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sideグレイ
「父上、母上、多分あの美味しいお菓子のレシピを考えているのは、クライブ伯爵令嬢ではないかと思います。
兄上の野菜嫌いの為に、野菜クッキーを開発するには早すぎます。
フレディは姉と頻繁に手紙のやりとりをしています。
そのときに、兄上の野菜嫌いでも食べれるクッキーをお願いしていたんだと思います。
フレディはシュークリームの説明の時に、思わず姉様がと言って言い直していましたし」
僕が話している最中に、兄上と父上は、野菜クッキーを取り合って食べている。
母上は、そんな二人をいつもの事なので、優しい目で見ている。
「旦那様もレイモンドも、お菓子が好きですね。取り合わずに仲良く食べたらどうですか?」
「母上、この野菜クッキー、フレディが私の為に持ってきてくれたんですよ。父上は遠慮してください」
「レイモンド、お前はいつもクライブ令息のお菓子を食べているのだろう。
たまには、私に譲りなさい。さっきのシュークリームも、私ももっと食べたかったのだ。
それなのに、私が3個目を食べているときに、お前は8個目を食べてた。
クライブ令息が残したら、私が貰おうと思ってたのに、それも食べたじゃないか。
新作の野菜クッキーを私が食べてもいいじゃないか」
父上は、いつも冷酷の宰相と呼ばれている。
ただ、単純に無表情で、人の顔を観察するのが好きなだけなのだが、なまじ顔が整っているので、皆が怖がっている。
フレディをじっと見てたのも、後から父上に聞いたら、一生懸命食べている姿がリスみたいで、可愛くて眺めていたらしい。
本人はただ見ていただけでも、見られている当事者は威圧的で、心臓がバクバクするみたいだ。
兄上も父上に似て、視線で人を威圧するのに、お菓子の事で真剣に言い争うのはやめて欲しい。
父上と兄上は、もうそのまま放置しておこう。
「母上、フレディは多分、身分あるものは厨房入らずと言われている言葉を気にしているのではないかと思うのです。
でも、たしか5代位前の王妃様は自分で作られるのが好きだったと聞いているのですが?
いつから、厨房に入るのはいけない雰囲気になったのですか?」
母上は、不思議そうな顔で、考え込んでいたが、
「ああ、そう言えばそうでしたね。多分、4代前の王妃様が手先が不器用の方で、上手く作ることができなかったそうなの。
その時に、身分ある者は他にやることがあるから出来なくてもが、徐々に変わっていったんじゃないかしら。
だから、身分あるものは厨房入らずは、王家に縁がある家門は、あまり気にしないわね。
でもそういった経緯を知らない家門は、その言葉に縛られてるかもしれませんね」
イブのお菓子の新作があまり出なくなったのは、フレディが学院に入学してからだ。
弟のフレディの為に学費資金の準備をし終わって、次は自分自身の社交界デビューの準備をするために、お菓子に力を、入れる時間がなくなったと考えると辻褄が合うのではないか。
そして、厨房に入るのはダメだと本来の真実を知らない貴族家門は、令嬢の厨房入りを隠すはずだ。
父上が話すクライブ伯爵の性格やフレディをみると、高位貴族に近づこうとする家門では、ないようだ。
逆に、あまり関わりたくない雰囲気を出している。
政略結婚みたいに、婚約の打診でもだしたならば、速攻で病弱なのでと断ってきそうだ。
まだ、本人を見ていないからなんとも言えないが、慎重に事を進めないと逃げられてしまいそうだ。
もし、令嬢が本当は厨房に入るのが嫌なら別だか、好きならば、令嬢専用の厨房を作ると話せば公爵家に嫁いで来るのを嫌がらないかもしれない。
父上と兄上は、仕事が出来るが、人間的にどうかというと、微妙だとはっきり言える。
見た目は最高に良いが一緒にいるとなんとも、変わっているというか、何て言っていいかわからない。
母上は父上の見た目と自分にだけみせる甘えた感じが良いのよと話してくれたが、好みは人それぞれだ。
兄上の見た目と爵位だけで寄ってくる令嬢は、沢山いるだろう。
兄上の性格なら、フレディみたいな感じの令嬢の方が上手くいくと思う。
僕みたいなタイプや野心がある令嬢ならば、いかにも政略結婚ですと言う感じで、跡継ぎさえ出来れば、お互いに干渉しない間柄になるはずだ。
出来れば、兄上には幸せになってもらいたいと思っている。
お菓子のためとはいえ、兄上が結婚してもいいなあと思うなら後押ししたい。
まずは、フレディに遊びに行きたいとおねだりして、クライブ伯爵家に気軽に行けるようにしよう。
まずは、兄上がついてこないように、秘密で招待をされるようにフレディに持っていこう。
クライブ伯爵家に遊びに行くのが楽しみだ。
「父上、母上、多分あの美味しいお菓子のレシピを考えているのは、クライブ伯爵令嬢ではないかと思います。
兄上の野菜嫌いの為に、野菜クッキーを開発するには早すぎます。
フレディは姉と頻繁に手紙のやりとりをしています。
そのときに、兄上の野菜嫌いでも食べれるクッキーをお願いしていたんだと思います。
フレディはシュークリームの説明の時に、思わず姉様がと言って言い直していましたし」
僕が話している最中に、兄上と父上は、野菜クッキーを取り合って食べている。
母上は、そんな二人をいつもの事なので、優しい目で見ている。
「旦那様もレイモンドも、お菓子が好きですね。取り合わずに仲良く食べたらどうですか?」
「母上、この野菜クッキー、フレディが私の為に持ってきてくれたんですよ。父上は遠慮してください」
「レイモンド、お前はいつもクライブ令息のお菓子を食べているのだろう。
たまには、私に譲りなさい。さっきのシュークリームも、私ももっと食べたかったのだ。
それなのに、私が3個目を食べているときに、お前は8個目を食べてた。
クライブ令息が残したら、私が貰おうと思ってたのに、それも食べたじゃないか。
新作の野菜クッキーを私が食べてもいいじゃないか」
父上は、いつも冷酷の宰相と呼ばれている。
ただ、単純に無表情で、人の顔を観察するのが好きなだけなのだが、なまじ顔が整っているので、皆が怖がっている。
フレディをじっと見てたのも、後から父上に聞いたら、一生懸命食べている姿がリスみたいで、可愛くて眺めていたらしい。
本人はただ見ていただけでも、見られている当事者は威圧的で、心臓がバクバクするみたいだ。
兄上も父上に似て、視線で人を威圧するのに、お菓子の事で真剣に言い争うのはやめて欲しい。
父上と兄上は、もうそのまま放置しておこう。
「母上、フレディは多分、身分あるものは厨房入らずと言われている言葉を気にしているのではないかと思うのです。
でも、たしか5代位前の王妃様は自分で作られるのが好きだったと聞いているのですが?
いつから、厨房に入るのはいけない雰囲気になったのですか?」
母上は、不思議そうな顔で、考え込んでいたが、
「ああ、そう言えばそうでしたね。多分、4代前の王妃様が手先が不器用の方で、上手く作ることができなかったそうなの。
その時に、身分ある者は他にやることがあるから出来なくてもが、徐々に変わっていったんじゃないかしら。
だから、身分あるものは厨房入らずは、王家に縁がある家門は、あまり気にしないわね。
でもそういった経緯を知らない家門は、その言葉に縛られてるかもしれませんね」
イブのお菓子の新作があまり出なくなったのは、フレディが学院に入学してからだ。
弟のフレディの為に学費資金の準備をし終わって、次は自分自身の社交界デビューの準備をするために、お菓子に力を、入れる時間がなくなったと考えると辻褄が合うのではないか。
そして、厨房に入るのはダメだと本来の真実を知らない貴族家門は、令嬢の厨房入りを隠すはずだ。
父上が話すクライブ伯爵の性格やフレディをみると、高位貴族に近づこうとする家門では、ないようだ。
逆に、あまり関わりたくない雰囲気を出している。
政略結婚みたいに、婚約の打診でもだしたならば、速攻で病弱なのでと断ってきそうだ。
まだ、本人を見ていないからなんとも言えないが、慎重に事を進めないと逃げられてしまいそうだ。
もし、令嬢が本当は厨房に入るのが嫌なら別だか、好きならば、令嬢専用の厨房を作ると話せば公爵家に嫁いで来るのを嫌がらないかもしれない。
父上と兄上は、仕事が出来るが、人間的にどうかというと、微妙だとはっきり言える。
見た目は最高に良いが一緒にいるとなんとも、変わっているというか、何て言っていいかわからない。
母上は父上の見た目と自分にだけみせる甘えた感じが良いのよと話してくれたが、好みは人それぞれだ。
兄上の見た目と爵位だけで寄ってくる令嬢は、沢山いるだろう。
兄上の性格なら、フレディみたいな感じの令嬢の方が上手くいくと思う。
僕みたいなタイプや野心がある令嬢ならば、いかにも政略結婚ですと言う感じで、跡継ぎさえ出来れば、お互いに干渉しない間柄になるはずだ。
出来れば、兄上には幸せになってもらいたいと思っている。
お菓子のためとはいえ、兄上が結婚してもいいなあと思うなら後押ししたい。
まずは、フレディに遊びに行きたいとおねだりして、クライブ伯爵家に気軽に行けるようにしよう。
まずは、兄上がついてこないように、秘密で招待をされるようにフレディに持っていこう。
クライブ伯爵家に遊びに行くのが楽しみだ。
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