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太陽が沈み夜が訪れる日。
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ドイツ軍はフランス西部で侵攻を続けている。しかし戦線が膠着しているので塹壕を造る。手袋に分厚い軍服を着ていても寒い。ようやく塹壕が出来上がると、敵国の仏英も塹壕を造っていた。
この塹壕戦の中、戦線が大膠着。ただただ日にちが過ぎていった。刻一刻と聖夜が待ち構えている。
1914年 12月23日。
この日、僕はこの膠着状態を打破するために銃で相手を撃つ。
スコープを覗くと彼方100m先にフランス軍と思われる軍人がこちらを覗いていた。
『バン!』
私はその軍人に向け一発、銃を撃ち放った。
しかし少しずれてしまい、当たらなかったようだ。その後もその軍人との銃撃戦が静かに繰り広げられていた。
だが悪い奇跡と言おうか、百発百中で外れてしまう。
スコープを覗く、周りは一面の銀世界に枯れ木が2つばかり。
この日はそれだけで終わった。前々からこんなやる気のない塹壕戦が続いていた。
上官「今日の晩飯だ。」
じゃがいもがひとつとシチューのみ。大体、質素な食事が当たり前になっていた。塹壕戦は食糧差での問題もある。フランスは世界にも誇る小麦大国。食料の点ではドイツに白旗が上がるので、質素になるのも仕方がない。
星がくっきり見えるほどに夜が深まった。寝室に同僚と部下との3人。
この塹壕にはカレンダーがない。そのため時間感覚が忘れてしまう。
「今日は何日でしょう?」
同僚「月の満ち欠けから見るに、今日は12月23日です。」
12月23日。明日はクリスマスイブ。こんな大戦の中でクリスマスを迎えるのか。
「明日はキリスト教の大切なしきたりだ。少し相手と停戦しないか?」
部下「は、はい。ぼくも休戦、いいと思います。」
「よし、上官に頼んできます。」
明日と明後日は敵にとっても休戦したいはず。この日は、この日だけは。
廊下を急いで駆けていく。上官の部屋に3回、ノックをする。
「すみません。あの、明日と明後日はクリスマスです。停戦はできないでしょうか?」
冗談半分で提案する。クリスマスでも戦争をするのか。僕は涙が込み上げてきそうなまぶたを気力で我慢する。
上官「うむ。よかろう。承諾した、明日朝6時に、お前が手を挙げ、休戦しよう。」
「はい。ありがとうございます!」
また廊下を駆ける。前よりも嬉しく、飛び跳ねているような。
「停戦が承諾された。」
この一報を仲間は喜んだ。サッカーボールなんか用意して、来るべき明日を待ち受けた。
敵側はどう出るのだろう。撃ち殺しにきて、この戦いに負けて、戦犯となり、処刑されるのだろうか。
つい悪い考えがよぎる。だが、クリスマスを信じて目を瞑った。
1914年 12月24日
この日は5時早朝に起きた。まだフランスは暗い。だがその空の中に一筋、金色に輝く線が透き通っている気がしたんだ。
ドイツ軍は作戦を決行する。
皆一同一斉に塹壕を出て手を挙げた。
その僅か刹那。イギリス軍、フランス軍らが天に一発、銃を撃ったのだ。
これは、休戦が締結された証だった。
このまま鉄格子を破り、両国軍は銀世界の中でクリスマスを共に過ごす。
両国軍はサッカーのラインを銃の先端で描き、サッカーの合図が銃の一発で始まった。
上官の華麗なドリブル。そのままシュートするのかと思いきや僕にパスが渡った。
僕はそのまま、思いきりシュートを放った。豪快なそのサッカーボールの弧線はハープのふちのように美しかった。
相手のキーパーは私のシュートを止めきれず、そのままゴールした。
45分、90分が過ぎていき、この試合は1ー0でドイツ軍側に軍牌が上がった。
次はクリケットをする。しかしドイツ軍、フランス・イギリス軍ごちゃ混ぜにした。僕のチームにはフランス軍人が3人、イギリス軍人が2人いた。その中には昨日の銃撃戦の相手がいた。
名前を知りたいが、フランス語や英語がわからないため、笑顔でその人を見るだけであった。
結局、その試合は私たちのチームは負けてしまった。
もうあたりは夜の景色。もう晩飯時だ。
いつもならまた質素な料理だが、今回はドイツ・フランス・イギリスの三国合わさった豪華なメーニュー。
ソーセージにプレッツェル、キッシュにフィッシュアンドチップス。ビールもある。こんな至福は戦争中なのかと疑う程。
豪華な三国の料理を嗜んだあとはドイツ軍の塹壕の中で寝た。明日も休戦。明日まで休戦。
1914年 12月25日
この日も早朝から塹壕を飛び出て遊び暮れた。
夜ご飯も食べあたりは深夜。
私は銃を撃ち合ったフランス軍人と横に寝そべった。フランス北西部の夜空を上に。
多くの光り輝く星々を指差し、笑い合った。
時刻は23時50分。あと10分でまた塹壕戦が再開する。
僕はあの軍人とに別れを告げ、塹壕へ入った。
この日はよく眠れない日になった。また戦争が始まると考えると、夜も眠れない。
1914年 12月26日
僕はいつも通り静寂で陰湿な銃撃戦が始まった。
それからというもの無駄な銃撃戦が続く塹壕戦が繰り広げられるだけであった。
1915年 12月24日
この日は塹壕戦を終わらせに、ドイツ軍最新の兵器塩素ガスを敵国の塹壕へ放る。
「塩素ガス準備用意、散布!」
この合図と共に一気に塩素ガスが投げられる。当然、ガスマスクなど着けてないので大量の人々が蟻の巣に水が入ったように死んでいく。
結局、この塹壕戦はドイツ軍の勝利となり、パリへの扉が開いた。
まあ、第一次世界大戦はイギリス・フランス・ロシアの協商国側が勝利したが、この背景にクリスマス休戦があったことはそうそう知っている人は少ない。
クリスマス休戦から来年で100年を迎える。
みなさん、クリスマスプレゼントは何にします?
この塹壕戦の中、戦線が大膠着。ただただ日にちが過ぎていった。刻一刻と聖夜が待ち構えている。
1914年 12月23日。
この日、僕はこの膠着状態を打破するために銃で相手を撃つ。
スコープを覗くと彼方100m先にフランス軍と思われる軍人がこちらを覗いていた。
『バン!』
私はその軍人に向け一発、銃を撃ち放った。
しかし少しずれてしまい、当たらなかったようだ。その後もその軍人との銃撃戦が静かに繰り広げられていた。
だが悪い奇跡と言おうか、百発百中で外れてしまう。
スコープを覗く、周りは一面の銀世界に枯れ木が2つばかり。
この日はそれだけで終わった。前々からこんなやる気のない塹壕戦が続いていた。
上官「今日の晩飯だ。」
じゃがいもがひとつとシチューのみ。大体、質素な食事が当たり前になっていた。塹壕戦は食糧差での問題もある。フランスは世界にも誇る小麦大国。食料の点ではドイツに白旗が上がるので、質素になるのも仕方がない。
星がくっきり見えるほどに夜が深まった。寝室に同僚と部下との3人。
この塹壕にはカレンダーがない。そのため時間感覚が忘れてしまう。
「今日は何日でしょう?」
同僚「月の満ち欠けから見るに、今日は12月23日です。」
12月23日。明日はクリスマスイブ。こんな大戦の中でクリスマスを迎えるのか。
「明日はキリスト教の大切なしきたりだ。少し相手と停戦しないか?」
部下「は、はい。ぼくも休戦、いいと思います。」
「よし、上官に頼んできます。」
明日と明後日は敵にとっても休戦したいはず。この日は、この日だけは。
廊下を急いで駆けていく。上官の部屋に3回、ノックをする。
「すみません。あの、明日と明後日はクリスマスです。停戦はできないでしょうか?」
冗談半分で提案する。クリスマスでも戦争をするのか。僕は涙が込み上げてきそうなまぶたを気力で我慢する。
上官「うむ。よかろう。承諾した、明日朝6時に、お前が手を挙げ、休戦しよう。」
「はい。ありがとうございます!」
また廊下を駆ける。前よりも嬉しく、飛び跳ねているような。
「停戦が承諾された。」
この一報を仲間は喜んだ。サッカーボールなんか用意して、来るべき明日を待ち受けた。
敵側はどう出るのだろう。撃ち殺しにきて、この戦いに負けて、戦犯となり、処刑されるのだろうか。
つい悪い考えがよぎる。だが、クリスマスを信じて目を瞑った。
1914年 12月24日
この日は5時早朝に起きた。まだフランスは暗い。だがその空の中に一筋、金色に輝く線が透き通っている気がしたんだ。
ドイツ軍は作戦を決行する。
皆一同一斉に塹壕を出て手を挙げた。
その僅か刹那。イギリス軍、フランス軍らが天に一発、銃を撃ったのだ。
これは、休戦が締結された証だった。
このまま鉄格子を破り、両国軍は銀世界の中でクリスマスを共に過ごす。
両国軍はサッカーのラインを銃の先端で描き、サッカーの合図が銃の一発で始まった。
上官の華麗なドリブル。そのままシュートするのかと思いきや僕にパスが渡った。
僕はそのまま、思いきりシュートを放った。豪快なそのサッカーボールの弧線はハープのふちのように美しかった。
相手のキーパーは私のシュートを止めきれず、そのままゴールした。
45分、90分が過ぎていき、この試合は1ー0でドイツ軍側に軍牌が上がった。
次はクリケットをする。しかしドイツ軍、フランス・イギリス軍ごちゃ混ぜにした。僕のチームにはフランス軍人が3人、イギリス軍人が2人いた。その中には昨日の銃撃戦の相手がいた。
名前を知りたいが、フランス語や英語がわからないため、笑顔でその人を見るだけであった。
結局、その試合は私たちのチームは負けてしまった。
もうあたりは夜の景色。もう晩飯時だ。
いつもならまた質素な料理だが、今回はドイツ・フランス・イギリスの三国合わさった豪華なメーニュー。
ソーセージにプレッツェル、キッシュにフィッシュアンドチップス。ビールもある。こんな至福は戦争中なのかと疑う程。
豪華な三国の料理を嗜んだあとはドイツ軍の塹壕の中で寝た。明日も休戦。明日まで休戦。
1914年 12月25日
この日も早朝から塹壕を飛び出て遊び暮れた。
夜ご飯も食べあたりは深夜。
私は銃を撃ち合ったフランス軍人と横に寝そべった。フランス北西部の夜空を上に。
多くの光り輝く星々を指差し、笑い合った。
時刻は23時50分。あと10分でまた塹壕戦が再開する。
僕はあの軍人とに別れを告げ、塹壕へ入った。
この日はよく眠れない日になった。また戦争が始まると考えると、夜も眠れない。
1914年 12月26日
僕はいつも通り静寂で陰湿な銃撃戦が始まった。
それからというもの無駄な銃撃戦が続く塹壕戦が繰り広げられるだけであった。
1915年 12月24日
この日は塹壕戦を終わらせに、ドイツ軍最新の兵器塩素ガスを敵国の塹壕へ放る。
「塩素ガス準備用意、散布!」
この合図と共に一気に塩素ガスが投げられる。当然、ガスマスクなど着けてないので大量の人々が蟻の巣に水が入ったように死んでいく。
結局、この塹壕戦はドイツ軍の勝利となり、パリへの扉が開いた。
まあ、第一次世界大戦はイギリス・フランス・ロシアの協商国側が勝利したが、この背景にクリスマス休戦があったことはそうそう知っている人は少ない。
クリスマス休戦から来年で100年を迎える。
みなさん、クリスマスプレゼントは何にします?
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