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一章
お腹がすいて
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空腹で目が覚めて、 部屋の時計を見ればもうすぐ 日付が変わるところだった。
父様からお腹が空いたら呼ぶように言われたけど、こんな夜更けに起こして、わざわざご飯を準備して貰うのは何だか申し訳ない……。
ベットに横になってはみたが、腹の虫の音が気になってなかなか寝付けない。寝返りを打ちながら気を紛らわせても、返って目が冴えてきて眠れない。
「あー!もう!!」
このまま朝まで我慢するのは無理だと思った僕は、ベットから飛び起きると、廊下へ出る扉をそっと開けた。
扉の外は、暗く静まり返っており、人の気配を感じない。
普段なら、夜ぐっすり寝ているため、こんな時間に部屋の外に出た事がない。普段から見慣れているはずの廊下が、夜だというだけで、全くの別の場所のように感じて恐怖を感じる。
「だ、大丈夫!厨房にお菓子を取りに行くだけだから!大丈夫!!」
誰もいない廊下で一人、小さく声を上げる。何か声を出していないと怖くて前に進めない。
「誰も…いない…よね…?急に…出てこないでね……?」
恐る恐る進むため、厨房までの道がとても長く感じた。
「うー。寒い……何か上に来てくれば良かったかな……」
冬の夜は日中と違って冷え込んでいるうえに、恐怖心も合わさって更に寒く感じて、身を縮こませる。僕は上着を着てこなかったことを後悔しが、今から部屋に引き返すには遠い場所まで進んだ後だった。僕は、このまま 厨房に向かった方が速いと思った僕は、足早に厨房へと向かった。
僕は厨房の扉の前に立つと、少しだけ扉を開けて、隙間から中に誰か人がいないかどうか様子を窺う。中に誰もいない事を確認すると、お菓子がないか厨房内を探し始めた。
「前は、ここら辺にあったと思ったんだけどな」
以前、お菓子を見つけた場所を探してみたが見つからない。 他の戸棚の奥も覗いて探して見たけれど、調理器具や食器など重いそうな物しか置いていなかった。
その後も、しばらくゴソゴソ辺りを探してみたけれど、やっぱりお菓子は見当たらなかった。 このまま諦めて帰ろうとした時、後ろのテーブルの上に小さな木箱が置いてあるのが見えた。
「あれ?こんなのさっきあったっけ?」
不思議に思いながら木箱の蓋を開けると、中にはたくさんのクッキーが入っていた。
「わぁ~!」
箱の中に入ったクッキーは、どれも美味しそうだった。 僕はその1枚ずつを取り出して口に入れる。そのたびに口の中に甘さが広がって美味しい。それに、お腹が空いていたからか、いつもより美味しく感じられた。
「あっ!!」
夢中でクッキーを食べていたら、僕は大変なことに気がついた。木箱に入っていたクッキーが、半分ほどにまで減っていた。こらはさすがに食べ過ぎたと後悔する。
前に、昼食前にクッキーをつまみ食いして、ドミニクに叱られたことを思い出す。ばれたらまた怒られると思い、慌ててクッキーを満遍なく並らべて蓋を閉める。
木箱を元の位置に戻すと、廊下に誰もいない事を確認して、部屋へと走って戻る。走っていたせいなのか、それともお腹が満腹になっていたからなのか、来た時よりも廊下は暖かく寒く感じることはなかった。
その後、ベットに潜り込むと、満腹と暖かさで、ぐっすり眠りに付く事が出来た。そのため、夜中につまみ食いをした事なんて、朝になったら綺麗に忘れてしまっていた。
「リュカ、おはよう。昨日は良く眠れたかい?」
朝、食堂に入ると何時もと変わらない態度で僕を迎えてくれた。
「おはようございます!昨日はちゃんと眠れました」
父様達に朝の挨拶をしながら、自分の席へと座って朝食が運ばれて来るのを待った。
「昨日は、ご飯食べなくてお腹空いていると思って、量をちょっと多くしてもらったのよ」
朝食が運ばれて来る時、母様に言われて朝食をみれば、確かに普段の量よりも多くなっていた。それでも、そこまで多いとわけでなかったので食べられると思っていた。でも、途中からお腹がいっぱいになって、箸の進みが遅くなる。何故か分からずに首を傾げていると、夜中にクッキーを食べた事を思い出す。
もし、このままご飯を残せば、夜中につまみ食いをした事がばれて怒られる!怒られないためにも、ご飯は残せないと思って、頑張って箸を進めて食べる。
「リュカ…。無理して食べなくていいんだよ……」
「そ、そんな事ないよ!お腹空いてるよ!」
両親は、心配しているような、何処か呆れているような気配があった。両親から視線を食事に戻せば、無意識でも食べていたのか、さっきまであった食事が、いつの間にかほとんどなくなっていた。
ほっとして顔を上げれば、両親揃って何処か少し笑っていた。不思議に思ってたら、横からも視線を感じて視線を向ければ、こちらを見ている兄様と視線が合った。兄様は、何処か疲れたようにため息を一つ付くと、そのまま食堂を出て行ってしまった。
そんな兄様を、両親は何処か可笑しそうに笑いながら見ていてた。
「どうしたの?」
「オルフェもアルに似て不器用ってことよ」
「?」
首を傾げる僕や、気まずけにしている父様をよそに、母様だけは楽しそうに笑っていた。
その後、僕が食堂から出ようと扉を開ければ、扉の外に、見覚えのある木箱を持ったドミニクが笑いながら立っていた……。
ドミニクに叱られた僕には、しばらくお菓子禁止令が出た……。
父様からお腹が空いたら呼ぶように言われたけど、こんな夜更けに起こして、わざわざご飯を準備して貰うのは何だか申し訳ない……。
ベットに横になってはみたが、腹の虫の音が気になってなかなか寝付けない。寝返りを打ちながら気を紛らわせても、返って目が冴えてきて眠れない。
「あー!もう!!」
このまま朝まで我慢するのは無理だと思った僕は、ベットから飛び起きると、廊下へ出る扉をそっと開けた。
扉の外は、暗く静まり返っており、人の気配を感じない。
普段なら、夜ぐっすり寝ているため、こんな時間に部屋の外に出た事がない。普段から見慣れているはずの廊下が、夜だというだけで、全くの別の場所のように感じて恐怖を感じる。
「だ、大丈夫!厨房にお菓子を取りに行くだけだから!大丈夫!!」
誰もいない廊下で一人、小さく声を上げる。何か声を出していないと怖くて前に進めない。
「誰も…いない…よね…?急に…出てこないでね……?」
恐る恐る進むため、厨房までの道がとても長く感じた。
「うー。寒い……何か上に来てくれば良かったかな……」
冬の夜は日中と違って冷え込んでいるうえに、恐怖心も合わさって更に寒く感じて、身を縮こませる。僕は上着を着てこなかったことを後悔しが、今から部屋に引き返すには遠い場所まで進んだ後だった。僕は、このまま 厨房に向かった方が速いと思った僕は、足早に厨房へと向かった。
僕は厨房の扉の前に立つと、少しだけ扉を開けて、隙間から中に誰か人がいないかどうか様子を窺う。中に誰もいない事を確認すると、お菓子がないか厨房内を探し始めた。
「前は、ここら辺にあったと思ったんだけどな」
以前、お菓子を見つけた場所を探してみたが見つからない。 他の戸棚の奥も覗いて探して見たけれど、調理器具や食器など重いそうな物しか置いていなかった。
その後も、しばらくゴソゴソ辺りを探してみたけれど、やっぱりお菓子は見当たらなかった。 このまま諦めて帰ろうとした時、後ろのテーブルの上に小さな木箱が置いてあるのが見えた。
「あれ?こんなのさっきあったっけ?」
不思議に思いながら木箱の蓋を開けると、中にはたくさんのクッキーが入っていた。
「わぁ~!」
箱の中に入ったクッキーは、どれも美味しそうだった。 僕はその1枚ずつを取り出して口に入れる。そのたびに口の中に甘さが広がって美味しい。それに、お腹が空いていたからか、いつもより美味しく感じられた。
「あっ!!」
夢中でクッキーを食べていたら、僕は大変なことに気がついた。木箱に入っていたクッキーが、半分ほどにまで減っていた。こらはさすがに食べ過ぎたと後悔する。
前に、昼食前にクッキーをつまみ食いして、ドミニクに叱られたことを思い出す。ばれたらまた怒られると思い、慌ててクッキーを満遍なく並らべて蓋を閉める。
木箱を元の位置に戻すと、廊下に誰もいない事を確認して、部屋へと走って戻る。走っていたせいなのか、それともお腹が満腹になっていたからなのか、来た時よりも廊下は暖かく寒く感じることはなかった。
その後、ベットに潜り込むと、満腹と暖かさで、ぐっすり眠りに付く事が出来た。そのため、夜中につまみ食いをした事なんて、朝になったら綺麗に忘れてしまっていた。
「リュカ、おはよう。昨日は良く眠れたかい?」
朝、食堂に入ると何時もと変わらない態度で僕を迎えてくれた。
「おはようございます!昨日はちゃんと眠れました」
父様達に朝の挨拶をしながら、自分の席へと座って朝食が運ばれて来るのを待った。
「昨日は、ご飯食べなくてお腹空いていると思って、量をちょっと多くしてもらったのよ」
朝食が運ばれて来る時、母様に言われて朝食をみれば、確かに普段の量よりも多くなっていた。それでも、そこまで多いとわけでなかったので食べられると思っていた。でも、途中からお腹がいっぱいになって、箸の進みが遅くなる。何故か分からずに首を傾げていると、夜中にクッキーを食べた事を思い出す。
もし、このままご飯を残せば、夜中につまみ食いをした事がばれて怒られる!怒られないためにも、ご飯は残せないと思って、頑張って箸を進めて食べる。
「リュカ…。無理して食べなくていいんだよ……」
「そ、そんな事ないよ!お腹空いてるよ!」
両親は、心配しているような、何処か呆れているような気配があった。両親から視線を食事に戻せば、無意識でも食べていたのか、さっきまであった食事が、いつの間にかほとんどなくなっていた。
ほっとして顔を上げれば、両親揃って何処か少し笑っていた。不思議に思ってたら、横からも視線を感じて視線を向ければ、こちらを見ている兄様と視線が合った。兄様は、何処か疲れたようにため息を一つ付くと、そのまま食堂を出て行ってしまった。
そんな兄様を、両親は何処か可笑しそうに笑いながら見ていてた。
「どうしたの?」
「オルフェもアルに似て不器用ってことよ」
「?」
首を傾げる僕や、気まずけにしている父様をよそに、母様だけは楽しそうに笑っていた。
その後、僕が食堂から出ようと扉を開ければ、扉の外に、見覚えのある木箱を持ったドミニクが笑いながら立っていた……。
ドミニクに叱られた僕には、しばらくお菓子禁止令が出た……。
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