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今日は、ダリアの誕生日パーティーです。

 執事によって、お父様とカーク弁護士は、パーティー会場の隣の部屋で待機しています。
 いちよう、お父様は頭を強く打って記憶をなくしていたが記憶が戻ったという設定で登場します。

 ジークにも招待状を渡しましたが、来るかどうかまでは、わからないですね。

 もう一人の違う世界の自分がダニエルより、ぜったいジークが良いという意味が今なら痛いほどわかります。

 ジークは、コワオモテですが、ハンサムです。騎士団にいるので、キレイな筋肉の付き方をしてます。
 喋るとホッとする優しさ、体が大きいのに、小さい生き物が大好きなギャップ萌えが可愛く感じるのです。
 ジークを婿入りさせたいですね。

 ダニエルとの婚約破棄の書類さえ整えば、ジークをじっくり口説くのもいいかもしれません。

 自分の幸せは自分で掴み取る、もう一人の自分の口癖です。この言葉に何度も助けられました。
 自分で動く、受け身ではダメ、今から幸せを捕まえにいきますわよ。

 お義母様が、ダリアの誕生日パーティーに来てくれた方々に、挨拶をしています。
 ダニエルにエスコートされたダリアも、侯爵令嬢の後継者みたいな挨拶をしています。

 パーティーの中盤、ダニエルとダリアが私に近づいてきて一緒に来て欲しいと、会場の真ん中に連れて行こうとします。
 私は執事に目で合図を送りました。執事は、すぐに頷き、隣に控えているお父様達を迎えにいきました。
 急いで、婚約破棄の書類とペンを持って、こちらに来るのを確認してから、ダリア達についていきました。
 いよいよ、幸せを掴みとりますよ。

「今日をもって、スカーレット、貴方との婚約を破棄する。そして、貴方に、苛められていた可哀想なダリアと婚約する」

 笑ってしまいますわ、でも笑ってはダメ。お義母様をみると、それはそれは、良い笑顔だこと。

「わかりました。私はダリアを苛めたことはありませんが、婚約破棄には同意します。
 私という婚約者がいるにも関わらず、あなたはいつもダリアといましたからね。
 さあ、婚約破棄の書類です。今すぐサインをお願いします」

 考える時間を与えてはいけません。書類さえサインしてもらえば、私はダニエルと縁が切れるのです。
 すぐに書類が出てきたので、ダニエルが少し顔が強張っていますね。仕方がありません。

「さあ、二人の幸せな結婚のために、早く書類を書いてください」

 そう言えば、単純なダリアがダニエルにサインしろと促しています。書きましたね。
 すかさず、私もサインして、執事に渡しました。

 執事はカーク弁護士に渡し、カーク弁護士はすぐさま法務局に婚約破棄の書類を提出に行きました。

 さあ、舞台は整いました。お父様の出番です。
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