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 今日は、とうとうハッピーデーです。

 イブでもキャンディやマシュマロがたくさん売れました。
 特に、今日の午前中は、貴族令息に頼まれた使用人の方々が大量に買って下さいました。

 殿下の侍従の方も、大量購入されていました。きっと今から令嬢の屋敷にそれぞれにメッセージをつけて届けに行くのでしょう。

 そう言えば、お友達になった、オーシャン侯爵令嬢のシャーロットとは、たまにお茶を飲みながら恋の話をするようになりました。

 シャーロットは、なかなか面白い性格をしていて、クローバーデーの時もハートクッキーを5セット購入し、大本命、本命、スペア✕3の順に配ったそうです。

 今回駄目なら、来年は、人を変えて配るとバイタリティー溢れた話をしていました。

 ハッピーデーが終わったら、また結果発表を話すわねと元気いっぱいです。

 ハッピーデーのお返しとは関係なく、マシュマロが食べたい貴族の方も見えたようで、13日に食べて、速攻で予約が入ったようです。

 リックさんのガラス工房でも、トンボ玉ネックレスが大量に売れたようです。

 なんでも、トンボ玉ネックレスがどこで売っているのか分からなくて、困っていたようで。よく市場に行くクリスがアンとお揃いのトンボ玉ネックレスをしていたので、クリスに聞いて販売場所がわかったようです。

 ポスターには書いてありますが、識字率が低いので、口コミが一番でした。 
 場所がわかったら、ハートクッキーを貰った男性が、リックさんのガラス工房に押し寄せて、大変だったと聞きました。

 私はというと、週末のダンスの練習の後に、レイモンドが、14日に必ず学院から抜け出して来るので待ってて欲しいと言われています。

 授業が終わったあとなので、夕方です。私は、レイモンドにお土産として渡す野菜クッキーを作っています。

 夕方、今回は時間通りにレイモンドが来てくれました。応接室に通してソファーに座ろうとしたときです。

 レイモンドが私の前で片膝をつき、ダイヤの指輪を持ち
「フィンランディア・ルーシ・クライブ令嬢、私レイモンド・ジーク・シェルエントは、貴方と生涯を共に過ごしたいです。大切にします。私と結婚してください」
 
 驚きました、正式なプロポーズを今日されるとは。

「はい、レイモンド様。お受けします」

 私の言葉でレイモンドは私の薬指にダイヤの指輪をはめました。そして、トンボ玉ネックレスを首にかけてくれました。

「ありがとうございます。公爵家に伝わる指輪も、トンボ玉ネックレスも大切にします」


「ディア、愛してます。いつの間にか、こんなにも貴方の事が愛おしすぎて、いつもディアのことばかり考えてます。
 私はディアなしでは生けていけません。もちろん、ディアのお菓子も好きです」


「レイモンド様、私もいつの間にか貴方の事が……。
愛してます。私の作ったお菓子を喜んで食べてくれるレイモンド様が好きです。
 生涯、私の作ったお菓子を食べてくださいね」

 お互いに見つめあい、私が目を閉じたら口にレイモンドの唇を感じました。優しいバードキスでした。

 学院に帰る時間が近づいてきました。

「ディア、婚約は社交界デビューのあとでもかまわないけど、結婚を前提で婚約間近だとデビューのときに発表してもいいかい?

 私は、案外嫉妬深いのかもしれない。君が私以外の男性と笑っていると、不安になるんだ。

 だから、私以外の男性が近づかないように、私が側にいることをアピールしたいのかもしれない。

 私と交際していることを発表してもいいだろうか?」

 少し不安そうな顔のレイモンド。私みたいな平凡な令嬢に、なぜそんなにも心配するのかがわかりませんが、レイモンドが安心するならと思い

「はい、わかりました。交際を発表してください。私はレイモンド様が大好きですから」

 たちまち不安な顔から幸せな顔なりました。

 二人で、トンボ玉を毎年足して、最後はリリアン全部をトンボ玉にしようと話しました。

 デビュー前に両家で会うことの話になりました。

 私の手料理をレイモンドに食べてほしいので、ランチの時間に両家の顔合せをしようと提案しました。

 私の為に厨房を新たに作って下さるなら、私の簡単な手料理でもてなしたいからです。

 レイモンドはすごく楽しみにしていると言い、学院に帰って行きました。

 私のハッピーデーは、本当にハッピーで終わりました。
 ハートクッキーを渡した他の女性もハッピーになりますように。
 自分が幸せだと周りの人達も笑顔でいてほしいです。
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