41 / 96
41
しおりを挟む
sideグレイ
馬車が出発したので、思わず僕は父上と母上にどうだったか尋ねた。
「とっても美味しかったわ。飾りつけもキレイで、もっと食べたかったわ」
「うん、凄く美味しかった。伯爵が食べないなら、それも欲しいと言いたいのを、グッと我慢したよ。
でもお土産のケーキも貰ったし、満足したよ。
屋敷に帰ったら、キッチリ4等分しよう。
レイモンドにはケーキを別で食べたのを秘密にしよう。
食べたのを知られたら、このケーキ、全部食べられてしまう」
「父上も母上もケーキの感想を聞いたのではありません。
クライブ伯爵家の雰囲気と令嬢を見るために、訪問したのです」
確かにケーキは美味しかったが、本来の目的を忘れてもらっては困る。
母上は兄上をパートナーにと言っていたので、どう感じたか聞いておきたい。
「母上はパートナーの話をされてましたが、令嬢から何か感じるものがありましか?
今後の為に詳しく教えて下さい」
「ええ、そうですね、フルーツケーキがあまりにも美味しくて、レイモンドがパートナーになれば、頻繁に食べれるかもと思いました。
レイモンドも喜ぶかなって、ダメだったかしら」
「いいと思うよ。実に素晴らしい考えだよローズ。流石は私のローズだね」
二人で見つめあい、微笑みあっている。この二人は、もうこのままにしておこう。
僕は、お菓子ではなく令嬢の事を聞きたい。しかし、この二人はどうやら、ケーキしか見てなかったんだろう。
僕は、しっかり令嬢を観察してたが、確証は得られなかった。
ただ、伯爵夫妻とフレディは緊張していたが、令嬢はポーカフェイスが上手いのか、始終平常心にみえた。
ただ、父上達が、ケーキを何回もお代わりをして美味しいと、言ったときは、嬉しそうな顔をしていた。
だから、ケーキのレシピは令嬢が考えているのではと思ったが、父上達の食いっぷりに、クライブ伯爵家族に、カマをかける話が出来なかったのだ。
結局、買物などないので、屋敷にそのまま帰った。
ケーキが傷むと言う言葉が、心配なのか、すぐにティータイムになった。
父上が言った通りの4等分に切り分けて皿に盛り付けてある。
母上が言うように、クライブ伯爵家の盛り付けは素晴らしかった。
センスの良さと、より美味しくみせる効果がある。
兄上は、初めの一口を食べた瞬間に、すごい勢いで食べてしまった。
「このお菓子は、フレディが持ってきてくれたシュークリームと同じクリームが使ってある。
このお菓子をどうしたのですか?」
「買物をしてたら、フレディにあったから、晩餐のお礼に貰ったのだ」
父上、しれっと真実を混ぜながら本当の事を言わない話術、だが、父上と兄上は同じ性質をもつ仲間、騙される事はないみたいだ。
「お礼に貰ったは良しとしましょう。
しかし、食べるペースが父上のペースではないですね。
普段、初めて食べる美味しいものは、取られる前にあっという間に食べます。
私が初めて今日食べたのですから当然父上も初めてのはずです。
それなのに、味を知っているかのように、味わって食べてますよね。
これ以外に、どこで食べたのですか?」
何故、父上無言なのですか?面倒くさいと思い、無言で通そうとしてますね。
父上がダメなら母上ですよね、でも母上も違う方向を向いて兄上と目線を合わせようとしません。
最後は当然、僕ですよね。仕方がない。
「兄上、実は3人で買物にでたのですが、行く方向がフレディの家の方だったのです。
フレディに課題の事が聞きたくて、僕が寄りたいと言って行きました。
僕だけ降りて聞くつもりが、伯爵夫妻がみえたので、父上達も挨拶をと言うことになり、一緒にお茶をしました。
その時に、このフルーツケーキが出まして、兄上がおっしゃる通りケーキを食べるのは僕達は二度目です」
「じゃあ、この4等分されたケーキは、本来、私が食べる分ではないか?」
「兄上、それは違うと思いますが、お菓子好きの兄上としては残念に思う気持ちもわかります。
少し、手をつけてしまいましたが、良かったら僕の分もどうぞ」
兄上にそう言うと、それは嬉しそうな顔でケーキを食べ始めた。
美味しいケーキだが、クライブ伯爵家で、沢山食べてきたので、お腹が一杯なのだ。
父上と母上は、あんなにお代わりしたのに、すでに食べ終わっていた。
僕が兄上に説明をしてる間に、急いで食べたのがまるわかりだった。よほど急いで食べたのか、口の端にクリームがついてますよ。
今回思ったことは、クライブ伯爵家の事は、父上や母上に相談してはいけないということがわかった。
相談したら、お菓子食べたさについてくる可能性があるからだ。
やはり、兄上の親だけはある。お菓子につられてパートナーとは、少し頭が痛くなった一日だった。
馬車が出発したので、思わず僕は父上と母上にどうだったか尋ねた。
「とっても美味しかったわ。飾りつけもキレイで、もっと食べたかったわ」
「うん、凄く美味しかった。伯爵が食べないなら、それも欲しいと言いたいのを、グッと我慢したよ。
でもお土産のケーキも貰ったし、満足したよ。
屋敷に帰ったら、キッチリ4等分しよう。
レイモンドにはケーキを別で食べたのを秘密にしよう。
食べたのを知られたら、このケーキ、全部食べられてしまう」
「父上も母上もケーキの感想を聞いたのではありません。
クライブ伯爵家の雰囲気と令嬢を見るために、訪問したのです」
確かにケーキは美味しかったが、本来の目的を忘れてもらっては困る。
母上は兄上をパートナーにと言っていたので、どう感じたか聞いておきたい。
「母上はパートナーの話をされてましたが、令嬢から何か感じるものがありましか?
今後の為に詳しく教えて下さい」
「ええ、そうですね、フルーツケーキがあまりにも美味しくて、レイモンドがパートナーになれば、頻繁に食べれるかもと思いました。
レイモンドも喜ぶかなって、ダメだったかしら」
「いいと思うよ。実に素晴らしい考えだよローズ。流石は私のローズだね」
二人で見つめあい、微笑みあっている。この二人は、もうこのままにしておこう。
僕は、お菓子ではなく令嬢の事を聞きたい。しかし、この二人はどうやら、ケーキしか見てなかったんだろう。
僕は、しっかり令嬢を観察してたが、確証は得られなかった。
ただ、伯爵夫妻とフレディは緊張していたが、令嬢はポーカフェイスが上手いのか、始終平常心にみえた。
ただ、父上達が、ケーキを何回もお代わりをして美味しいと、言ったときは、嬉しそうな顔をしていた。
だから、ケーキのレシピは令嬢が考えているのではと思ったが、父上達の食いっぷりに、クライブ伯爵家族に、カマをかける話が出来なかったのだ。
結局、買物などないので、屋敷にそのまま帰った。
ケーキが傷むと言う言葉が、心配なのか、すぐにティータイムになった。
父上が言った通りの4等分に切り分けて皿に盛り付けてある。
母上が言うように、クライブ伯爵家の盛り付けは素晴らしかった。
センスの良さと、より美味しくみせる効果がある。
兄上は、初めの一口を食べた瞬間に、すごい勢いで食べてしまった。
「このお菓子は、フレディが持ってきてくれたシュークリームと同じクリームが使ってある。
このお菓子をどうしたのですか?」
「買物をしてたら、フレディにあったから、晩餐のお礼に貰ったのだ」
父上、しれっと真実を混ぜながら本当の事を言わない話術、だが、父上と兄上は同じ性質をもつ仲間、騙される事はないみたいだ。
「お礼に貰ったは良しとしましょう。
しかし、食べるペースが父上のペースではないですね。
普段、初めて食べる美味しいものは、取られる前にあっという間に食べます。
私が初めて今日食べたのですから当然父上も初めてのはずです。
それなのに、味を知っているかのように、味わって食べてますよね。
これ以外に、どこで食べたのですか?」
何故、父上無言なのですか?面倒くさいと思い、無言で通そうとしてますね。
父上がダメなら母上ですよね、でも母上も違う方向を向いて兄上と目線を合わせようとしません。
最後は当然、僕ですよね。仕方がない。
「兄上、実は3人で買物にでたのですが、行く方向がフレディの家の方だったのです。
フレディに課題の事が聞きたくて、僕が寄りたいと言って行きました。
僕だけ降りて聞くつもりが、伯爵夫妻がみえたので、父上達も挨拶をと言うことになり、一緒にお茶をしました。
その時に、このフルーツケーキが出まして、兄上がおっしゃる通りケーキを食べるのは僕達は二度目です」
「じゃあ、この4等分されたケーキは、本来、私が食べる分ではないか?」
「兄上、それは違うと思いますが、お菓子好きの兄上としては残念に思う気持ちもわかります。
少し、手をつけてしまいましたが、良かったら僕の分もどうぞ」
兄上にそう言うと、それは嬉しそうな顔でケーキを食べ始めた。
美味しいケーキだが、クライブ伯爵家で、沢山食べてきたので、お腹が一杯なのだ。
父上と母上は、あんなにお代わりしたのに、すでに食べ終わっていた。
僕が兄上に説明をしてる間に、急いで食べたのがまるわかりだった。よほど急いで食べたのか、口の端にクリームがついてますよ。
今回思ったことは、クライブ伯爵家の事は、父上や母上に相談してはいけないということがわかった。
相談したら、お菓子食べたさについてくる可能性があるからだ。
やはり、兄上の親だけはある。お菓子につられてパートナーとは、少し頭が痛くなった一日だった。
192
お気に入りに追加
5,021
あなたにおすすめの小説
料理がしたいので、騎士団の任命を受けます!
ハルノ
ファンタジー
過労死した主人公が、異世界に飛ばされてしまいました
。ここは天国か、地獄か。メイド長・ジェミニが丁寧にもてなしてくれたけれども、どうも味覚に違いがあるようです。異世界に飛ばされたとわかり、屋敷の主、領主の元でこの世界のマナーを学びます。
令嬢はお菓子作りを趣味とすると知り、キッチンを借りた女性。元々好きだった料理のスキルを活用して、ジェミニも領主も、料理のおいしさに目覚めました。
そのスキルを生かしたいと、いろいろなことがあってから騎士団の料理係に就職。
ひとり暮らしではなかなか作ることのなかった料理も、大人数の料理を作ることと、満足そうに食べる青年たちの姿に生きがいを感じる日々を送る話。
※表紙は「かんたん表紙メーカー」を使用しています。
世界最強の公爵様は娘が可愛くて仕方ない
猫乃真鶴
ファンタジー
トゥイリアース王国の筆頭公爵家、ヴァーミリオン。その現当主アルベルト・ヴァーミリオンは、王宮のみならず王都ミリールにおいても名の通った人物であった。
まずその美貌。女性のみならず男性であっても、一目見ただけで誰もが目を奪われる。あと、公爵家だけあってお金持ちだ。王家始まって以来の最高の魔法使いなんて呼び名もある。実際、王国中の魔導士を集めても彼に敵う者は存在しなかった。
ただし、彼は持った全ての力を愛娘リリアンの為にしか使わない。
財力も、魔力も、顔の良さも、権力も。
なぜなら彼は、娘命の、究極の娘馬鹿だからだ。
※このお話は、日常系のギャグです。
※小説家になろう様にも掲載しています。
※2024年5月 タイトルとあらすじを変更しました。
転生したら伯爵令嬢でした(ただし婚約者殺しの嫌疑付き)。容疑を晴らすため、イケメン年下騎士と偽装恋愛を始めます!
花房ジュリー②
恋愛
現代日本のOL・忍は、不慮の事故で死亡。
目覚めたら、モルフォア王国の伯爵令嬢モニクになっていた。
……と思ったら、自分の婚約披露パーティーの最中だった。
そして目の前には何と、婚約者とその愛人の死体が。
このままでは、容疑者第一号になってしまうのは間違い無い!
そんな私に、思わぬ救いの手が差し伸べられる。
三歳年下のイケメン騎士、アルベール様だ。
「アリバイを作ればいい。今夜、ずっとあなたと一緒にいたと、証言しましょう……」
前世でも現世でも、自己主張ができなかった私。
運命は自分で切り開こうと、私は彼の提案に乗る。
こうして、アルベール様との偽装恋愛を始めた私。
が、彼は偽装とは思えないほどの情熱で迫ってきて。
私を容疑者扱いする人々から、あの手この手で守ってくれる彼に、私は次第に惹かれていく。
でもアルベール様は、私にこう告げた。
「俺は、あなたにはふさわしくない人間なのです」
そんな折、アルベール様こそが犯人ではという疑いが浮上する。
最愛の男性は、果たして殺人鬼だったのか……!?
※6/13~14 番外編追加(アルベール視点)。
※小説家になろう様、ムーンライトノベルズ様、エブリスタ様にも掲載中。
【完結】幸せは自分で掴み取れですわ(お父様、侯爵家、婚約者、命、すべて私は守ります)
成実
恋愛
夢でみる違う世界の私が、今の私に教えてくれる。
違う世界の私の呟きを参考に、今の私の幸せを掴みとります。
七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない
猪本夜
ファンタジー
2024/2/29……3巻刊行記念 番外編SS更新しました
2023/4/26……2巻刊行記念 番外編SS更新しました
※1巻 & 2巻 & 3巻 販売中です!
殺されたら、前世の記憶を持ったまま末っ子公爵令嬢の赤ちゃんに異世界転生したミリディアナ(愛称ミリィ)は、兄たちの末っ子妹への溺愛が止まらず、すくすく成長していく。
前世で殺された悪夢を見ているうちに、現世でも命が狙われていることに気づいてしまう。
ミリィを狙う相手はどこにいるのか。現世では死を回避できるのか。
兄が増えたり、誘拐されたり、両親に愛されたり、恋愛したり、ストーカーしたり、学園に通ったり、求婚されたり、兄の恋愛に絡んだりしつつ、多種多様な兄たちに甘えながら大人になっていくお話。
幼少期から惚れっぽく恋愛に積極的で人とはズレた恋愛観を持つミリィに兄たちは動揺し、知らぬうちに恋心の相手を兄たちに潰されているのも気づかず今日もミリィはのほほんと兄に甘えるのだ。
今では当たり前のものがない時代、前世の知識を駆使し兄に頼んでいろんなものを開発中。
甘えたいブラコン妹と甘やかしたいシスコン兄たちの日常。
基本はミリィ(主人公)視点、主人公以外の視点は記載しております。
【完結:211話は本編の最終話、続編は9話が最終話、番外編は3話が最終話です。最後までお読みいただき、ありがとうございました!】
※書籍化に伴い、現在本編と続編は全て取り下げとなっておりますので、ご了承くださいませ。
【完結】兄様が果てしなくアレなのですけど、伯爵家の将来は大丈夫でしょうか?
まりぃべる
恋愛
サンクレバドラー伯爵家は、果てしなくアレな兄と、私レフィア、それから大変可愛らしくて聡明な妹がおります。
果てしなくアレな兄は、最近家で見かけないのです。
お母様は心配されてますよ。
遊び歩いている兄様…伯爵家は大丈夫なのでしょうか?
☆この作品での世界観です。現実と違う場合もありますが、それをお考えいただきましてお読み下さると嬉しいです。
冷宮の人形姫
りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。
幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。
※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。
※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので)
そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる