落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!

ユーリ

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二章

土産(オルフェ視点)

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土産を渡すため、王城に顔を出せば、ちょうど休憩中だと言うので、使用人と共にレオンの部屋を目指す。

「オルフェが、俺の所に来るなんて珍しいな?何かあったのか?」

「用事が無ければ来ない。用事が終わったら、すぐにでも帰るから安心しろ」

部屋に入るなり、不思議そうに訪ねられた言葉に返事を返しながら、持って来た物を机の上へと置いた。

「土産だ」

「え!?お前が俺に!!」

「いらないなら、持って帰る。返せ」

「いる!いるから!!」

チッ!いるのか…。私から庇うようにお土産を受け取った後、嬉しそうな顔をしながら置物を眺めている。

「でも、何で急にお土産を買って来てくれたんだ?今まで、1度だって買って来てくれた事なかったじゃないか?」

「リュカが、お前にお土産を買って行こうと言うから、買っただけだ」

「なら、今度会ったらお礼を言わないとな!オルフェの弟とは思えないほど優しいな!」

「当然だ」

リュカが褒められるのは、聞いていて悪くはない。素直過ぎる所は心配だが、俺とは違って、人付き合いが良くて優しい。

そんなリュカも、学院に通うようになってからは、友人の真似をするようになった。お小遣いが欲しいと言い出した時は、父上と同じで、必要性を感じられなかったが、欲しいと言うならば、渡せば良いと賛成した。だが、いくら渡せばいいのか私達には判断が付かなかった。なので、常識的な思考を持つ者に尋ねて見る事にした。

「それは…多すぎると思います」

最初、私達が提示した金額を聞いて、先生は難色を示した。

「では、フェリコはいくらが妥当だと判断する」

「金貨5枚でいいのではないでしょうか…。それでも、多いと思いますが…」

「少なすぎではないか!?」

「私も、少なすぎると思います」

私も、父上の言葉にはすぐさま同意した。それでは、服屋に行っても1枚、良くて2枚しか買う事が出来ない。

「庶民に取っては、かなりの大金ですよ…。リュカ様の年齢で言ったら、普通は銀貨3枚くらいだと思います…」

「そ、そんなに少ないのか…」

父上ではないけど、あまりの少なさに唖然とする。

「そんなお金で、何を買えるんですか?」

「普通に、屋台で買い食い出来ますよ。串焼き1本、銅貨2枚でお釣りが来ます」

「それは…安全な食べ物なのか…?」

「街の住民も普通に食べている物なので、ちゃんと安全ですよ。前に、リュカ様と街に出かけた時も、美味しいと召し上がられていました」

「「……」」

お土産を貰ったので、街に出かけたのは知っていたが、貴族街だとばかり思っていた。あの頃は、まだちゃんと話せる関係ではなかったとは言え、全く知らなかった。父上の様子を見る限りだと、父上も知らなかったようだ。

「少し聞きたいのだが、私が出しているカフェの金額は、街の人間にとってどう思わているのだ…?」

「少し高めだと思われていますが、自身へのご褒美や、祝い事の時に利用しているようです」

「あれで…高いのか…」

私が任されている店は、主に書籍関係だが、父上がやっているカフェの金額くらいは知っている。1番安い物なら、銀貨1枚で食べるため、今まで破格の値段だと思っていた。だが、そうではなかったらしい…。

そんな事もあり、土産を買う場所を街の人も来る店に来てみた。店の品は、悪い物では無いのに、この値段で利益が出るのかと、思わずにはいられない値段で売られていた。私が、少し衝撃を受けていると、リュカがお土産を買わないのかと訪ねられた。

何も買う予定はなかったが、目の前に置いてある小物の置物は可愛いと思う。しかし、リュカの前で買うのは、何だか躊躇われたので、土産と言う名目で買って自分用にしようと思っていた。それに、趣味でないの物を、レオンが受け取るわけがないという打算もあった。

だから、既成事実を作るためだけに、土産を持ってきたのだが、あまり嬉しそうにされると、さすがにもう返せとは言えない…。まあ、私の分もないわけではないのだが…。

「これ、兄様に上げる!」

店を出た後、リュカから置物を1つ渡された。買う個数が多いとは思っていたが、私の分も買っていたようだ。

「兄様ならこれかなって!僕とお揃いにしたんだ!!」

リュカからの贈り物で、お揃いともなれば、嬉しくないわけがない。だが、龍の置物だというのが、複雑な心境になる。見た目が可愛らしいからこそ、あの2体の差をより強く感じさせられた。

「ありがとう…」

複雑な心境を隠しながら受け取った物は、今も部屋に飾っている。だが、見る度に何とも言えない気持ちになる。今後、龍関係の物が部屋に増えるのは遠慮したい。リュカに、それとなく伝えるべきだろうか…。

「今度、視察に行かされた時、土産買って来るな!」

「龍関係は止めろ」

我に返って、最初に出た言葉がそれだった。

「え?なら、うさ、ぎッッ!」

黙らせるために頭を締め付けながら、父上の羨ましげな顔を思い出して、心を落ち着けるのだった。
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