落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!

ユーリ

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二章

結末

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図書館に向かう途中、ネアとバルドが会話をしていると、自然に僕とコンラットが一緒に並んで歩く事になった。無言で歩くのも嫌だったので、思い切ってコンラットに話し掛けてみる事にした。

「コンラットは、疲れたりしなかった?」

「何がですか?」

「今日一日、勉強しても疲れたりしてなさそうだから」

ネアや、バルドなら体力がありそうだから、疲れていなくても不思議ではない。だけど、僕と同じような体型をしているコンラットも、僕みたいに疲れているような素振りはなかった。

「勉強する事は嫌いではないので、疲れるとかはあまり感じませんね」

「そうなんだ…」

そういえば、父様達に憧れて、勉強とかも頑張っていたって、バルドが言ってたっけ…。

「コンラットは、父様達に憧れてるの?」

「それは、私だけではないと思いますよ。それに、同学年もそうですが、先輩方にも憧れている人は多いと思います。実際、話した事がある人などは、私以上かも知れません」

「え!」

「何を驚いてるんですか?まさか…何も知らないんですか…?」

「え、えーと…」

「はぁ…。もう少し、ご自身の家族に興味を持った方が良いですよ。それと、周りから尊敬される方は、その分、怨みも買いやすいそうです。だから、貴方も色々と気を付けた方が良いですよ」

「う、うん…」

そんな事言われても、僕にはどうしようもない気がするんだけどね…。そうこうしているうちに、目的地である図書館の前まで到着していた。

「よし!各自、怪しそうな所を探すぞ!!」

「バルド!図書館では走らないで下さい!!」

図書館の中へと走って行ったバルドを追い掛けて、コンラッドも先に行ってしまった。ネアも、1人で奥の本棚の方へと行ってしまったため、僕、1人だけが入口に取り残されてしまった。

図書館は、2階まで吹き抜けになっていて、壁一面に本が並んでいるのが見える。天井を支える柱部分にも本が並び、それらを繋ぐように通路が張り巡らしてあった。視線を下げると、手前側に本を読んだりするスペースが設置されており、その奥には本棚が数え切れないほど並んでいた。

本が好きな兄様にとっては、ここは楽園のように見えたかもしれない。

僕は、兄様が読みそうな本を探しながら、本棚の間を歩いていたら、僕を呼ぶ声が聞こえてきた。

「リュカ!ネア!いないか!?」

「バルド!図書館で、大声を上げないで下さい!」

声がする方へ急いで行くと、大声を出すバルドを、コンラッドが小声で必死に止めていた。

「ど、どうしたの!?ひとまず落ち着いて!」

これ以上、僕の名前を大声で呼んで欲しくなくて、僕も一緒にバルドを止める。

「怪しい場所を見つけたから、2人を探してたんだ!ネアは、まだ見つけてないけど、リュカに先に見せるな!ほら、こっち!」

バルドは、今来た道を小走りで戻りながら、僕達を読んだ。

「だから、走るなと行っているのに!」

走らないように気を付けながら、急いでバルドの後を追い掛けていると、1つの本棚の前で止まった。

「ここ!最近、大量に本を動かしたみたいなんだよ!ここだけ、本を移動するなんて怪しくないか!?」

本棚を見ると、図鑑などが置いてある棚で、僕の屋敷でも見た事がある本が並んでいた。

「そもそも、何で移動したって分かるんですか?それに、ただ単に、本の入れ替えをしただけかもしれないでしょう?」

「他の本棚は、少しホコリが積もっていたけど、この本棚だけはホコリが積もってなかった。それに、入れ替えならここだけするのはおかしい!」

「そ、それは、そうですけど…」

バルドが言った言葉に、コンラットは不満そうにしながら納得していた。それにしても、大雑把に見えて、意外と色々見ているんだな。

「とにかく!この後ろが怪しいと俺は思う!だから、ちょっと動かしてみないか?」

「はぁ!駄目に決まってるでしょう!何を考えているんですか!?」

「ちょっとだけ!ちょっとだけだから!!」

本棚に手をかけて引っ張ろうとするバルドと、それを止めようとするコンラッドがもみ合って、本棚が大きく揺れる。

「ふ、2人とも!それ以上すると…」

僕が、2人を止める間もなく、本棚に入っていた大量の本が、容赦なく2人の上に落ちて来た。

「「うわぁー!!」」

2人は、落ちて来た大量の本に埋め尽くされながら、痛そうに呻いていた。図鑑など、分厚い本が並んでいたため、見ていた僕としても何だか痛い…。

「何の騒ぎだ!?」

大きな物音を聞いて駆け付けた司書に、僕達3人は並んで厳重注意を受けた。その後、司書の人達から図書館を追い出されるように外に出た僕達は、そのまま家に帰るしかなかった…。
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