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回帰後、答え

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○アレク様へ

 アレク様、私達はあれから、学園を卒業して、結婚し、子供も二人授かりましたね。

 今は、その子供達も結婚して、孫が産まれました。私達はおじい様とおばあ様になりました。

 本当に色々ありました。アレク様の無口の良さは、長く連れ添えばとてもわかります。

 若いころは、何も言ってくださらないことに不安になりました。でも交換日記でアレク様の心を知る事ができ、それからは貴方の目を見ることにしました。

 貴方は、話しては下さらないけど、目で語ってくれました。私をいつも見守って大切にしてくれましたね。今回の人生はとても幸せでした。
 ずっと昔の質問に答える時期が来たようです。どうして、未来を夢で見ていたかの答えを書きますね。

 実は夢で見ていたのではないのです。実際に体験したり、現実に起こった事を覚えていたのです。何を言っているだと思うかもしれませんが、私は人生二度目です。
 
 一度目の人生は、アレク様の無口と私のツンデレが、上手くいかず、アレク様を慕う令嬢達の罠にはまり、私は卒業を待たずに毒杯を賜り、死にました。

 死ぬ間際、私は神々に今度生まれ変わったら、ツンデレではなく素直な気持ちを話せるようになりたいと願いました。
 次に目を覚ましたとき、私は7歳の祝福を貰う前に戻っていました。
 二度目の人生と違って、一度目は、お母様が8歳で、あの風邪の流行の時に亡くなるのです。

 お父様は、領地に引きこもり、そして私はばあやと屋敷に残りました。ツンデレで素直になれない私の気持ちをわかってくれる人がいない中、お父様は再婚したのです。
 私は、ますます孤立しました。アレク様との仲は、最悪とまでは、いいませんが、会話もなく寂しい毎日でした。
 だから、私は祝福を貰う前なら、一度目の人生のようにはならないと誓いました。
 しかし、祝福は変わらず、ツンデレでした。アレク様も無口でした。その時に私は、また今回の人生もと……。

 その時です、神々の声が聞こえたのは、アレク様もですよね。
 神々が、祝福によって死んだ私を哀れんで回帰させてくれたのです。アウロス様が神の力を使い時間を巻き戻したと聞いています。そのために、眠りにつかれたそうです。
 
 アウロス様は、私が令嬢の罠にはまらないよう、記憶を残しておいてくれたのです。

 記憶があるお陰で、薬草を取り寄せることが出来、お母様の命が助かりました。

 お父様も再婚せず、私は孤立せず、アレク様とは、交換日記によって、意思疎通が出来ました。

 何より、アレク様と仲良く過ごせたことが私にとって、とても幸せでした。
 これが、私が未来を知っていた答えです。

 アレク様、これが最後の交換日記ですね。
 交換日記は私の宝物です。


 愛してます。    シアより


 ○ シアへ


 シア、君からの最後の交換日記、ありがとう。

 君が永遠の眠りについたら、答えがわかるなんて。

 僕達の孫も、成人したのだから、ゆっくり眠って。

 シアが眠りについたときに、僕の一回目の記憶も戻ったんだよ。
 君が毒杯を飲んで眠りについた時から、僕の心は折れてしまったんだ。
 君がいないと思ったら、眠れず、食べることも出来なくなってしまったんだ。きっといつの間にか永遠の眠りについたんだろうね。

 今回の人生は、僕達はいつも一緒にいたね。神々のサポートを受けながら、すごく幸せだった。

 君との温かい思い出があるから、寂しくても、以前と違いしっかり眠れるし、食べているよ。

 孫娘のラリサがもうじき結婚するだ。もしかしたら、ひ孫まで見れるかも。

 もうしばらく、今回はシアの側にすぐには行けないけど、待っていて。僕と一緒に神々に挨拶に行こうね。

 この交換日記を君が読むことはないけど、僕は書き続けるよ。

 愛しているよ    アレクより。

 


 あれから孫娘のラリサが赤ちゃんを産んだんだよ。シアによく似ていた。だから、将来は美人になるよ。

 やっと君の側に行けるよ。待たせ過ぎだと怒るかい。君はツンデレだから、全然待ってませんわと言うのかな?一緒に神々にお礼を言いに行こう。シア愛しているよ。
    

 アウロス様、イリア様、ウロス様、エイリス様、オリビア様、とても幸せの人生でした。ありがとうございました。



        神々の会話

○アウロス「二人共、今回は幸せな人生を送れたようだな」

○イリア「そうね、幸せそうだったわ」

○ウロス「関わり過ぎたのか、寂しくて仕方がない。寂しすぎるから、僕は今から異世界に行くよ」

○エイリス「二人共、僕達にありがとうって言っていたね。僕も寂しすぎるよ」

○オリビア「人の人生はあっという間ね。私達もアレクとシアのお陰で考えることが出来たわね」

○アウロス「これからも、我々は、人々を見守り続けよう 」

 
 完


 拙い文章をいつも読んで下さり、ありがとうございました。
 短い話ですが、皆様が読みにきてくれると思うと頑張れました。皆様に感謝です。
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