発展途上 ー3rd Place.ー

七部(ななべ)

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第二話 春一番に口付けを。

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春季講習もある程度経過して、後3日で終わるってくらいの時まできた。
始めは塾なんて追いついていけないものだと思ったら、結果は逆でして、見た感じ僕が1番頭がいいんだよね。嗚呼、なんてこったい。
もう塾までの道は覚えてきた。まだまだ緊張はするけど、というか永遠に緊張すると思うけど、この日も隅っこの席に座る。
この日はいつにまして人が少ない、あの陽キャ男子がなんかいないのだ。
   ー今この空間には、ぼくと名前も知らないあの女の子の2人だけー
どういうこったい。いつもは陽キャ同士で話しててウザイけど、今はいて欲しいだ!2人だけはないだろ!
そう自分の太もも見てもじもじしてた。風の音がしので前を向くとまた君と目が合った。
今度は逸らしてたまるか!まじまじと見てみた。彼女も不思議とまじまじ見てくる。
ちょっとしたら男子がやってきた。お互い目を逸らして一旦、終了となった。
このまま発展があることなく、1日が終わった。というかこの春季講習でこれ以上の発展はなかった。
そして学力テストを終えて、初めての春季講習は終わった。

4月7日。春江第五中学校入学式。
この中学校は5クラスまである。学区の関係で僕の友達はすずめの涙。
配られたクラス分けの名簿を見る。1年3組下の欄を見ると、辛うじてこの中学の中でいちばんの親友、下呂宏斗(げろ ひろと)と同じで嬉しかった。ひとまず、学校でも陰キャになる未来は無くなった。
宏斗と階段を上り、4階の1年3組のクラスについて、席に座る。
隣には人はまだいなかった。友達も周りにいないから1人でぼーっとしてると、ドアからあの女の子とその友達がいたんだ。そして1年3組の教室に入りその友達が僕の隣の席に座ったのだ。
よし、少し話してみよう、そうすれば間接的に彼女にも話せるようになる。
「よ、よろしく。僕、内倉優一ね。君は?」
「私は臼井舞衣(うすい まい)よろしくね、内倉くん。」
「よろしく。仲良くしようね。」
彼女との扉が一つ開いた気がした。体があったまってきた。
本題のあの彼女は僕と点対称の位置にいた。だいぶ恥ずかしい。
体育館に行き、入学式が始まる。
校長先生「桜の花が徐々に散ってくる春になってきましたね。新一年生のみなさん、よろしくお願いします!これからみなさんはこの3年間でたくさんのことを経験して、あっという間に高校受験をする事になります。たくさん勉強して、部活して、青春してください。」
春江第五中学校の校歌を校歌隊の3年生が歌ってくれた。そうやって第67回春江第五中学校入学式が終わった。
席に着いて、少し休憩時間に入ると、臼井の方に向かって急発進してきた人がいた。ばっ!と横向くと、あの少女がいた。
少女「あっ!お前やん!l
臼井「何、知ってたの?」
少女「一緒の塾だからね。お前も五中なんだ!よろしくね!」
「うん。」
臼井「あいつ、なんか変でごめんね。」
「いいのいいの、全然。」
好きだからね。と言いたいけど今は言えないよ。いつか、下取りを取ったその日、好きだって言いたい。

ってか、あいつ気、強いな…
外は暴風で桜が舞っていた。
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