僕は、クリスさんにそう返事を返した。だけど、新しいいたずらでも思いついたような顔で言うクリスさんの事を見て、コンラットは嫌な予感でもしたような顔を浮かべる。
「ちょっと、覗いてみないか?」
「子供だけで行って、怒られませんかね…?」
「大丈夫だって!何せ、俺はもう大人だからな!」
コンラットの言葉に、クリスさんは自信ありげに返すけど、僕にはどうしても上手くいきそうには思えない。
クリスさんは僕らよりたしかに年上だけど、年齢的に体格が小柄で僕達とそんなに見た目が違わないせいか、周りからは年齢も同じくらいに見えそうだ。
「相手にされずに門前払いされるのがオチだ」
「はぁ!!何でだよ!!?」
僕も思ってはいたけれど、誰も言えないような事をネアは平然と口にした。
「それに、荒くれの連中もたむろしてたりしてるような場所に行って、そこで何かあったらお前は責任取れるのか?」
「うっ……」
正論をつかれたからなのか、顔をしかめながら呻き声を上げるけど、納得していないような目をしていた。
「ほら、行くぞ」
「「………」」
ネアが声を掛けて歩き出そうとしても、バルドもその場を動こうとしない。
「はぁ…窓から様子を伺うくらいなら大丈夫なんじゃないか…」
誰も動こうとしないでからか、それとも未練がましそうに見て来る視線に負けたのか、ネアの方が先に折れた。
「おぉ!なんか潜入ミッションみたいでそれ面白そうだな!!」
「よし!みんなで速く行こうぜ!」
建物の裏手に行こうとするみんなと一緒に、僕も一歩を踏み出そうとしたら、ネアに肩を掴まれてそれを止められた。
「いいか、お前の正体がバレたら面倒な事になるのは確実だ。だから、お前は絶対見つかるなよ」
僕は何もしていないのに、ネアは真剣な顔をして、何故か僕にだけ念を押すようにして言ってきた。その事を不満に思った僕は、それを口にしようとしたけれど、僕が口を開くよりも前に楽しげな声が聞こえてきた。
「それなら!リュカが見つかっても負けだな!」
「おっ!!見つかったらアウトな極秘物を持ってのミッションって事だな!!」
ネアの言葉に振り返りったバルド達は、まるでゲームのルールを足していくように楽しげだった。でも、僕が危険物扱いされてるような扱いには、少し納得出来ない。
「不貞腐れてると置いてくぞ」
「ネアのせいでしょ!」
僕が口にした言葉を聞いても、ネアは物ともしない態度で歩き始める。その後ろ姿を不満げに見つめるけれど、僕もギルドの中は、父様に頼んでも中に入れて貰えなかったからもともと興味があった。だから、少し不満はまだあったけれど、僕もみんなの後に続いて、一緒に窓の下から冒険者ギルドの中をちょっと伺ってみる事にした。
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