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第04話 古の操言士と水の犬
4.星空(中)
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「ユルゲンさんはどうしてここに?」
紀更はベンチに腰掛けるユルゲンに振り向いた。
「眠れるかと思ったが、なかなか眠気がこなくてな。気晴らしに塔の外に出ようかと思ったらつり橋が現れたんで、素直にお呼ばれしてみたんだ」
「お呼ばれ……ふふっ」
ユルゲンの言い回しが面白くて、紀更は小さく笑った。
「私も座っていいですか」
「おう」
ユルゲンは少し左にずれて、ベンチの右側に紀更が座る分の空間を空けた。
紀更はベンチに腰を下ろし、両肩に羽織っていた深緑色のストールを少し引っ張る。冬のように寒くはないが、初夏の夜に頬をなぞる細い風は、時折ひんやりと冷たかった。塔の主がストールを用意してくれて本当によかった。
「あの、ユルゲンさん」
紀更はユルゲンの方に上半身を向けると、心からの感謝を述べた。
「昨夜はありがとうございました。海に落ちた私を追いかけて、ユルゲンさんが海に飛び込んでくれたって……それで、浜辺まで私を引き上げてくれたんですよね。ユルゲンさんがいなかったら、私、死んでいたかもしれない……命の恩人です。本当に、ありがとうございます」
「いや、まあ、そう……だな。目的地の眼前でバッドエンドにならなくてよかったよ」
ユルゲンは歯切れの悪い相槌を打ったあと、早口に言った。紀更の感謝が照れくさいようだ。
「泳ぐ修行もした方がいいですかね」
「それは要らないんじゃないか。それよりも、海には落ちないようにしてくれ」
「それもそうですね。ふふっ」
ユルゲンに言われて、紀更は反省を込めた苦笑を浮かべた。
それから少しの間を置いて、ユルゲンは紀更に尋ねた。
「昨夜のことはどこから憶えてる?」
「えっと、海に落ちて……その次は浜辺でユルゲンさんに起こされました」
「そう、か」
「何か?」
「いや……」
ユルゲンは含みを持ったように妙に言いよどんだ。
(憶えていないなら、わざわざ言わなくていいよな?)
きょとんとする紀更とは対照的に、ユルゲンの胸中には小さな戸惑いが渦巻いていた。
昨夜、浜辺に横たわらせた紀更は呼吸がなかった。その紀更を蘇生させるために、ユルゲンは迷わず人工呼吸を施したのだが、こうして丸一日経ってから冷静に自分のその行動を振り返ってみたら、急にその行為に罪悪感を覚えたのだ。
(初めて……いやいや、ンなこと考える必要はねぇ)
海水に濡れた、しょっぱい唇。しっかり重ね合わせたそれは、しかしとてもやわらかかった。蘇生のために必要な緊急処置ではあったが、まだ成人したばかりの紀更にとって、それは生まれて初めての異性との口付けだったのではないか。
傭兵の世界に生きるユルゲンは特に頓着しないが、王都育ちのうら若き乙女にとって初めてのキスというのは、いつ誰とどこでどんな風にするのか、甘い夢を見るものだろう。無意識の時に勝手に奪われていいものではないと思う――のだが、わざわざそのことを本人に伝えて謝るのはどうにもできそうにない。
(知らないままでいてもらうか)
ユルゲンに人工呼吸という名の口付けをされたことは、わざわざユルゲンが告げなければ紀更は知らないままだ。そうだ、あえて言わなければ紀更は知らないままなのだ。紀更にとって、それから今後の自分にとって、その方がいいはずだ。
黙しているユルゲンがそう一人で結論付けていると、紀更は再び視線を目の前の手すりと夜の海に向けて、口を開いた。
「塔の中に入ってからも、ユルゲンさんが傍にいてくれてよかったです。クォンさんは悪い人ではなかったけど、でも私一人だったら、危ないとか警戒するとか、そういうことに思い至らなかったかもしれないですから」
「あー……いや、まあ……そうだな」
塔の中に入ってから――その時のことを思い出すと、鎮めたはずの罪悪感が再度ユルゲンの胸をなで付けた。
クォンを警戒するあまり、ずっと抱き寄せていた紀更の細い腰。密着した身体。思い返してみれば、それも年頃の未婚の女性にしていい行為ではないと思われる。
「ありがとうございました、ユルゲンさん」
紀更はユルゲンを見つめて真摯に礼を述べるが、ユルゲンは素直にそれを受け取れない。仲間を助けることは当たり前のことだし、助けられた方が礼を言うのも普通のことだ。だが自分が紀更にした数々の行為は、若い女性に対して許される行為かというと、決してそうとは思えない。その申し訳なさが、紀更が素直に伝えてくれる感謝を受け取りにくくしていた。
「もう、海に落ちるなよ」
ユルゲンは当たり障りのない温度でそう注意するしかできなかった。
「はい、気を付けます」
紀更は頷きながら、眉をへの字に曲げて困ったように笑う。
本当に気を付けてくれるのかどうか少し怪しい、その頼りない表情を横目で見てからユルゲンは話題を変えることにした。
「クォンとラルーカの話はどうだった?」
「うーん……」
「まあ、答えらしい答えではなかったよな」
「そうですね。ヒントばかり増えたというか、断片的な情報ばかりでうまくピースがつながらない、当てはまらないって感じで……。私が知りたかったことというより、私が知らなきゃいけないことだったんじゃないかって、そう思いました」
紀更は手持ち無沙汰な両手のひらをこすり合わせた。
「ユルゲンさんはどの話が一番印象的でしたか」
今朝、ラルーカの話に一石を投じて場の空気を変えたのはユルゲンだった。彼は彼なりに、クォンとラルーカの話に興味を抱いていたのだろうと思われる。
「そうだな……まあ、怪魔のことだな。神様かザンドラ女王か、誰かははっきりしないがまあ、怪魔を作り出した誰かがいるとして、そいつは何のために怪魔を作り出したのか。印象的というか、俺も知りたいとは思ったな」
「知りたい、ですか」
「今まで考えたことはないが、そもそも根本的に、怪魔という存在を絶滅させることはできないのか。怪魔という種族の根絶を試みようとした奴はいないのか。騎士団でも操言士団でも、誰でもいい。国はそういう風に取り組んだことはないのか。怪魔退治が生業の一部でもある傭兵としてはまあ、気になるな。飯の種に関わることだからな」
もしも怪魔が何者かの手で作り出された生物ならば、いったい誰がなんの目的で作り出したのか。そして、怪魔を根本的に絶滅させるということ。それはつまり、もう二度と怪魔が出現しない世界になるということだが、これまで誰も、それを目指さなかったのか。どこからともなく湧いて出る怪魔をただ斃して、そしてまたしばらくして現れる怪魔を斃して、そうやって終わりのない戦いを続けるしかないのか。
「怪魔を根本的になんとかするためには、怪魔がどうしてこの世界にいるのか、きっと解明しなきゃいけないですよね」
「そうだな。解決するためには知る必要がある。王黎やエリックは特に何も言わなかったが、王都の騎士団や操言士団なら、実はいろいろ知ってるんじゃないのか」
「王都の?」
「自分たちこそ知っておくべきだろうとクォンには言われたけどよ、王様とか操言士団の団長とか、実は学んでたり調べてたりするんじゃねぇのか。それを大々的に公表していないから、俺たち一般市民が知らないだけで」
「そ……そうだとしたらっ」
紀更の目が輝く。
もしもユルゲンの言うとおりなら、王都の操言士団に訊けば、クォンとラルーカが得ていない答えが出てくるかもしれない。初代操言士について、怪魔について、操言院の授業で取り扱わない真実が、得られるかもしれない。
(答えは王都にあるかもしれない?)
王都ベラックスディーオでなら、もっとわかるのかもしれない。実は知ることができるのかもしれない。そう考えると紀更の胸は高鳴った。王都を離れてから初めて、王都に帰りたいと思った。
(そういや、次の行き先はどこだ。まあ、王黎とエリックに任せればいいか)
紀更が王都に思いを馳せている隣で、ユルゲンはベンチの背もたれに背中を預けて星空を仰いだ。流れ星がひとつ、すっと流れて消えていく。
会話がそこから広がることはなくふいに終了してしまい、二人は沈黙した。
クォンとラルーカから聞いた話を、もっと咀嚼して話していたい気がする。けれどそんなことよりも、何かもっと日常の話をしたい気もする。
それなのに、口が動かない。言葉が出てこない。二人の間に流れていた空気が、急に止まってしまったようだ。
(なに、これ)
(なんだ、これ)
足元に視線を落とす紀更と、上を向くユルゲン。
夜の風はゆっくりと遠慮がちに二人の間を通り抜け、潮の香りを運んでいく。
互いに視線を交わしているわけではないのに、隣に座る相手の存在がやけにひりつく。
(話したい、けど)
(話し、づれぇな)
相手が黙ってしまったから? 話題が見つからないから?
紀更もユルゲンも、二人で同時に作ってしまった無音の時間を持て余す。
紀更はベンチに腰掛けるユルゲンに振り向いた。
「眠れるかと思ったが、なかなか眠気がこなくてな。気晴らしに塔の外に出ようかと思ったらつり橋が現れたんで、素直にお呼ばれしてみたんだ」
「お呼ばれ……ふふっ」
ユルゲンの言い回しが面白くて、紀更は小さく笑った。
「私も座っていいですか」
「おう」
ユルゲンは少し左にずれて、ベンチの右側に紀更が座る分の空間を空けた。
紀更はベンチに腰を下ろし、両肩に羽織っていた深緑色のストールを少し引っ張る。冬のように寒くはないが、初夏の夜に頬をなぞる細い風は、時折ひんやりと冷たかった。塔の主がストールを用意してくれて本当によかった。
「あの、ユルゲンさん」
紀更はユルゲンの方に上半身を向けると、心からの感謝を述べた。
「昨夜はありがとうございました。海に落ちた私を追いかけて、ユルゲンさんが海に飛び込んでくれたって……それで、浜辺まで私を引き上げてくれたんですよね。ユルゲンさんがいなかったら、私、死んでいたかもしれない……命の恩人です。本当に、ありがとうございます」
「いや、まあ、そう……だな。目的地の眼前でバッドエンドにならなくてよかったよ」
ユルゲンは歯切れの悪い相槌を打ったあと、早口に言った。紀更の感謝が照れくさいようだ。
「泳ぐ修行もした方がいいですかね」
「それは要らないんじゃないか。それよりも、海には落ちないようにしてくれ」
「それもそうですね。ふふっ」
ユルゲンに言われて、紀更は反省を込めた苦笑を浮かべた。
それから少しの間を置いて、ユルゲンは紀更に尋ねた。
「昨夜のことはどこから憶えてる?」
「えっと、海に落ちて……その次は浜辺でユルゲンさんに起こされました」
「そう、か」
「何か?」
「いや……」
ユルゲンは含みを持ったように妙に言いよどんだ。
(憶えていないなら、わざわざ言わなくていいよな?)
きょとんとする紀更とは対照的に、ユルゲンの胸中には小さな戸惑いが渦巻いていた。
昨夜、浜辺に横たわらせた紀更は呼吸がなかった。その紀更を蘇生させるために、ユルゲンは迷わず人工呼吸を施したのだが、こうして丸一日経ってから冷静に自分のその行動を振り返ってみたら、急にその行為に罪悪感を覚えたのだ。
(初めて……いやいや、ンなこと考える必要はねぇ)
海水に濡れた、しょっぱい唇。しっかり重ね合わせたそれは、しかしとてもやわらかかった。蘇生のために必要な緊急処置ではあったが、まだ成人したばかりの紀更にとって、それは生まれて初めての異性との口付けだったのではないか。
傭兵の世界に生きるユルゲンは特に頓着しないが、王都育ちのうら若き乙女にとって初めてのキスというのは、いつ誰とどこでどんな風にするのか、甘い夢を見るものだろう。無意識の時に勝手に奪われていいものではないと思う――のだが、わざわざそのことを本人に伝えて謝るのはどうにもできそうにない。
(知らないままでいてもらうか)
ユルゲンに人工呼吸という名の口付けをされたことは、わざわざユルゲンが告げなければ紀更は知らないままだ。そうだ、あえて言わなければ紀更は知らないままなのだ。紀更にとって、それから今後の自分にとって、その方がいいはずだ。
黙しているユルゲンがそう一人で結論付けていると、紀更は再び視線を目の前の手すりと夜の海に向けて、口を開いた。
「塔の中に入ってからも、ユルゲンさんが傍にいてくれてよかったです。クォンさんは悪い人ではなかったけど、でも私一人だったら、危ないとか警戒するとか、そういうことに思い至らなかったかもしれないですから」
「あー……いや、まあ……そうだな」
塔の中に入ってから――その時のことを思い出すと、鎮めたはずの罪悪感が再度ユルゲンの胸をなで付けた。
クォンを警戒するあまり、ずっと抱き寄せていた紀更の細い腰。密着した身体。思い返してみれば、それも年頃の未婚の女性にしていい行為ではないと思われる。
「ありがとうございました、ユルゲンさん」
紀更はユルゲンを見つめて真摯に礼を述べるが、ユルゲンは素直にそれを受け取れない。仲間を助けることは当たり前のことだし、助けられた方が礼を言うのも普通のことだ。だが自分が紀更にした数々の行為は、若い女性に対して許される行為かというと、決してそうとは思えない。その申し訳なさが、紀更が素直に伝えてくれる感謝を受け取りにくくしていた。
「もう、海に落ちるなよ」
ユルゲンは当たり障りのない温度でそう注意するしかできなかった。
「はい、気を付けます」
紀更は頷きながら、眉をへの字に曲げて困ったように笑う。
本当に気を付けてくれるのかどうか少し怪しい、その頼りない表情を横目で見てからユルゲンは話題を変えることにした。
「クォンとラルーカの話はどうだった?」
「うーん……」
「まあ、答えらしい答えではなかったよな」
「そうですね。ヒントばかり増えたというか、断片的な情報ばかりでうまくピースがつながらない、当てはまらないって感じで……。私が知りたかったことというより、私が知らなきゃいけないことだったんじゃないかって、そう思いました」
紀更は手持ち無沙汰な両手のひらをこすり合わせた。
「ユルゲンさんはどの話が一番印象的でしたか」
今朝、ラルーカの話に一石を投じて場の空気を変えたのはユルゲンだった。彼は彼なりに、クォンとラルーカの話に興味を抱いていたのだろうと思われる。
「そうだな……まあ、怪魔のことだな。神様かザンドラ女王か、誰かははっきりしないがまあ、怪魔を作り出した誰かがいるとして、そいつは何のために怪魔を作り出したのか。印象的というか、俺も知りたいとは思ったな」
「知りたい、ですか」
「今まで考えたことはないが、そもそも根本的に、怪魔という存在を絶滅させることはできないのか。怪魔という種族の根絶を試みようとした奴はいないのか。騎士団でも操言士団でも、誰でもいい。国はそういう風に取り組んだことはないのか。怪魔退治が生業の一部でもある傭兵としてはまあ、気になるな。飯の種に関わることだからな」
もしも怪魔が何者かの手で作り出された生物ならば、いったい誰がなんの目的で作り出したのか。そして、怪魔を根本的に絶滅させるということ。それはつまり、もう二度と怪魔が出現しない世界になるということだが、これまで誰も、それを目指さなかったのか。どこからともなく湧いて出る怪魔をただ斃して、そしてまたしばらくして現れる怪魔を斃して、そうやって終わりのない戦いを続けるしかないのか。
「怪魔を根本的になんとかするためには、怪魔がどうしてこの世界にいるのか、きっと解明しなきゃいけないですよね」
「そうだな。解決するためには知る必要がある。王黎やエリックは特に何も言わなかったが、王都の騎士団や操言士団なら、実はいろいろ知ってるんじゃないのか」
「王都の?」
「自分たちこそ知っておくべきだろうとクォンには言われたけどよ、王様とか操言士団の団長とか、実は学んでたり調べてたりするんじゃねぇのか。それを大々的に公表していないから、俺たち一般市民が知らないだけで」
「そ……そうだとしたらっ」
紀更の目が輝く。
もしもユルゲンの言うとおりなら、王都の操言士団に訊けば、クォンとラルーカが得ていない答えが出てくるかもしれない。初代操言士について、怪魔について、操言院の授業で取り扱わない真実が、得られるかもしれない。
(答えは王都にあるかもしれない?)
王都ベラックスディーオでなら、もっとわかるのかもしれない。実は知ることができるのかもしれない。そう考えると紀更の胸は高鳴った。王都を離れてから初めて、王都に帰りたいと思った。
(そういや、次の行き先はどこだ。まあ、王黎とエリックに任せればいいか)
紀更が王都に思いを馳せている隣で、ユルゲンはベンチの背もたれに背中を預けて星空を仰いだ。流れ星がひとつ、すっと流れて消えていく。
会話がそこから広がることはなくふいに終了してしまい、二人は沈黙した。
クォンとラルーカから聞いた話を、もっと咀嚼して話していたい気がする。けれどそんなことよりも、何かもっと日常の話をしたい気もする。
それなのに、口が動かない。言葉が出てこない。二人の間に流れていた空気が、急に止まってしまったようだ。
(なに、これ)
(なんだ、これ)
足元に視線を落とす紀更と、上を向くユルゲン。
夜の風はゆっくりと遠慮がちに二人の間を通り抜け、潮の香りを運んでいく。
互いに視線を交わしているわけではないのに、隣に座る相手の存在がやけにひりつく。
(話したい、けど)
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