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第03話 海の操言士と不思議な塔
6.出航(中)
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エリックは王黎の二日酔いを心配したが、翌日の王黎は酔いなど砂粒ほども残っていないようなケロっとした表情で朝をむかえ、紀更を連れ立って祈聖石巡りのために歩き回った。さらに操言の力の修行のためにと、エリックたちを連れて城壁の外にも軽やかに足を伸ばした。久しぶりに気をゆるめて酒を飲んだエリックの方が、やや二日酔い気味だったかもしれないくらいだ。
ゼルヴァイス城の使者が王黎たちを探して赴いてきたのは、城から少し離れたところに出現したカルーテを相手に何度か戦闘を重ね、陽が沈みきる直前に下層へ戻ってきた頃のことだった。
「紀更様、今日はなるべく早く寝てくださいね。明日は早いですから」
客室の寝台に寝転がった紀更に、最美は長い髪の毛を束ねながら声をかけた。
夕方、城主からの伝言を告げに来た身なりのいい男は、「明朝、壱の鐘が鳴り次第、旅立ちの用意をして港の最北へ来るべし」と手短に言って去っていった。
その伝言を聞いた紀更たちは、食料などの買い出しを行い、明日の朝すぐに出発できるようにしたくを整えてから夕餉をとり、就寝することにしたのだった。
「あの、最美さん」
紀更は寝台の上で上半身を起こした。最美は自分の寝台に腰掛け、室内にある小さな明灯器の薄明かりに照らされた紀更をまっすぐに見つめる。
「胸がふいに痛くなる、って……どうしてなんでしょうか。お互いに求めてる、ってことなんでしょうか」
「昨夜の言従士のお話のことですわね」
紀更は頷いた。
ここにはカタリーナもヒルダもいない。紀更と最美の二人だけだ。今ならもう少し詳しく答えてくれる気がして、紀更は訊いておきたかった。
「紀更様も、痛みを感じたことがあるのですね」
「はい。あっ、でも、最美さんのとは違うのかもしれません。自分でもわからなくて」
気にしなければ、どうということはない。突如として操言士になるように言われて心理的負担がかかったか、ただの気のせいか。結局そんなところだろう。そう片付けてしまうこともできる。弟の死という悲しい出来事もあったのだから、どうしようもない悲しさで胸が痛むなど不思議ではない。それに王都にいた頃はよく痛くなったものだが、今はそうでもない。だから気にしなくても問題はないだろう。
だが無視したくない。痛みの正体を暴いておきたい。そんな衝動が紀更の中にはあった。
「わたくしは、言従士が操言士を見つけるのだと思っています」
「見つける?」
「きっかけはそれぞれ異なるでしょうけれど、言従士はある時、気付くのです。この世界にただ一人、自分自身の何もかもを捧げたくなるような、そんな相手がいることに」
最美が愛おしそうな表情でゆっくりと語る言葉を、紀更は神妙に聞いていた。
「その相手を求めて歩き、時には海を渡り空を飛び、探しに行く。だから会えた時はすぐにわかるのですよ。その姿を見つけられたら、全身が不思議なあたたかさでいっぱいになって熱くなって、こちらを見てほしくて仕方がない。自分はこの人のために生まれてきたのだと、この人のために生きることが幸福なのだと、心の底からそう思えるのです」
「幸福……」
「操言士は生まれつき、操言士になることを定められています。ほかの道を歩むことはできません。操言の力を使って人々の生活を支え、守り、時には犠牲になる。そういう宿命です。嫌だと言って拒否することは許されません。そんな宿命を背負った操言士に、すべてを捧げて寄り添い、従いたい。誰かのために犠牲になるこの人を、どんな形でもいいから支えたい。世界のために己を差し出す操言士の、唯一絶対の味方になりたい。それが言従士という存在で、言従士のさだめで、そして言従士の幸せだと自然にわかるのです」
「幸せ……定められていることでも、自分の幸せだと思えるんでしょうか」
「ええ、思えますわ」
最美は美しくもはかない、舞い落ちる寸前の花びらのように繊細な笑みを浮かべた。
「操言士は怪魔や生活苦から人々を守ります。いつだって、滅私奉公を求められます。言従士はそんな操言士から頼られて、操言士のために働き、生きるのです。自分の生きる意味はこれだったのだと、自分という命の価値はここにあるのだと心から思える……それは幸せなことです。言従士でない方にはご理解いただけないことの方が多いですけれど」
(ああ、だから……)
こんなにも多くを語ってくれる最美を、紀更は初めて見た。
普段は無口でとてもおしとやかで控えめな最美がこれだけ語るということは、それだけ胸の中に自分の操言士――王黎への思いがたくさんあるのだろう。言葉を操ることで森羅万象に干渉する操言士と同じように、言従士の最美の中にも多くの言葉があふれているに違いない。
だがその言葉は語れば語るほど、出せば出すほど、遠くなる。
見習い操言士の紀更や一人前の操言士であるヒルダでさえ、操言士と言従士の関係性については圧倒されるばかりで、自分のことのように実感するにはいたらない。ましてや操言の力を持たない人からすれば、言従士の操言士に対する思いは、遠くにある蜃気楼のようなものだ。それはこれから目指す不思議な塔のように、当人たちにははっきりと見えて実感できるほど確かなものなのに、他人にとってはいつか消えてなくなるような夢幻、あるいは一時の思い込みのように感じることだろう。
(だから最美さんは、ずっと自分の中にしまっていたんだ。口に出しても、どんなに言葉にしても、操言士を思う言従士の気持ちはきっと理解してもらえないから)
それに、その気持ちは無理に他人に理解してもらわなくてもいいのだろう。
操言士と言従士――王黎と最美の、二人の間だけで通じ合っていればいい。他者の理解や承認を得るために自分たちの心のすべてをさらけ出す必要はまったくないのだ。
「ほんと……王都で流行っていた恋愛小説みたい。素敵ですね」
「わたくしはその小説を読んだことはなくて、ただ評判を聞いたことがあるだけですけれど、作者の方は操言士と言従士をモデルにしたのかもしれませんわね」
最美はふんわりと笑った。
「カタリーナさんも、おそらく言従士なのでしょう」
「え……ええっ!? そうなんですか!?」
優雅に話す最美とは違って、紀更は驚いて口をあんぐりと開けた。
「確証はありませんよ? ただ、自分も塔に行きたい、手紙を届けた使者のことを知りたいというあの熱意……言従士が操言士を求めるそれ、と思えばなんだか納得できてしまいますの」
「そ……そう言われればそうかもしれないですね」
「もしもカタリーナさんが言従士で、使者の方がカタリーナさんの操言士なら、二人が出会えればいいのに、と思います」
最美は少し遠い目をして、声のボリュームを小さくした。
「わたくしは自分の操言士を見つけられました。果報者です。我が君がいてくだされば、わたくしに怖いものはもうありません」
最美の怖いものとはなんだろう。優しくて思慮深くて美人で誰からも傷つけられなさそうなこの大人の女性に、怖いものがあるのだろうか。かつてあったのだろうか。
紀更は気になったがそこまで訊くのは無粋すぎると思い、それ以上何も訊かなかった。
そうして最後にお礼を言うと、紀更は再び寝台に横になった。目を閉じて、うつらうつらと眠気がくるのを待つ。
明日、船に乗って塔を目指す。無事にたどり着けるだろうか。そこはどんな場所だろうか。知りたいことを教えてくれる古の操言士とは、誰のことなのだろう。知りたいこと、訊きたいこと、自分はどんな疑問を持ってそこに行くべきなのだろう。
眠りについた紀更の思考は、波のようにたゆたっていた。
◆◇◆◇◆
日の出を知らせる壱の鐘。
王都の鐘より少し甲高いその音で目覚めると、紀更たちは荷物をまとめて宿を出た。
地平線に昇ったばかりの太陽の光量はまだ少なく、空も街も全体的に青みがかっている。雲は少なく、陽が天上まで昇れば少し蒸し暑くなるだろう。
どこかまだ眠っている空気がただよう下層の土の道を、一行は港の方へ歩いていく。
宿の近くはそうでもなかったが、波止場はすでに人々の活動時間のようで、男性漁師たちの野太い声がそこかしこに飛び交っていた。
「早朝なのに人が多いですね」
「漁は基本的に、朝に行うものだ。今から漁に出る者もいるが、すでに今日の漁を終えた者たちもいる。そういう漁師たちは、陽が昇る前から海に出ているんだ」
「そんなに早く……まだ暗いでしょうに」
エリックの言うとおり、よく見れば漁師たちは、自分の船から魚や貝など水産物を陸地に引き上げている。その漁獲物のほとんどがまだ生きて動いているところを見ると、捕獲したてなのは間違いない。
「港の最北は、確か城主専用のスペースだよ。大きな船だといいね~」
王黎はピクニックに行く子供のようにうきうきしながら足を進めた。
何度思い出しても、城主という地位の高い人に「船、貸してください」とたった九文字でお願いをする王黎の厚かましさというか、それでもそのお願いが聞き入れられる甘え上手っぷりというか、そんな処世術がまかり通っていいのかと焦る気持ちと感心する気持ちが紀更の中で交互に顔を出す。
(ほんと、いろんな意味ですごい人だなあ、王黎師匠)
なるべく漁師たちの邪魔にならないように固まって歩いた六人は、人の行き交いが最も多いところを抜けて、何人かの騎士が仁王立ちで見張りをしている一角に到着した。
「ジャスパーさーん、おはよーございまーす」
カイゼル髭のジャスパーを見かけるなり、王黎は手を振って大声を上げた。
その声に気付いたジャスパーがこちらを向く。
「おう、重役出勤たぁいいご身分だな」
「言われたとおり、壱の鐘が鳴ってから来ましたよ?」
ジャスパーに小突かれて、王黎はにへらと笑った。
ジャスパーの隣には息子のエミールがおり、騎士や船乗りたちとあれやこれやと途切れることなく会話を交わしている。
「エミール、主役の到着だ。軽くメンバーを教えてやれ」
ジャスパーに声をかけられて、エミールが王黎たちに近寄った。
ゼルヴァイス城の使者が王黎たちを探して赴いてきたのは、城から少し離れたところに出現したカルーテを相手に何度か戦闘を重ね、陽が沈みきる直前に下層へ戻ってきた頃のことだった。
「紀更様、今日はなるべく早く寝てくださいね。明日は早いですから」
客室の寝台に寝転がった紀更に、最美は長い髪の毛を束ねながら声をかけた。
夕方、城主からの伝言を告げに来た身なりのいい男は、「明朝、壱の鐘が鳴り次第、旅立ちの用意をして港の最北へ来るべし」と手短に言って去っていった。
その伝言を聞いた紀更たちは、食料などの買い出しを行い、明日の朝すぐに出発できるようにしたくを整えてから夕餉をとり、就寝することにしたのだった。
「あの、最美さん」
紀更は寝台の上で上半身を起こした。最美は自分の寝台に腰掛け、室内にある小さな明灯器の薄明かりに照らされた紀更をまっすぐに見つめる。
「胸がふいに痛くなる、って……どうしてなんでしょうか。お互いに求めてる、ってことなんでしょうか」
「昨夜の言従士のお話のことですわね」
紀更は頷いた。
ここにはカタリーナもヒルダもいない。紀更と最美の二人だけだ。今ならもう少し詳しく答えてくれる気がして、紀更は訊いておきたかった。
「紀更様も、痛みを感じたことがあるのですね」
「はい。あっ、でも、最美さんのとは違うのかもしれません。自分でもわからなくて」
気にしなければ、どうということはない。突如として操言士になるように言われて心理的負担がかかったか、ただの気のせいか。結局そんなところだろう。そう片付けてしまうこともできる。弟の死という悲しい出来事もあったのだから、どうしようもない悲しさで胸が痛むなど不思議ではない。それに王都にいた頃はよく痛くなったものだが、今はそうでもない。だから気にしなくても問題はないだろう。
だが無視したくない。痛みの正体を暴いておきたい。そんな衝動が紀更の中にはあった。
「わたくしは、言従士が操言士を見つけるのだと思っています」
「見つける?」
「きっかけはそれぞれ異なるでしょうけれど、言従士はある時、気付くのです。この世界にただ一人、自分自身の何もかもを捧げたくなるような、そんな相手がいることに」
最美が愛おしそうな表情でゆっくりと語る言葉を、紀更は神妙に聞いていた。
「その相手を求めて歩き、時には海を渡り空を飛び、探しに行く。だから会えた時はすぐにわかるのですよ。その姿を見つけられたら、全身が不思議なあたたかさでいっぱいになって熱くなって、こちらを見てほしくて仕方がない。自分はこの人のために生まれてきたのだと、この人のために生きることが幸福なのだと、心の底からそう思えるのです」
「幸福……」
「操言士は生まれつき、操言士になることを定められています。ほかの道を歩むことはできません。操言の力を使って人々の生活を支え、守り、時には犠牲になる。そういう宿命です。嫌だと言って拒否することは許されません。そんな宿命を背負った操言士に、すべてを捧げて寄り添い、従いたい。誰かのために犠牲になるこの人を、どんな形でもいいから支えたい。世界のために己を差し出す操言士の、唯一絶対の味方になりたい。それが言従士という存在で、言従士のさだめで、そして言従士の幸せだと自然にわかるのです」
「幸せ……定められていることでも、自分の幸せだと思えるんでしょうか」
「ええ、思えますわ」
最美は美しくもはかない、舞い落ちる寸前の花びらのように繊細な笑みを浮かべた。
「操言士は怪魔や生活苦から人々を守ります。いつだって、滅私奉公を求められます。言従士はそんな操言士から頼られて、操言士のために働き、生きるのです。自分の生きる意味はこれだったのだと、自分という命の価値はここにあるのだと心から思える……それは幸せなことです。言従士でない方にはご理解いただけないことの方が多いですけれど」
(ああ、だから……)
こんなにも多くを語ってくれる最美を、紀更は初めて見た。
普段は無口でとてもおしとやかで控えめな最美がこれだけ語るということは、それだけ胸の中に自分の操言士――王黎への思いがたくさんあるのだろう。言葉を操ることで森羅万象に干渉する操言士と同じように、言従士の最美の中にも多くの言葉があふれているに違いない。
だがその言葉は語れば語るほど、出せば出すほど、遠くなる。
見習い操言士の紀更や一人前の操言士であるヒルダでさえ、操言士と言従士の関係性については圧倒されるばかりで、自分のことのように実感するにはいたらない。ましてや操言の力を持たない人からすれば、言従士の操言士に対する思いは、遠くにある蜃気楼のようなものだ。それはこれから目指す不思議な塔のように、当人たちにははっきりと見えて実感できるほど確かなものなのに、他人にとってはいつか消えてなくなるような夢幻、あるいは一時の思い込みのように感じることだろう。
(だから最美さんは、ずっと自分の中にしまっていたんだ。口に出しても、どんなに言葉にしても、操言士を思う言従士の気持ちはきっと理解してもらえないから)
それに、その気持ちは無理に他人に理解してもらわなくてもいいのだろう。
操言士と言従士――王黎と最美の、二人の間だけで通じ合っていればいい。他者の理解や承認を得るために自分たちの心のすべてをさらけ出す必要はまったくないのだ。
「ほんと……王都で流行っていた恋愛小説みたい。素敵ですね」
「わたくしはその小説を読んだことはなくて、ただ評判を聞いたことがあるだけですけれど、作者の方は操言士と言従士をモデルにしたのかもしれませんわね」
最美はふんわりと笑った。
「カタリーナさんも、おそらく言従士なのでしょう」
「え……ええっ!? そうなんですか!?」
優雅に話す最美とは違って、紀更は驚いて口をあんぐりと開けた。
「確証はありませんよ? ただ、自分も塔に行きたい、手紙を届けた使者のことを知りたいというあの熱意……言従士が操言士を求めるそれ、と思えばなんだか納得できてしまいますの」
「そ……そう言われればそうかもしれないですね」
「もしもカタリーナさんが言従士で、使者の方がカタリーナさんの操言士なら、二人が出会えればいいのに、と思います」
最美は少し遠い目をして、声のボリュームを小さくした。
「わたくしは自分の操言士を見つけられました。果報者です。我が君がいてくだされば、わたくしに怖いものはもうありません」
最美の怖いものとはなんだろう。優しくて思慮深くて美人で誰からも傷つけられなさそうなこの大人の女性に、怖いものがあるのだろうか。かつてあったのだろうか。
紀更は気になったがそこまで訊くのは無粋すぎると思い、それ以上何も訊かなかった。
そうして最後にお礼を言うと、紀更は再び寝台に横になった。目を閉じて、うつらうつらと眠気がくるのを待つ。
明日、船に乗って塔を目指す。無事にたどり着けるだろうか。そこはどんな場所だろうか。知りたいことを教えてくれる古の操言士とは、誰のことなのだろう。知りたいこと、訊きたいこと、自分はどんな疑問を持ってそこに行くべきなのだろう。
眠りについた紀更の思考は、波のようにたゆたっていた。
◆◇◆◇◆
日の出を知らせる壱の鐘。
王都の鐘より少し甲高いその音で目覚めると、紀更たちは荷物をまとめて宿を出た。
地平線に昇ったばかりの太陽の光量はまだ少なく、空も街も全体的に青みがかっている。雲は少なく、陽が天上まで昇れば少し蒸し暑くなるだろう。
どこかまだ眠っている空気がただよう下層の土の道を、一行は港の方へ歩いていく。
宿の近くはそうでもなかったが、波止場はすでに人々の活動時間のようで、男性漁師たちの野太い声がそこかしこに飛び交っていた。
「早朝なのに人が多いですね」
「漁は基本的に、朝に行うものだ。今から漁に出る者もいるが、すでに今日の漁を終えた者たちもいる。そういう漁師たちは、陽が昇る前から海に出ているんだ」
「そんなに早く……まだ暗いでしょうに」
エリックの言うとおり、よく見れば漁師たちは、自分の船から魚や貝など水産物を陸地に引き上げている。その漁獲物のほとんどがまだ生きて動いているところを見ると、捕獲したてなのは間違いない。
「港の最北は、確か城主専用のスペースだよ。大きな船だといいね~」
王黎はピクニックに行く子供のようにうきうきしながら足を進めた。
何度思い出しても、城主という地位の高い人に「船、貸してください」とたった九文字でお願いをする王黎の厚かましさというか、それでもそのお願いが聞き入れられる甘え上手っぷりというか、そんな処世術がまかり通っていいのかと焦る気持ちと感心する気持ちが紀更の中で交互に顔を出す。
(ほんと、いろんな意味ですごい人だなあ、王黎師匠)
なるべく漁師たちの邪魔にならないように固まって歩いた六人は、人の行き交いが最も多いところを抜けて、何人かの騎士が仁王立ちで見張りをしている一角に到着した。
「ジャスパーさーん、おはよーございまーす」
カイゼル髭のジャスパーを見かけるなり、王黎は手を振って大声を上げた。
その声に気付いたジャスパーがこちらを向く。
「おう、重役出勤たぁいいご身分だな」
「言われたとおり、壱の鐘が鳴ってから来ましたよ?」
ジャスパーに小突かれて、王黎はにへらと笑った。
ジャスパーの隣には息子のエミールがおり、騎士や船乗りたちとあれやこれやと途切れることなく会話を交わしている。
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ジャスパーに声をかけられて、エミールが王黎たちに近寄った。
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