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二章

入学前に

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兄様の卒業式も無事に終わり、僕は、1つの問題に直面していた。

「クラス分けの試験があるのを忘れてた!!」

書庫で、兄様と入学式の話しになった時、クラス分けの試験があったのを唐突に思い出した。最近、色々あったせいか、すっかりと忘れていた。

「ど、どうしよう…僕、大丈夫かな…?」

「クラスを分けるだけだ。普段通りやれば、大丈夫だろう?」

僕の横で、平然と言う兄様に、試験の結果を試しに聞いてみた。

「……兄様の試験結果は?」

「主席だな」

「……」

次の日、授業のためにやってきたフェリコ先生にも、試験結果について、同じように聞いてみた。

「私ですか?主席ではないですけど、Aクラスでしたね。でも、普通に受ければ大丈夫だと思いますよ?」

「……」

分かりきってはいるけれど、一応、父様にも試験について聞いてみた…。

「?主席だったけど、それがどうかしたかい?試験なんて、普段通りやれば問題ないだろう?」

「言うと思った!!」

出来る人は、だいたい同じような事を言うけど、それが出来るなら、苦労はないんだよ!!

「母様…」

「ど、どうしたの!?」

僕が、泣きそうな顔をしていたからか、母様は何処か慌てたように、僕の側に来てくれた。

「母様は…入学前の試験…どうだった…?」

「入学前の試験って、クラス分けの事?Cクラスだったけど?」

「母様ー!」

僕は、母様に試験に付いての不安などを相談した。

「確かに、試験会場とかに入ると緊張して、普段通りにはいかないものね…」

「父様達は大丈夫って言うけど…クラス分けって…実際どうなの…?」

「そうね。学院は、平等を掲げているから、成績順にクラスを分けるんだけど、本当は貴族と平民とのクラスを分けるための物なのよ。だから、Eクラスよりも下のクラスは、別棟になっているのよ」

貴族は、A~Eクラスのどれかのクラスに、だいたいはなるそうだ。クラスの人数や数などは、その年の人数によって、毎年調整するらしい。その際、B~Eは40人前後で、2つや3つに別れる事はあっても、Aクラスだけは、1クラス40人と決まっていて、変わる事はないそうだ。

母様も、実際に見た事がないそうだけど、Fクラスからは200くらいが入れる、講義室で授業を行うらしい。

やっぱり…明確な違いがあるんだ…。

「学院に入ると、魔物討伐の演習とかもあるから、そういった時に、高位貴族を一つのクラスに集めておいた方が、学院としても護衛しやすいのよ。それに、街の住民との無用なトラブルとかを防ぐ意味もあるから、表だって抗議する人もいなくて、今まで問題になった事はないわ。私の場合は、対した爵位じゃなかったからクラスは何処でも良かったけど…」

何処か言いづらそうにしていたが、母様に思い切って聞いてみた。

「…ちなみに、公爵家って…どのクラスですか…?」

「…全員、Aクラス…だったわね…」

「「………」」

まあ、そんな気はしてたよ!やっぱり、何も大丈夫じゃなかった!!父様と兄様の嘘つき!!

「リュ、リュカ!まだ、試験までには時間があるから!クラス分けの試験くらいなら、私でも力になれるから頑張りましょう!!」

「母様!!」

その後、フェリコ先生の授業以外でも、僕と母様での、試験対策の勉強会が始まった。

「何も、そんなに根を詰めて勉強しなくても、良いんじゃないかな…?」

「私も、十分だと思うが?」

「この件に関しては、父様と兄様の言葉には信用がないから!!」

僕に対する2人の評価が甘すぎる事は、分かっている。それでも、テストに出そうな問題などを予想して貰ったりなど、2人にも手伝って貰いながら、母様と一緒に試験勉強を頑張るのだった。

試験当日。

「リュカ!頑張って!応援してるからね!!」

「はい!!全部出しきれるように、頑張ってきます!!」

「えっと…ちょっと…大げさすぎじゃないかな…?」

「……」

僕と母様が、今までの健闘を称え合いながら、意気込んでいると、父様と兄様は、何処か戸惑うように、一歩引いて僕達を見ていた。

「父様は、僕の気持ちが分からないんですか!?」

「え!い、いや…。分かろうとは、思っているんだけどね…。どう対処すればいいか…」

「アル!!リュカのやる気に水を指してはいけないわ!!ちゃんと応援しないと!!」

「お、応援…いるかな…?」

「応援してくれないなら、父様達はあっちで待ってて下さい!!」

その後、母様と2人で、気合を入れている間、父様達は、戸惑ったように僕達を見ていた。

試験会場に入ると、大勢の子達が既に集まって来ていた。僕も、自分の席に付くけれど、部屋の独特の雰囲気があって緊張してくる。

「まずは、深呼吸…」

母様に教えて貰ったように、まずは深呼吸をして落ち着く事。それに、母様とあれだけ頑張って勉強したんだから、きっと大丈夫!!

配られて来た問題を開くと、予想問題でやった問題が多く出できたおかげで、何とか落ち着いて問題を解くことが出来たと思う。でも、試験の結果が分かるのが、入学式の日だから、それまでの1週間、不安な日々が続きそうだ…。
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