67 / 230
二章
招待
しおりを挟む
疲れきった様子で屋敷に帰ると、みんなから『学院で何かあったのか!?』と聞かれた。けれど、図書館での出来事を話す気にはなれなくて、その場を何とか必死で誤魔化した。
だけど、今日の出来事が父様に、連絡が行くんじゃないかと、だんだんと時間がたつに連れて、不安になって来た。その日、学院から連絡が来る事はなかったが、不安な一夜となった。
次の日、教室に行くと、既に3人共席に座っており、コンラッドは疲れ切ったような顔をしていた。僕達の中で、元気そうにしているのはバルドだけだ。
「リュカも元気なさそうだな?」
「むしろ、何で元気だと思ったんですか…」
コンラッドは、呆れたような顔をしながら、隣に目を向けていた。僕も、不思議そうにしているバルドを見ると、ため息を付きたくなるような気持ちになる。
「昨日は、大変だったみたいだな」
他人事のように言うネアには、若干、不満を感じながら、僕はネアの隣に座った。
「ネアはあの時、何処にいたの?」
「俺は、奥の方にいたから、騒ぎになっていたのには気付かなかった。気付いた時には、俺以外いなくなっていたしな」
「追い出されるように図書館に出たので、連絡をする暇もなかったですからね…。あんな騒ぎを起こしたので、当分の間は図書館には行けなさそうです…」
僕としては、コンラットが下手に止めたせいで、被害が拡大したような気もする。けれど、落ち込んでいる様子のコンラッドには、とても言えない。
「図書館なんて行けなくても、困らないだろ?」
「僕は!困るんです!!」
屋敷に大量の蔵書がある僕としても、図書館に行けなくても困らない。だけど、コンラッドには大問題のようだった。
「なら、僕の家に来る?」
「え!?」
「図書館ほどはないけれど、兄様が本が好きで、屋敷にたくさん本が置いてあるから」
「良いんですか!?」
「う、うん。僕のじゃなくて、兄様の本だから、兄様に聞いてみないと分からないけど…たぶん大丈夫だと思う」
「是非、お伺いさせて下さい!」
そんな、目の色を変えながら言われると、少し速まったかなと思ってしまう…。
「俺も、邪魔してもいいか?」
「それなら俺も!」
「あなた達は、来る必要ないでしょう…」
「俺は、リュカの身内に興味がある」
「俺は、みんなが行くから行く」
そういえば、ネアは最初からそう言っていたな…。バルドは、理由になっていない気がするけど…。
「なら、今日、家に帰ったら聞いてみるね」
キーンコーンカーンコーン
予鈴の音に会話が中断して少したった頃、リオ先生が教室に入って来た。その際に、先生と視線があったような気がした。
「皆さん。おはようございます。授業をする前に、皆さんにお話しがあります。昨日、図書館で、ちょっとした騒ぎがあったそうです。入学したてで、はしゃぎたい気持ちは分かりますが、学院のルールや節度を守って下さいね」
僕は、先生の話しに、身に覚えがあり過ぎて、先生の方を見れなかった。前に座っているコンラッドを見ると、頭を抱えるようにして唸っていた。その隣のバルドは…うん…アクビをして眠そうにしてたよ…。
朝から注意された日に、苦手な歴史や剣術の授業もなくて、本当に良かった。それがあったら、落ち込んで1日乗り越えられなかったかも知れない。
学院から帰った僕は、さっそく夕食の席で、週末に人を屋敷に呼んでもいいか尋ねてみた。
「リュカの友達なら、いくらでも呼んでかまわないよ。でも、私はその日も仕事で屋敷にはいれなくて、挨拶は出来そうにないんだ…」
「私も、ちょうど王妃様からお茶会に誘われていて、屋敷にはいないの…」
「店の者との打ち合わせで、出かける用事が…」
え?何?みんな屋敷にいないの!?
「なら、また今度にします…」
「そんな事しなくていいよ。何か必要な物があれば、前もって使用人達に準備させるけれど、何をして遊ぶんだい?」
誰もいない時に、人を呼ぶのが何だか嫌で、別の日にしようとしたけれど、父様の方が僕よりも乗り気みたいだった。
「別に準備はいらないよ。だけど、兄様にお願いがあってね…?」
「私に?」
「うん…。兄様が、書庫に置いてある本、みんなで読んでも良い?」
「別にかまわないが…。わざわざ屋敷に来て読まなくても、学院にある図書館の方が、蔵書も多いと思うのだが?」
「!!。ほ、ほら、図書館だとみんなで騒げないから!!」
言ってすぐに、自分の言葉に後悔した。本を読むって言っているのに、何を騒ぐって言うんだよ!?自分でも思うけど、言い訳が下手すぎる!!
「オルフェ、リュカが初めて友達を屋敷に連れて来ると言うのだから、少しくらい許して貰えないかな?」
「別に、駄目とは言っていません…。書庫にある本は、ほとんど読んだから好きにしていい」
「ありがとうございます!兄様!!」
これで明日、皆にはいい報告が出来そうだ!僕は、明日が待ち遠しくなりながら、眠りに付くのだった。
だけど、今日の出来事が父様に、連絡が行くんじゃないかと、だんだんと時間がたつに連れて、不安になって来た。その日、学院から連絡が来る事はなかったが、不安な一夜となった。
次の日、教室に行くと、既に3人共席に座っており、コンラッドは疲れ切ったような顔をしていた。僕達の中で、元気そうにしているのはバルドだけだ。
「リュカも元気なさそうだな?」
「むしろ、何で元気だと思ったんですか…」
コンラッドは、呆れたような顔をしながら、隣に目を向けていた。僕も、不思議そうにしているバルドを見ると、ため息を付きたくなるような気持ちになる。
「昨日は、大変だったみたいだな」
他人事のように言うネアには、若干、不満を感じながら、僕はネアの隣に座った。
「ネアはあの時、何処にいたの?」
「俺は、奥の方にいたから、騒ぎになっていたのには気付かなかった。気付いた時には、俺以外いなくなっていたしな」
「追い出されるように図書館に出たので、連絡をする暇もなかったですからね…。あんな騒ぎを起こしたので、当分の間は図書館には行けなさそうです…」
僕としては、コンラットが下手に止めたせいで、被害が拡大したような気もする。けれど、落ち込んでいる様子のコンラッドには、とても言えない。
「図書館なんて行けなくても、困らないだろ?」
「僕は!困るんです!!」
屋敷に大量の蔵書がある僕としても、図書館に行けなくても困らない。だけど、コンラッドには大問題のようだった。
「なら、僕の家に来る?」
「え!?」
「図書館ほどはないけれど、兄様が本が好きで、屋敷にたくさん本が置いてあるから」
「良いんですか!?」
「う、うん。僕のじゃなくて、兄様の本だから、兄様に聞いてみないと分からないけど…たぶん大丈夫だと思う」
「是非、お伺いさせて下さい!」
そんな、目の色を変えながら言われると、少し速まったかなと思ってしまう…。
「俺も、邪魔してもいいか?」
「それなら俺も!」
「あなた達は、来る必要ないでしょう…」
「俺は、リュカの身内に興味がある」
「俺は、みんなが行くから行く」
そういえば、ネアは最初からそう言っていたな…。バルドは、理由になっていない気がするけど…。
「なら、今日、家に帰ったら聞いてみるね」
キーンコーンカーンコーン
予鈴の音に会話が中断して少したった頃、リオ先生が教室に入って来た。その際に、先生と視線があったような気がした。
「皆さん。おはようございます。授業をする前に、皆さんにお話しがあります。昨日、図書館で、ちょっとした騒ぎがあったそうです。入学したてで、はしゃぎたい気持ちは分かりますが、学院のルールや節度を守って下さいね」
僕は、先生の話しに、身に覚えがあり過ぎて、先生の方を見れなかった。前に座っているコンラッドを見ると、頭を抱えるようにして唸っていた。その隣のバルドは…うん…アクビをして眠そうにしてたよ…。
朝から注意された日に、苦手な歴史や剣術の授業もなくて、本当に良かった。それがあったら、落ち込んで1日乗り越えられなかったかも知れない。
学院から帰った僕は、さっそく夕食の席で、週末に人を屋敷に呼んでもいいか尋ねてみた。
「リュカの友達なら、いくらでも呼んでかまわないよ。でも、私はその日も仕事で屋敷にはいれなくて、挨拶は出来そうにないんだ…」
「私も、ちょうど王妃様からお茶会に誘われていて、屋敷にはいないの…」
「店の者との打ち合わせで、出かける用事が…」
え?何?みんな屋敷にいないの!?
「なら、また今度にします…」
「そんな事しなくていいよ。何か必要な物があれば、前もって使用人達に準備させるけれど、何をして遊ぶんだい?」
誰もいない時に、人を呼ぶのが何だか嫌で、別の日にしようとしたけれど、父様の方が僕よりも乗り気みたいだった。
「別に準備はいらないよ。だけど、兄様にお願いがあってね…?」
「私に?」
「うん…。兄様が、書庫に置いてある本、みんなで読んでも良い?」
「別にかまわないが…。わざわざ屋敷に来て読まなくても、学院にある図書館の方が、蔵書も多いと思うのだが?」
「!!。ほ、ほら、図書館だとみんなで騒げないから!!」
言ってすぐに、自分の言葉に後悔した。本を読むって言っているのに、何を騒ぐって言うんだよ!?自分でも思うけど、言い訳が下手すぎる!!
「オルフェ、リュカが初めて友達を屋敷に連れて来ると言うのだから、少しくらい許して貰えないかな?」
「別に、駄目とは言っていません…。書庫にある本は、ほとんど読んだから好きにしていい」
「ありがとうございます!兄様!!」
これで明日、皆にはいい報告が出来そうだ!僕は、明日が待ち遠しくなりながら、眠りに付くのだった。
10
お気に入りに追加
75
あなたにおすすめの小説
転生勇者は連まない。
sorasoudou
ファンタジー
連まないは、ツルまないと読みます。
「世界を救う見返りにハーレムを要求してるような性根が腐った奴は、ここを放ってどこに行ったんですか。って聞いてるんだが?」
異世界の神々によって創造された『勇者の器』
空っぽの体に転生し宿ったのは、記憶喪失の人違いの魂。
望めば何でも切れる神剣に、容姿端麗の朽ちない体。
極めつけは魅了の眼差し。
神々の加護も人嫌いには呪いでしかない。
絶対に仲間は要らない勝手に魔王倒させて下さいな勇者、一人旅希望です。
注意:紹介文の通り、比較的まじめに異世界を旅してます。
全年齢対象として書いていますが、戦闘場面などが含まれます。
こちらの作品はカクヨムで同時更新しています。
マンガ版を制作中です。表紙やキャラ絵は登場人物にて紹介しています。
更新はのんびりですが、よろしくお願いいたします。
前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に二週目の人生を頑張ります
京衛武百十
ファンタジー
俺の名前は阿久津安斗仁王(あくつあんとにお)。いわゆるキラキラした名前のおかげで散々苦労もしたが、それでも人並みに幸せな家庭を築こうと仕事に精を出して精を出して精を出して頑張ってまあそんなに経済的に困るようなことはなかったはずだった。なのに、女房も娘も俺のことなんかちっとも敬ってくれなくて、俺が出張中に娘は結婚式を上げるわ、定年を迎えたら離婚を切り出されれるわで、一人寂しく老後を過ごし、2086年4月、俺は施設で職員だけに看取られながら人生を終えた。本当に空しい人生だった。
なのに俺は、気付いたら五歳の子供になっていた。いや、正確に言うと、五歳の時に危うく死に掛けて、その弾みで思い出したんだ。<前世の記憶>ってやつを。
今世の名前も<アントニオ>だったものの、幸い、そこは中世ヨーロッパ風の世界だったこともあって、アントニオという名もそんなに突拍子もないものじゃなかったことで、俺は今度こそ<普通の幸せ>を掴もうと心に決めたんだ。
しかし、二週目の人生も取り敢えず平穏無事に二十歳になるまで過ごせたものの、何の因果か俺の暮らしていた村が戦争に巻き込まれて家族とは離れ離れ。俺は難民として流浪の身に。しかも、俺と同じ難民として戦火を逃れてきた八歳の女の子<リーネ>と行動を共にすることに。
今世では結婚はまだだったものの、一応、前世では結婚もして子供もいたから何とかなるかと思ったら、俺は育児を女房に任せっきりでほとんど何も知らなかったことに愕然とする。
とは言え、前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に、何とかしようと思ったのだった。
テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。
女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません
青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。
だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。
女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。
途方に暮れる主人公たち。
だが、たった一つの救いがあった。
三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。
右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。
圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。
双方の利害が一致した。
※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております
サバイバル能力に全振りした男の半端仙人道
コアラ太
ファンタジー
年齢(3000歳)特技(逃げ足)趣味(採取)。半仙人やってます。
主人公は都会の生活に疲れて脱サラし、山暮らしを始めた。
こじんまりとした生活の中で、自然に触れていくと、瞑想にハマり始める。
そんなある日、森の中で見知らぬ老人から声をかけられたことがきっかけとなり、その老人に弟子入りすることになった。
修行する中で、仙人の道へ足を踏み入れるが、師匠から仙人にはなれないと言われてしまった。それでも良いやと気楽に修行を続け、正式な仙人にはなれずとも。足掛け程度は認められることになる。
それから何年も何年も何年も過ぎ、いつものように没頭していた瞑想を終えて目開けると、視界に映るのは密林。仕方なく周辺を探索していると、二足歩行の獣に捕まってしまう。言葉の通じないモフモフ達の言語から覚えなければ……。
不死になれなかった半端な仙人が起こす珍道中。
記憶力の無い男が、日記を探して旅をする。
メサメサメサ
メサ メサ
メサ メサ
メサ メサ
メサメサメサメサメサ
メ サ メ サ サ
メ サ メ サ サ サ
メ サ メ サ ササ
他サイトにも掲載しています。
クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される
こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる
初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。
なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています
こちらの作品も宜しければお願いします
[イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]
変人奇人喜んで!!貴族転生〜面倒な貴族にはなりたくない!〜
赤井水
ファンタジー
クロス伯爵家に生まれたケビン・クロス。
神に会った記憶も無く、前世で何故死んだのかもよく分からないが転生した事はわかっていた。
洗礼式で初めて神と話よく分からないが転生させて貰ったのは理解することに。
彼は喜んだ。
この世界で魔法を扱える事に。
同い歳の腹違いの兄を持ち、必死に嫡男から逃れ貴族にならない為なら努力を惜しまない。
理由は簡単だ、魔法が研究出来ないから。
その為には彼は変人と言われようが奇人と言われようが構わない。
ケビンは優秀というレッテルや女性という地雷を踏まぬ様に必死に生活して行くのであった。
ダンス?腹芸?んなもん勉強する位なら魔法を勉強するわ!!と。
「絶対に貴族にはならない!うぉぉぉぉ」
今日も魔法を使います。
※作者嬉し泣きの情報
3/21 11:00
ファンタジー・SFでランキング5位(24hptランキング)
有名作品のすぐ下に自分の作品の名前があるのは不思議な感覚です。
3/21
HOT男性向けランキングで2位に入れました。
TOP10入り!!
4/7
お気に入り登録者様の人数が3000人行きました。
応援ありがとうございます。
皆様のおかげです。
これからも上がる様に頑張ります。
※お気に入り登録者数減り続けてる……がむばるOrz
〜第15回ファンタジー大賞〜
67位でした!!
皆様のおかげですこう言った結果になりました。
5万Ptも貰えたことに感謝します!
改稿中……( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )☁︎︎⋆。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる