落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!

ユーリ

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二章

大会

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教室ではしばらく、長期休み中の出来事などで賑わっていたけれど、そのうち話題は夏の終わりにある学院主催の大会へと変わって行った。

「今年の大会、みんなで見に行かねぇ?」

昼休み、中庭を目指して歩いている途中で、バルドから誘われた。

「僕は、いいかな…。見てても楽しくないし、それに、怪我する所とか見たくないから…」

「興味ないです。見たい人もいないですしね」

「ネアは!?」

「俺も、興味ない」

「えー!」

バルドは、驚いたような、困ったような顔をしていたけど、どうかしたんだろうか?

兄様も出ていたから、家族で見には行った事があるけれど、自分から見に行きたいとは思わない。それに、大会に出られるのは、6年生になってからだから僕達には、あんまり関係ないんだよね。

「今年は、上の兄貴が出るから応援に行きたいんだ!でさ、兄貴に新しく出来た友達と行くって言ったんだよ。だから、頼む!一緒に来てくれ!」

「うーん…。そういう事なら…」

頭を下げてお願いされたら、断り辛い。それに、バルドのお兄さんにも会ってみたい気持ちもある。でも、コンラットは何時もと様子が違うような気がする。

「あの人、苦手なんですよね…」

「その割に、合う度に仲良さそうにしてるじゃん?」

「仲は良くないですよ…。毎回、剣の稽古付けようとして来るので、なるべく会いたくないです…」

「そうなの?」

「リュカも気を付けた方が良いですよ…」

力なく言う様子を見ると、本当に苦手な相手みたいだ。

「うーん。毎回、俺が稽古を付けてくれって言ってたからかなぁ?」

「じゃあ、面倒を見る=剣術の稽古と、認識してるって事ですか…?」

「たぶん?」

「その認識を変えて貰えるように、バルドから言っておいて下さい…」

「兄貴に、コンラッドは素直じゃないっても言ったから、もう無理じゃねぇかな?」

「何、余計な事言ってるんですか!?」

「どうかしたんですか?」

ちょうど、コンラットが声を荒らげた時に、通り掛かったリオ先生が僕達に声を掛けて来た。

「バルドのお兄さんの話をしていました。何でも、今年の大会に出るらしいので、今、一緒に行かないかと誘われてたんです」

「そうなんですか。それは、皆さんだけで行くんですか?」

「ん?どうだろう?親父も来るか?」

「私に聞かないで下さいよ。何か言ってなかったんですか?」

「去年は、俺達に付き添ってくれたけど、今年はどうなんだろうな?兄貴が出るから、付き添ってくれると思うけど?」

「騎士団長が来るんですか…」

「先生?どうかしたの?」

首を捻りながら話すバルドの話を聞いて、リオ先生の顔から、笑みが消えたような気がした。

「いえ、付き添いがないのであれば、私が付き添おうと思っただけです。では、楽しんで来てくださいね」

「リオ先生も行きたかったのかな?」

去って行く後ろ姿を眺めながら、疑問に思ったことをみんなに聞いてみる。

「どうなんでしょう?最近は、どうなんですか?」

「最近は、あまりないかな」

前は、頻繁に声を掛けられていたけれど、ほとんど声を掛けられなくなった。まあ、僕としてもその方が助かる。

「そんな事より、みんな来るよな!?」

バルドが、話を戻そうとした時、僕の後ろに影が差した。

「また、悪巧みでも相談しているのか?」

「ゲッ!」

バルドが、嫌そうな顔をしながら上げた声に、何処か嫌な予感を感じながら後ろ振り返る。すると、今度はリータス先生が立っていた。

「教師相手に、上げる言葉ではないな」

「す、すみません…」

バルドは、不満そうに目を逸らしながらも、謝罪の言葉を口にしていた。

「これ以上、問題ごとを起こすな。規則を破れば、厳粛に対応する。いいな」

要件だけ言うと、僕達の横を通り過ぎて行った。

「問題なんか、そんなに起こしてない!」

リータス先生の姿が見えなくなってから、盛大に不満を零していた。前の1件から、あまり良い印象を持っていないようだった。

「私達、完全に問題児として認識されてますね…」

「まあ、トラブルが多かったからな」

「2回しかやらかしてない!」

「2回やれば、十分だと思うよ…」

バルドは、何処か不満そうにしていたけれど、一緒に行く約束をしたら、機嫌はすぐに直っていた。
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