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しおりを挟む自分の聞き間違いではなければ今、妻の口からこの先祖代々大切に受け継いできた屋敷が最近王都を中心に急成長している大商会の担保に掛けられていると聞こえた気がする。
「ど、どういうことだ……?」
「え?どういうこともなにもローズ商会は旦那様の名義で私が経営している商会ですから……ローズ商会の経営が上手くいかなくなったらこのお屋敷は差し押さえられてしまうかと……」
妻から返ってきた言葉に公爵は絶句した。自分が知らぬ間に自分名義で勝手に商会が作られているのも勿論の事だが、普段大人しくて子作り以外何も取り柄がないような女が今、最も勢いのある商会の経営を……まさかそんな事をしていたとは夢にも思っていなかったのだ。
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