アルファな主人とオメガの従者

初めての発情期 後編

「っ………っあ、っ！」

唇を離され、入念に舐められた先端はテラテラと光っている。

「もっ、そこ、だけじゃ…やらぁ。」

ぐずぐずに溶かされ、何度も胸だけで達せされられた俺はいつもは言わないことを言っても、気にならなくなっていた。

うわ言のように楓様の名前を呼び、今まで我慢していた反動から、「すき、すき」とつい彼に縋りついてしまう。抱きついた先の彼はまだ服を脱いでもおらず、俺だけが1人汗ばんで色々な液体に塗れているという倒錯的な状況にクラクラした。

「ん。俺も好きだよ。ごめんね、後ろも可愛がってあげないと。」

そう言われ、キスされるのと同時に彼の指がグジュグジュに蕩けた俺の秘部に侵入してくる。触れられたことのない場所に入ってくる期待と恐怖から息が荒くなる。

「っあ…。」

「痛くない？」

待ち焦がれていたそこはきゅーきゅーと収縮し、彼の指を締め付ける。恥ずかしさのあまり、こくこくとうなづく。

「いい子だね…。こっちも可愛がってあげたいけど、また今度ね。」

と、もうずっと透明な液体をダラダラと流すだけになったちんこを弾かれ、それだけで体が弓形にのけ反る。入れられた指はそのまま縦横無尽に俺の中を動き回る。

「…あぁ、ﾝんあ…はぁああ"、あ…」

自分のあられも無い声とぐちゅぐちゅと液体が泡立つ音が広い部屋に響いてるのを感じ、また羞恥心に駆られる。

「あっ………！そこっ」

楓様の指がある一点を押すと、カラダがビクンビクンと跳ねる。まるで自分の体が制御出来なくなったかのように、反応する。

「ここかな？類の気持ちいいところ。ちゃんと言えて偉いね。」

褒めてもらえた…と嬉しくてまた楓様に擦り寄ると、中に入った指が増やされこりこりと俺の良いところを刺激してくる。

「あっ、だめっ…だめっえぇ、…」

そのままいつのまにか3本の指が入り込み、強く擦られるだけで今まで感じたことのない快感が自分を駆け上がってくるのを感じる。腹の奥がきゅーきゅーと収縮し、うねりながら自分の子宮が下におりてきて疼いているのだ。

そのまま指がぐるりと肉襞を擦りあともう少しで頂点に上り詰めるというところで、指が抜かれてしまう。

「…っな、んで…」

また訳もわからないが涙が出てくる。楓様に涙を見せるなんてそれこそ子供の時以来だ。

それでも、ぽっかりと空いた蕾がひくひくと震え、今まで埋められていた熱を求めているのを感じる。

「、か、えでさま…おねがい…」

ぼやけた視界の中で楓様が笑ったような気がした。

「あー。本当可愛いね。うん、もう入れていいよね。」

布越しに押し付けられた硬いものに俺の孔はまただらだらと愛液を漏らしているだろう。かちゃかちゃと楓様がズボンを脱ぎ捨て、現れた彼の逸物の太くグロテスクなその姿に思わず唾を飲み込んだ。平静であれば恐ろしいと思ったそれも、今は空白を埋めてくれる愛おしい存在のように思えた。

「、は…やく、いれてーーｯあ、あ"あ"あ"」

ずん、と一気に蜜壺を貫かれた衝撃でぽっかりと空いた口からは唾液が漏れ、浮き上がった背中は痙攣して戻ってこれない。開いた足もだらしなく、楓様に征服される格好だ。

「っ…やばいな…」

楓様もふーと息を漏らし、ギラギラと光る瞳を向けてくる。いつのまにか汗で張り付いた前髪が色っぽく、それだけで腹の中がきゅんとする。

「かえでさま…」

縋るような視線を向けると優しい笑みが返ってくる。その間にも膣と化した孔は収縮し、中のものの形を確かめるように纏わりつく。

「類、動くね。」

そう宣言されて開始された律動は、肉襞が引っ張られるのではないかと思うほど激しく、息ができない。

「あ、アあぁ…んっ…あ"あ"、ん"…んぅ"っ…」

抽送が繰り返され、ぐちゅぐちゅと液体が掻き混ぜられる音が響くたびに俺のあられのない声も聞くに堪えないものとなっていく。

「んッ、、ん…あ、あ"っ…あぁ」

「っ…気持ちいいね？類？」

余裕そうな表情をしながらも欲情の熱のこもった視線を向けてくる楓様を見るだけでまた身体が反応する。その間にも容赦のない快感が俺を襲う。もう何度達したのか分からないが、俺の屹立はもはや、だらだらと透明な液体を流し続けるだけの器官と成り下がっていた。

「っ…は、いぃっ、…んっ」

「ねぇ、類噛んでいい？」

「…っ！」

オメガにとっては一生もののその儀式。憧れていたものの、諦めていた道がすぐそこにある。

ぽろぽろと涙が溢れてくる。10歳からもうすでに楓様の虜だったのに。こんなのずるい…。

「泣かないで。…可愛すぎて我慢できなくなるから。」

「ぉ、れずっと楓様が好きで…。側にいるだけでも嬉しくて、幸せで、苦しくて、でも楓様の周りにはいっぱい人がいて…」

俺、何言ってるんだろ。でも快楽で溶かされた頭は言葉を溢すことを止められなかった。今まで何度、従者としてではなく、もっと特別な関係で楓様の側にいれたらいいのにと思っていた心が暴走して止まれなかった。

「…おれだけのものになって欲しいのに。それはおれには言えないことで、ずっと好きなのに。一緒にいたいのに…。いつかおれじゃないだれかと、けっこんするのかとおもって、、くるしかった。」

もはや自分が何を言っているのか分からなかった。涙と色々な液体で汚れた顔は到底見せられるものではないだろう。支離滅裂な言葉を吐き出しては楓様に縋った。

「ごめんね、寂しい思いさせて。これからはずっと一緒だよね？」

「ぅん、…一生楓様のそばに居させてください。」

茹だるような頭で答えたその瞬間、楓様の方を向いていた体がひっくり返され、急所を彼の目の前に晒すような格好になる。ナカに入っていた彼の肉棒はぐるりと俺のイイところを擦るようにして動いた。それだけでも力が抜ける。

そんな俺を押さえつけるようにして、頸に彼の舌が這う。往復する彼が時折歯を立てるたび、今から征服されるのだという期待に身体が震えた。ぱんっぱんっと打ち付けられる力強さから絶頂が近づいているのを感じた。

「かえでさまぁ、か、んで…がん"て"っ！」

「あぁ、類、愛してるよ。」

ぐっと俺と楓様の境目が分からなくなるくらい押し付けられた箇所に流れ込む熱さと、今まで誰の印もなかった場所に刻まれる痛さに思わず身体が震えた。

「ぁあ"あ"あ"！」

だくだくと流れ込む熱の熱さに俺はびくん、びくんと身体を揺らしながらも、限界を迎えた脳は意識を手放していった。目を閉じながらも頸に感じる痛みが俺を幸福へと導いてくれていた。

「…おやすみ、類。」


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眠ってしまった類にそっと口付け、彼の中にいつまでも入っていたいと主張する逸物をそっと抜き出す。

その瞬間溢れてくる白濁液にどんだけ出したのかと失笑する。

後で掻き出してあげなきゃと考えつつ、頸に刻まれた歯形を見て思わず笑みが溢れる。強く噛みすぎたせいかそこは流血し、酷い有様だった。

ようやくだ。心は積年の思いを達成した喜びに満ち溢れていた。

何度その無防備な頸に噛みついて閉じ込めてしまおうとしたことか。

婚約者の話が出るたびに分かりやすく揺れる瞳を追い詰めて手籠にしてしまおうと想ったことか。

それでも類の発情期を待ってよかった。直接彼の口から告白も聞けたし。

類を抱きしめて、そっと口付けを落とす。

早く実家にも通達して、式も挙げて、ハネムーンにも行って。これからの事を考えて思わず笑みが溢れた。