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しおりを挟むレイモンドの瞳のような青空が広がってます。
私の婚約式のドレスは水色です。レイモンドの瞳を意識して、裾にかけてグラデーションで濃くなっていきます。
天気が良いと気持ちまでウキウキしますね。
髪とお化粧もバッチリです。日頃は薄化粧ですが、今日は、フルメイクのため、別人のような変身ぶりです。
ちなみに、今日の髪とお化粧は公爵家のお抱えのプロのお仕事です。うちのナタリーも上手だと思いましたが、この人達の仕事をみたら、プロとアマの違いを感じました。別人メイクとドレスで、私が私でないようです。
お母様とフレディでさえ、誰この人はという顔をしましたからね。
レイモンドがみたら、なんて言うか楽しみです。
結婚式と違って婚約式は、両親に見守られながらサインするだけですが、ドキドキします。
ノックの音が聞こえました。扉の外から
「ディア準備できましたか?もうそろそろ出発の時間ですので」
レイモンドが迎えに来てくれたので、イタズラ心がでてしまい、扉を開けてレイモンドに抱きつきました。
ビックリした顔が見たかったのに、私の思いとは違う顔のレイモンドが出てきました。
それは、私が好きすぎて仕方がない顔です。甘々モードが出る前の顔なのです。私の中で危険信号がなっています。化粧と髪型を崩されるわけにはいかないからです。
「レイモンド様行きましょう。皆さんを待たせてはいけないでしょう?」
「とっても綺麗だ。私をその気にさせたのに、帰ったら貴方を抱きしめたい。今は、我慢するよ。せっかく綺麗にセットしてあるからね」
両親やフレディはもちろん、公爵夫妻とグレイも、とても綺麗だと褒めてくれます。
お義母様は、私のドレスのグラデーションをとても気に入ってくださり、褒めちぎってくれるのです。
前世の記憶があるため、グラデーションは特に珍しいことではありませんが、この世界では斬新だったようです。
だから、このグラデーションもドレスショップのマダムが契約料を払ってくれたのですね。
公爵領で一番大きい教会にやってきました。礼拝に来ていた領民達も公爵家の馬車がとまるので、何かあるのかと遠巻きで見ています。
着飾ったレイモンドが馬車から降りた瞬間、若い女性のキャ~と黄色い声が聞こえてきました。
私から見ても、今日のレイモンドは王子様みたいですからね。そんな王子様にエスコートされる平凡な私、でも今日は別人メイクですから隣に立っていても見劣りはしないはずです。
レイモンドにエスコートされ、教会に入りました。
あらかじめ、婚約式をすることを連絡してあるので、神父様が出迎え、書類にサインをするだけの準備がしてあります。
この書類にサインをしたら、私達は正式な婚約者ですね。
私達はお互いをみつめ、サインをしました。サインをしたら、神父様に書類を提出し、神父様にサインを貰い、その書類を国に提出します。
公爵閣下が、どうせ自分が最終的に見るから、預かってくれることになりました。
現代なら記念写真をとっておしまいですが、カメラがないため、絵に残すのです。
これが私にとって一番大変な事でした。ただ座っているだけなのです。ただ座っているだけが難しいので、絵描きさんの後ろに、お父様と公爵閣下に座ってもらい、オリーブの植樹の話をしました。
私の顔を書いている時は話しませんが、それ以外の時は、事業の計画を話しました。
街道にオリーブを両サイド植えて、こまめに剪定をして、オリーブの木が高くならないようにし、それぞれの領地のブランド化の話など、思いつく限り話しました。
その都度、お父様や公爵閣下から質問やこうしたほうが良いのではないかと言う話し合いがもたれました。
ただ座っているだけが、話し合いの場になったので、時間があっという間に過ぎ、後は晩餐だけになりました。
晩餐が済めば、今日のイベントが終わります。まずは、この婚約式のドレスを脱ぎ楽な姿になりたいです。
着替えるために、部屋に行こうとしたら、突然レイモンドに手をにぎられ、レイモンドの部屋に連れて行かれました。
「ディア、約束したよね。帰ってきたら、抱きしめると、このドレスを脱いでしまう前に、貴方を抱きしめたい」
私の首筋にレイモンドの息がかかります。優しく私の頭を支えて私の唇にレイモンドが触れます。
「早くディアと結婚したい。今は抱きしめるだけで、我慢します。愛してます」
身長差の関係か、いつも耳元で囁かれるのです。私の心臓がドクドクと早くなります。
そして、絶妙なタイミングでのノック音。公爵家の使用人が私を連れ出してくれます。
「さあ、お疲れでしょうから、楽なドレスに着替えて、晩餐までゆっくりしてください」
レイモンドに乱された髪を直し、楽なドレスに着替えさせ、お茶をいれてくれるなんて、流石は公爵家の使用人、プロです。
晩餐会では、無事に婚約式も終わり、レイモンドの卒業式と結婚式の、女性陣のドレスで盛り上がりました。
お母様もお義母様も、私がデザインしたドレスが着たいそうです。
デビューの時のドレスも婚約式のドレスも二人の感性に響いたみたいです。
そこまで、お願いされると、できる限り頑張りたいと思いました。
サインして終わりの婚約式も、なんやかんやで疲れました。
晩餐の後、庭の散歩に誘われましたが、今日は疲れたので、明日散歩することを約束し、部屋までエスコートされ、定番になりつつある、おやすみのキスで締めくくりです。
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