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二章
手合わせ(バルド視点)
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たまには、俺がしたい遊びじゃなくて、コンラッドがしたい事をしようと思って聞いたら、本を渡された。
「俺…本、嫌いなんだよなぁ…」
開くだけで眠くなるから、本なんて読んだりしない。
「これは、バルドでも読めると思います」
「うーん…」
本を読むなんて、面白いとは思えない。だけど、普段、俺の遊びに付き合って貰っているのもあって、俺は大人しく渡された本を読んだ。そうしたら、親父達から聞いて、コンラッドにも話した事がある武勇伝が多く載っていた。
「コンラット、俺が話し聞いててくれたんだな!」
「あれだけ聞かされたら、嫌でも覚えます」
そっぽを向きながら言う姿に、思わず笑いそうになる。文句を言いながらも、俺が言った事を覚えていて、この本を渡してくるコンラットは、素直じゃないけど、やっぱり優しくて良い奴だよなぁ。
コンラットのおかげで、騎士が出て来る本なら、読めるようになっていった。
だけど、入学前のクラス分けの試験が近付いて来た時は、本当に苦痛だった…。
勉強する事が嫌いだったし、親父達にも何か言われた事もなかったから、学院のクラスなんて、何処でも良かった。でも、試験が近付くにつれて、親よりもコンラッドの方が、やたら勉強するように俺に言って来た。
俺と一緒のクラスになりたいからだとは、何となく分かっていたけど、体力に自信はあっても、学力は自信がない…。でも、俺だって、コンラットと一緒のクラスになれるなら、なりたいとは思っていた。
だから、コンラッドに教えて貰いながら、頑張って努力はした。俺の人生の中で、あの時が一番勉強したと思う。
後は、入学式の結果発表までは、のんびり出来ると思って遊びに行っていたが、その日はコンラッドがやたら不機嫌そうにしていた。理由を聞くと、次席で代表挨拶になったらしい。俺は良い事のような気がするが、本人は不満みたいで、合った事がない相手に愚痴っていた。コンラッドは良い奴だけど、憧れとかが強すぎて、思い込みが激しい所があるからなぁ…。
兄の方は、コンラットから話しを聞いてたし、大会で見てからは、俺も憧れてもいた。だけど、何も知らない弟の方には、コンラットほどの思い入れはない。
学院初日、食ってかかっているコンラットを見ながら、相手を観察して見たけど、悪い奴には見えなかった。その後、やっぱり勘違いだって分かって、仲直りしたそうだったけど、コンラットは素直じゃないからなぁ…。
俺は、きっかけさえあれば、仲直り出来ると思って、教室に来ていた奴に話し掛けた。話してみたら、思ったよりも話しが合って、思いの外仲良くなった。それに、コンラットも2人と仲直り出来たみたいだった。仲良くなれるようにと思って遊びに誘ったけど、まあ、成功、かなぁ?
リュカ達とも仲良くなって来たある日、リュカから悩み事?を相談された。頼りになる所を見せるために、見事解決してやろうと思ったら、自身でも忘れようと思っていた事を思い出させられた。まさか、コンラッドに埋めている所を見られているとは、思ってもいなかった…。頼むから…親父にはそのまま黙っててくれ…。
リュカの屋敷で勉強会をしている時に、思いがけず憧れの人と合って、手合わせのお願いをした。でも、俺でも知ってる有名人なら、親父と一緒で忙しいだろうと思って、実際に手合わせ出来るとは思っていなかった。だから、手合わせが出来ると知った時は驚いた。これも、リュカがいたおかげだ。
約束までの数日は落ち着かなくて、教師に怒られたけど、親父から何時も怒られている俺としては、全く怖くもなんともない。それより、楽しみ過ぎて、時間がたつのが遅すぎる方が辛い。当日なんて、ほとんど寝られなかった。
朝日が登ったのを確認して、朝も食べずにコンラットの家に行ったけど、使用人しか起きてなくて、本人はまだ寝ているらしい。俺は速く行きたくて、何時も通り部屋に入って起こしたら、不機嫌そうに怒られた。
「今、何時だと思っているんですか!?」
「もうすぐ5時だな」
「約束は14時なんですから、速すぎます!!」
不満を言いながら、身支度を終えたコンラットと朝食を食べながら、部屋で時間が来るのを待っていた。だけど、針の進みが遅くて、壊れているんじゃないかと、針を進めようとしたらコンラットに怒られ、落ち着かない事も怒られた。でも、さっきから時計を見ながらそわそわしているんだがら、速くてももう行かねぇ?
オルフェ様の剣は、俺の親父とはまた違った剣だった。親父の剣を受けると、手が痺れるくらいの重さを感じるのに、オルフェ様の剣は重さを感じない、なのに何故か手から剣が消えている。動きも滑らかで、剣に当たったと思っても、気が付けば俺が地面に転がっていた。まるで、実体のない水を相手にしているようだった。
俺は、体力の限界まで動いて、体はしんどいけど楽しかった。手合わせしてくれただけで十分だったけど、寝転んでいる俺に、オルフェ様はアドバイスまでもくれた。でも、剣の動きはまったく違うのに、言う事が親父と一緒なのが、少し笑えた。
来週、親父とも手合わせする約束をしているから、少しでも強くなった所を見せて、驚かしてやりたい!
屋敷へと帰る間も、剣の事しか考えていなかったから、コンラッドに少し呆れられた。
「俺…本、嫌いなんだよなぁ…」
開くだけで眠くなるから、本なんて読んだりしない。
「これは、バルドでも読めると思います」
「うーん…」
本を読むなんて、面白いとは思えない。だけど、普段、俺の遊びに付き合って貰っているのもあって、俺は大人しく渡された本を読んだ。そうしたら、親父達から聞いて、コンラッドにも話した事がある武勇伝が多く載っていた。
「コンラット、俺が話し聞いててくれたんだな!」
「あれだけ聞かされたら、嫌でも覚えます」
そっぽを向きながら言う姿に、思わず笑いそうになる。文句を言いながらも、俺が言った事を覚えていて、この本を渡してくるコンラットは、素直じゃないけど、やっぱり優しくて良い奴だよなぁ。
コンラットのおかげで、騎士が出て来る本なら、読めるようになっていった。
だけど、入学前のクラス分けの試験が近付いて来た時は、本当に苦痛だった…。
勉強する事が嫌いだったし、親父達にも何か言われた事もなかったから、学院のクラスなんて、何処でも良かった。でも、試験が近付くにつれて、親よりもコンラッドの方が、やたら勉強するように俺に言って来た。
俺と一緒のクラスになりたいからだとは、何となく分かっていたけど、体力に自信はあっても、学力は自信がない…。でも、俺だって、コンラットと一緒のクラスになれるなら、なりたいとは思っていた。
だから、コンラッドに教えて貰いながら、頑張って努力はした。俺の人生の中で、あの時が一番勉強したと思う。
後は、入学式の結果発表までは、のんびり出来ると思って遊びに行っていたが、その日はコンラッドがやたら不機嫌そうにしていた。理由を聞くと、次席で代表挨拶になったらしい。俺は良い事のような気がするが、本人は不満みたいで、合った事がない相手に愚痴っていた。コンラッドは良い奴だけど、憧れとかが強すぎて、思い込みが激しい所があるからなぁ…。
兄の方は、コンラットから話しを聞いてたし、大会で見てからは、俺も憧れてもいた。だけど、何も知らない弟の方には、コンラットほどの思い入れはない。
学院初日、食ってかかっているコンラットを見ながら、相手を観察して見たけど、悪い奴には見えなかった。その後、やっぱり勘違いだって分かって、仲直りしたそうだったけど、コンラットは素直じゃないからなぁ…。
俺は、きっかけさえあれば、仲直り出来ると思って、教室に来ていた奴に話し掛けた。話してみたら、思ったよりも話しが合って、思いの外仲良くなった。それに、コンラットも2人と仲直り出来たみたいだった。仲良くなれるようにと思って遊びに誘ったけど、まあ、成功、かなぁ?
リュカ達とも仲良くなって来たある日、リュカから悩み事?を相談された。頼りになる所を見せるために、見事解決してやろうと思ったら、自身でも忘れようと思っていた事を思い出させられた。まさか、コンラッドに埋めている所を見られているとは、思ってもいなかった…。頼むから…親父にはそのまま黙っててくれ…。
リュカの屋敷で勉強会をしている時に、思いがけず憧れの人と合って、手合わせのお願いをした。でも、俺でも知ってる有名人なら、親父と一緒で忙しいだろうと思って、実際に手合わせ出来るとは思っていなかった。だから、手合わせが出来ると知った時は驚いた。これも、リュカがいたおかげだ。
約束までの数日は落ち着かなくて、教師に怒られたけど、親父から何時も怒られている俺としては、全く怖くもなんともない。それより、楽しみ過ぎて、時間がたつのが遅すぎる方が辛い。当日なんて、ほとんど寝られなかった。
朝日が登ったのを確認して、朝も食べずにコンラットの家に行ったけど、使用人しか起きてなくて、本人はまだ寝ているらしい。俺は速く行きたくて、何時も通り部屋に入って起こしたら、不機嫌そうに怒られた。
「今、何時だと思っているんですか!?」
「もうすぐ5時だな」
「約束は14時なんですから、速すぎます!!」
不満を言いながら、身支度を終えたコンラットと朝食を食べながら、部屋で時間が来るのを待っていた。だけど、針の進みが遅くて、壊れているんじゃないかと、針を進めようとしたらコンラットに怒られ、落ち着かない事も怒られた。でも、さっきから時計を見ながらそわそわしているんだがら、速くてももう行かねぇ?
オルフェ様の剣は、俺の親父とはまた違った剣だった。親父の剣を受けると、手が痺れるくらいの重さを感じるのに、オルフェ様の剣は重さを感じない、なのに何故か手から剣が消えている。動きも滑らかで、剣に当たったと思っても、気が付けば俺が地面に転がっていた。まるで、実体のない水を相手にしているようだった。
俺は、体力の限界まで動いて、体はしんどいけど楽しかった。手合わせしてくれただけで十分だったけど、寝転んでいる俺に、オルフェ様はアドバイスまでもくれた。でも、剣の動きはまったく違うのに、言う事が親父と一緒なのが、少し笑えた。
来週、親父とも手合わせする約束をしているから、少しでも強くなった所を見せて、驚かしてやりたい!
屋敷へと帰る間も、剣の事しか考えていなかったから、コンラッドに少し呆れられた。
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