悪役令嬢「実家から追放されたくないのでお兄様と結婚しようと思いますわ！」

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　途端、口に広がった一口食べただけで水が欲しくなる濃い醤油味、そして食べ応えのある中太麺に絡み付いたギトギトの豚油とガツンと鼻を抜けるニンニクの香りにこの世界に生まれてからずっとお上品な、薄味の料理しか口にした事がない『西条院彩華』が抗えるはずもなく……


「どうかな？美味しいかい？」

「おいひぃれふぅ……（おいしいです）」

「ふふふ、それなら良かった。もう一口食べるかい？」

「ふあい……（はい）」


　こうしてあっさりカップラーメンに陥落した私はお兄様に言われるがまま二口目を受け入れてしまったのである。



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「絶対に今日は昨日みたいな失敗はしないわよ！」


　翌日。結局、昨夜はお兄様に与えられるままカップラーメンを一人で食べてしまい案の定眠くなって話をする間もなくお兄様に自室に送り返された私は昨日のリベンジに燃えながらお兄様の部屋に向かっていた。ちなみに今の私の姿は、いつものお嬢様の寝巻きではなく、丈が短くてやたらレースが付いた透け透けのワンピース……いわゆるネグリジェというやつを着ている。そう、あのえっちな漫画とかに出てくるすけべなお姉さんがよく着ているようなやつである。勿論、純粋培養お嬢様として育ってきた私がこんな服持っているわけないのでその辺にいた使用人を捕まえて無理矢理買って来させた服なわけなんだけど……うん、結構恥ずかしいわ。これ。屈んだら絶対に下着が見えそうだし……いや！でもこのめっちゃえろい服ならあのお兄様だってイチコロのはず！そう思いながら太ももから垂れ下がったレッグガーターなるなんだか分からないものを引き上げ、意を決してお兄様の部屋の扉を叩いた。


　コンコン、


「お兄様、彩華です。部屋に入ってもよろしいですか？」

「彩華かい？うん、入ってきていいよ」


　昨日とは違い部屋の中からすぐにお兄様の返事が返ってくる。よし！ここからは気合いを入れて行くわよ！そう意気込みながらドアノブに手をかけて扉を開けると……そこには昨日と同じように座卓の前に座っているお兄様の姿があった。ただし、昨日と違った点がひとつだけあり……


（なにあれ……？）


　私は座卓の上に置かれた大きなモニターに唖然とするが、お兄様は呆気に取られる私を見て笑った。


「ふふふ、これかい？これは庶民の間で流行ってるらしいテレビゲームというものだよ。今日、たまたま庶民の店に行ったら『お兄さんどうですか！？このゲームは今、品切れ続出の大人気ゲームでしてねえ！これが最後のひとつなんですよ！どうですか！買っていきませんか！？今ならこのモニターとゲーム機もお付けして10万円ですよ！』と勧められて買って来たんだ。どうだい？彩華もやってみないかい？」