落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!

ユーリ

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三章

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「それにしても、リオ先生だったなんてな…」

「人は見かけによらないとは、この事ですね」

リオ先生の事は、学院の都合で公にはならなかった。なので、世間的には、諸事情により退職した事になっていた。

でも、みんなにだけは、父様の許可を貰って、事情を話していた。先生が学院からいなくなる事になって、バルドは、少し落ち込んでいるようだった。

「はぁ…」

「えっと…元気出してよ…ね?」

「そうですよ。そんな事で落ち込むなんて、貴方らしくもない」

僕達の言葉に、少し怒ったような顔をしながら言った。

「これが、落ち込まずにいられるか!?数学の授業、どうすれば良いんだよ!?ただでさえ嫌いなのに、教師まで嫌な奴だったら、俺は耐えられる自身がない!!」

「そっち!?」

思っていたの違う事で落ち飲んでいたので、思わず大きな声が出てしまった。

「当たり前だろう!ただでさえ、剣も取り上げられてる時なのに…」

そういえば、学院をサボった事がバレてしまって、剣を取り上げられていたんだった。僕が、原因を作ってしまったから、少し罪悪感を感じる…。

「まだ、返して貰えてないの…?」

あれの日から、数日たったけど、まだ返して貰ってないんだ…。

「1週間の予定だったんだ…」

「なら、もうすぐじゃないの?」

バルドに聞いたのに、何故か、コンラッドが答えた。

「それはないですね」

「何で?」

きっぱりと言い切るコンラットを見れば、少し呆れた表情をしながら、バルドの事を見た。

「武器庫から勝手に剣を持ち出して、使っている所を見つかったからです」

コンラッドの言葉に、その時の事を思い出したのか、頭を抱えるように叫ぶ。

「何時もなら、帰って来ないはずの時間だったんだ!なのに、何でその日に限って、速く帰ってくるんだよ!?」

どうして、こんな時に限ってっていう時、たまにあるよね…。僕も、見に覚えがあるから、同情した目で見てしまう。

「そのせいで、期限が一ヶ月に伸びたんだ…。それに、武器庫に鍵かけられた…」

それは、運が悪かったとしか言えないから、僕にもどうしようもない。

「期限が、もう少しだったんですから、我慢すればよかったでしょう」

「俺にしては、我慢した方だ!」

嘆くように叫ぶバルドに、掛ける言葉は、思い付かない。そんな僕達に、呆れたような顔をしながら、ネアが言った。

「別に我慢しなくても、学院や、リュカの屋敷の練習場でも、借りてやれば良いだけだろ」

「「「……」」」

ネアの一言で、少し虚しい気持ちになった…。

「俺達の担任って誰になるんだ?」

悩みがなくなったからなのか、話題を変えたかったからなのか、何時もの調子で疑問を口にする。

「新しい教員を雇うのは時間が掛かりそうなので、今いる方達で回すのではないですか?」

「まあ、リータス先生以外なら、誰でもいいや」

特に焦った様子もなく、バルドは流すように言った。たぶん、学院には、大勢の教師がいるので、リータス先生に当たる確率もそう高くないと思っているんだろう。

「そういえば、兄様の口振りだと、リータス先生は、父様の部下の人みたいだったよ」

「ゲッ!何で、そんな人が此処にいるんだよ。それに、あんなに性格とかも悪そうなのに、大丈夫なのか?」

疑わしそうに言うバルドの気持ちは分かるけど、父様の知り合いだから、そこは大丈夫だと思う。

「肝試しの時も、リータス先生に、付き添いを頼むくらいだから、大丈夫なんじゃないかな?」

「それで、あの場所にいたんですね。おかしいとは思っていましたが、それを聞いて納得しました」

納得したようなコンラッドの横で、ネアが、出し抜けに言った。

「まあ、担任も不自然に感じた時はあったがな」

「いつ?」

不思議に思って聞いたら、吐き捨てるように言った。

「アイツ、手紙の件に触れた時、商会の力を使ったって言ってただろ。クラスの連中や、噂では、公爵家の力を使った事になっているのにだ」

「そういえば、そうだな」

「私も、疑問に思いませんでした」

「俺も、リュカが、呼び出しを受けた時にでも話していたのかと思って、その時は、気にもしてなかったがな」

つまり、僕だけは、事件が起こる前に、犯人に気付く事が出来たというわけだ。その時、ちゃんと気付いていれば、色んな所に迷惑かけなかったのに…。

僕が後悔していると、後ろで扉の開く音がした。振り向けば、歴史の授業でもないのに、リータス先生が教室へと入って来る所だった。

教壇の前に立つと、真っ直ぐに前を向いて、静かに口を開いた。

「今日から、このクラスの担任を任される事になったリータスだ。先に言っておくが、問題を起こせば、誰だろうと見逃す気はない」

1度、言葉を止めると、僕達の方へと視線を向け、口の端だけを上げながら言った。

「お前達も、甘やかす事するつもりはないから、今から覚悟しておけ」

兄様の話しを聞く限りだと、父様の関係者だとは思うけど、こちらを見る目を見ていると、上手くやっていく自信はない。

何だか、学院生活が不安になって来た…。嫌そうな顔をしているバルドを見ながら、僕も、同じような顔を浮かべているんだろうなと、鐘の音を聞きながら思った。
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