39 / 178
第02話 消えた操言士と闇夜の襲撃
5.偵察結果(下)
しおりを挟む
――チッ! 効力が切れかけてる!
――操言の力も万能じゃねぇな。
――操言の力……被加護の武器か!
水の村レイトでの戦闘に、ユルゲンが助太刀してくれた場面を思い出す。
(あの時、ユルゲンさんの武器には操言の加護があったんだ)
就寝準備を終えて寝台に横になった紀更だったが、頭が冴えてしまって、眠気がくる気配がない。それどころか、王都を出て水の村レイトに着いた日の夜のように、今日までの出来事が次々と思い起こされて、どことなく興奮してしまう。特に、王黎に言われたとおり怪魔と遭遇した時のことを思い出してみると、その時は気付かなかったことに気付き、見えなかったことが見えてきて、あれこれと考え出してしまった。
たとえば、キヴィネとの戦いにユルゲンが入り込んできた時、ユルゲンの両刀はキヴィネの身体に易々と突き刺さった。あれは、両刀に操言の加護があったためなのだろう。けれどもあの時ユルゲンが言ったように、その効力はあの場ですぐに切れてしまった。
あのあと、どうにか紀更が操言の力を使って、再びユルゲンの両刀がキヴィネにダメージを与えられるようになったが、果たしてそれは「操言の加護」と呼んでいいレベルのものだったのだろうか。未熟な紀更には、己の力量を測ることもできない。
(操言の加護……どれくらい続くものなのかしら)
もしもそれを付与することができたら、夜のウージャハラ草原へ向かうユルゲンに対して、自分は少しでも力になれただろうか。彼に頼ってもらえただろうか。
(怪魔や、操言士のすべきことが気になる……けど)
何か変だ。怪魔や戦闘のこと以上に、ユルゲン自身のことがやけに気になる。
自分がまだ恐怖を覚える怪魔に、凛然と立ち向かっていくからだろうか。一人で颯爽と行ってしまった彼に戦力外とみなされたことを淋しく思うからだろうか。
「紀更様」
その時、少し間を空けて隣に並ぶ寝台から最美の細い声が紀更を呼んだ。
「頭を休めて、しっかり休養をとるのも修行ですわ」
紀更が眠れずに、あれこれと考え込んでしまっているのを見抜いたのだろうか。最美はやさしくたしなめた。
「どうして……」
眠れないこと、考えたり思い出したりしてしまうこと。紀更は何も言っていないのに、最美にはなぜかお見通しのようだった。
「紀更様の、操言士として学ぼうとする姿勢。それがとても強くなってきました。見ていればわかります。知識を吸収しようと、心を素直に開けていますから」
「そ、そうですか」
そんなにもあからさまな態度だっただろうか。
心を素直に開いた自覚はないので、最美に言われて紀更は急に恥ずかしくなった。
「様々なものを見て、触れて、知って……点と点がつながり、世界が開けていく。楽しいことですわね。もっとあれもこれも知りたいと、貪欲に思ってしまいますわね」
「はい……そうなんです」
最美の指摘のとおりだ。
学びたいと主体性を持った瞬間から王黎の話が――いや、王黎だけでなくルーカスやエリックが教えてくれることが、どんどん意味を持って広がっていく。見えなかったことが見えてきて、今まで気にもしなかったことに気付くことができて、まさに世界が開けていく。これまで味わったことのない興奮が、胸の中でずっとくすぶっている。
「でも、夜はしっかり寝てくださいませ。頭も休めないと、せっかく得た知識がどこかへ流れ出て失われてしまいますわ」
「はい」
最美は最後までやさしく、まるで子守唄でも歌うようにゆっくりと話してくれた。
そのおかげか紀更の瞼は重くなり、少しずつ意識が落ちていく。
――フゥ~……ピィ~……。
窓の外、闇のとばりの向こうでかすかに高い音がした。夕方、ザッハー広場で喝采を浴びていた青年の笛の音が耳に残っているのだろうか。それとも誰か別の――。
「――……」
いつの間にか紀更は寝入っていた。
夜は静かに、静かに更けていく。
生き物たちの束の間の安息。身体を休める時間。
また朝をむかえて生き生きと活動するために、夜は安らかに流れていく。
闇に支配された、それはとても優しい時間だ。
◆◇◆◇◆
「今日は絶対に行かん」
「え~……」
夜が明けて、宿の一階、談話室。
今日も騎士団本部へ情報収集に行ってほしいと頼んできた王黎に、エリックが首を縦に振ることはなかった。昨日と同じように、初期訓練の手伝いをさせられるのがよほど嫌なようだ。珍しくエリックは頑固一徹で、どんな説得も届かなさそうだった。
今日はどうやっても押し通せないことを悟り、王黎は不満を呟きつつも引き下がった。代わりに、エリックからルーカスへと視線を移す。
「じゃあ、今日の紀更の護衛はエリックさんということで。それで、ルーカスくん」
「え、あ、はい。自分ですか?」
「街の西口付近でユルゲンくんの帰りを待って、彼と合流してほしいんだけどいいかな。もしだいぶ待つようなら、騎士団本部にいても構わないからさ」
待ちぼうけになるかもしれないが、それならそれで、ラフーア騎士団から怪魔多発に関する情報を得てほしいというのが王黎の狙いだ。
「ええ、いいですよ」
ルーカスは昨日のエリックの疲労困憊ぶりを憐れみ、エリックが騎士団本部に寄り付かないですむようにするため、王黎の頼みを快諾した。
そんなルーカスが、一番に宿を出ていく。続いて最美が、王黎の命令に従うべく言葉少なに別れを告げて、街の北部にある共同墓地へ一人で歩いていった。
「さて、じゃあ今日は、ラフーアの中にある祈聖石を巡ろうか」
宿を出た王黎が指し示す東の方向へ、紀更とエリックは踏み出した。
宿からウィーコー通りへ行く途中には、ラフーア南音楽堂がある。街の北部にある中央音楽堂よりは小さいが、南音楽堂も荘厳な佇まいで、楽器らしきものを持った人々が、朝の挨拶を交わしながら続々と中に入っていく。今日も練習に精を出すのだろう。
紀更たちはウィーコー通りで朝食のパンを買って胃に収めると、街の南部を目指す。街の南に広がる住宅街は、そのすぐ傍に穀物畑を抱いていた。
ラフーアは音楽が盛んだが、音楽だけで全員が生活できるわけではないので、ほかの都市部同様、こうして街の中に農業をする区画があり、音楽家でない住民は、その大半が農業で生計を立てている。水の村レイトと違うのは、レイトが村の外にも農業区画を持っていたのに対して、ラフーアは基本的に街の中に耕作地がある。耕作地も含めて街である、という方が正しいかもしれない。
「王黎師匠、ラフーアの街の中にはいくつの祈聖石があるんですか?」
歩きながら、紀更は王黎の背中に問いかけた。紀更の疑問を耳で拾った王黎は足を止めずに背後を振り返る。
「僕の知ってる数から変更なければ、北側に九つ、南側に七つかな」
「全部で十六……結構あるんですね」
「レイトに比べれば大きいからね。でもレイトと同じで、多くは街の中と外の境目にあるよ」
王黎は見えてきた小麦畑の前で一度足を止め、きょろきょろと視線を左右に這わせた。
「うん、変わってないね。こっちだよ」
王黎は西に向かって少し歩く。すると小麦畑の中に人が通れるような通路が伸びているところに到着した。
「王黎殿、わたしはここで待っている。場所を知られない方がいいのだろう」
「ああ、そうですね。ありがとうございます。すぐ戻りますから」
最後尾にいたエリックはさすがに小麦畑の中まで付いていく気はないようで、紀更から視線を外さないように二人を見守る。しかし二人の姿はほどなくしてエリックの視界から消えた。王黎が操言の力を使って暗幕を引き、自分と紀更の姿を隠したのだ。
「王黎師匠、このあたりの祈聖石は小麦に擬態しているのでしょうか」
非常に狭い通路を、紀更と王黎は身体を横向きにしてカニ歩きで奥へと進む。
「そうだよ。はい、止まってかがんで」
王黎は足を止めてかがむ。紀更もつられるように静かにかがんだ。
狭い通路で窮屈そうに隣り合う紀更と王黎。二人の前後には、青々とした成長途中の小麦が風にそよいでいる。そして王黎は一本の麦の根元を指差した。
「この麦だけ、ここが縞模様になっているんだけど見える?」
「はい。黄色と緑の縞……これが目印ですか」
「面白いよね。最初にこの擬態を思いついた人は、なかなかいい発想力を持っていると思わない? これなら、こうやって教えられでもしないと、これが祈聖石だと見つけ出すのは無理だよね」
王黎はいたずらっぽく笑う。
確かに、麦に擬態させる発想といい、かがまないと見えないような位置に施したささやかな縞模様といい、柔軟なアイデアだと思う。
「祈聖石の保守はラフーアの操言士たちがやっているから、今日はただ見て回るだけね」
「はい。じゃあ、戻りますか」
「うん、カニカニしよう。それと祈聖石を回りながら、対怪魔戦での操言士の役割について講義しようか」
王黎は両手でピースサインを作ると、蟹のつもりだろうか、その人差し指と中指を何度も折り曲げて楽しげに笑った。
◆◇◆◇◆
――操言の力も万能じゃねぇな。
――操言の力……被加護の武器か!
水の村レイトでの戦闘に、ユルゲンが助太刀してくれた場面を思い出す。
(あの時、ユルゲンさんの武器には操言の加護があったんだ)
就寝準備を終えて寝台に横になった紀更だったが、頭が冴えてしまって、眠気がくる気配がない。それどころか、王都を出て水の村レイトに着いた日の夜のように、今日までの出来事が次々と思い起こされて、どことなく興奮してしまう。特に、王黎に言われたとおり怪魔と遭遇した時のことを思い出してみると、その時は気付かなかったことに気付き、見えなかったことが見えてきて、あれこれと考え出してしまった。
たとえば、キヴィネとの戦いにユルゲンが入り込んできた時、ユルゲンの両刀はキヴィネの身体に易々と突き刺さった。あれは、両刀に操言の加護があったためなのだろう。けれどもあの時ユルゲンが言ったように、その効力はあの場ですぐに切れてしまった。
あのあと、どうにか紀更が操言の力を使って、再びユルゲンの両刀がキヴィネにダメージを与えられるようになったが、果たしてそれは「操言の加護」と呼んでいいレベルのものだったのだろうか。未熟な紀更には、己の力量を測ることもできない。
(操言の加護……どれくらい続くものなのかしら)
もしもそれを付与することができたら、夜のウージャハラ草原へ向かうユルゲンに対して、自分は少しでも力になれただろうか。彼に頼ってもらえただろうか。
(怪魔や、操言士のすべきことが気になる……けど)
何か変だ。怪魔や戦闘のこと以上に、ユルゲン自身のことがやけに気になる。
自分がまだ恐怖を覚える怪魔に、凛然と立ち向かっていくからだろうか。一人で颯爽と行ってしまった彼に戦力外とみなされたことを淋しく思うからだろうか。
「紀更様」
その時、少し間を空けて隣に並ぶ寝台から最美の細い声が紀更を呼んだ。
「頭を休めて、しっかり休養をとるのも修行ですわ」
紀更が眠れずに、あれこれと考え込んでしまっているのを見抜いたのだろうか。最美はやさしくたしなめた。
「どうして……」
眠れないこと、考えたり思い出したりしてしまうこと。紀更は何も言っていないのに、最美にはなぜかお見通しのようだった。
「紀更様の、操言士として学ぼうとする姿勢。それがとても強くなってきました。見ていればわかります。知識を吸収しようと、心を素直に開けていますから」
「そ、そうですか」
そんなにもあからさまな態度だっただろうか。
心を素直に開いた自覚はないので、最美に言われて紀更は急に恥ずかしくなった。
「様々なものを見て、触れて、知って……点と点がつながり、世界が開けていく。楽しいことですわね。もっとあれもこれも知りたいと、貪欲に思ってしまいますわね」
「はい……そうなんです」
最美の指摘のとおりだ。
学びたいと主体性を持った瞬間から王黎の話が――いや、王黎だけでなくルーカスやエリックが教えてくれることが、どんどん意味を持って広がっていく。見えなかったことが見えてきて、今まで気にもしなかったことに気付くことができて、まさに世界が開けていく。これまで味わったことのない興奮が、胸の中でずっとくすぶっている。
「でも、夜はしっかり寝てくださいませ。頭も休めないと、せっかく得た知識がどこかへ流れ出て失われてしまいますわ」
「はい」
最美は最後までやさしく、まるで子守唄でも歌うようにゆっくりと話してくれた。
そのおかげか紀更の瞼は重くなり、少しずつ意識が落ちていく。
――フゥ~……ピィ~……。
窓の外、闇のとばりの向こうでかすかに高い音がした。夕方、ザッハー広場で喝采を浴びていた青年の笛の音が耳に残っているのだろうか。それとも誰か別の――。
「――……」
いつの間にか紀更は寝入っていた。
夜は静かに、静かに更けていく。
生き物たちの束の間の安息。身体を休める時間。
また朝をむかえて生き生きと活動するために、夜は安らかに流れていく。
闇に支配された、それはとても優しい時間だ。
◆◇◆◇◆
「今日は絶対に行かん」
「え~……」
夜が明けて、宿の一階、談話室。
今日も騎士団本部へ情報収集に行ってほしいと頼んできた王黎に、エリックが首を縦に振ることはなかった。昨日と同じように、初期訓練の手伝いをさせられるのがよほど嫌なようだ。珍しくエリックは頑固一徹で、どんな説得も届かなさそうだった。
今日はどうやっても押し通せないことを悟り、王黎は不満を呟きつつも引き下がった。代わりに、エリックからルーカスへと視線を移す。
「じゃあ、今日の紀更の護衛はエリックさんということで。それで、ルーカスくん」
「え、あ、はい。自分ですか?」
「街の西口付近でユルゲンくんの帰りを待って、彼と合流してほしいんだけどいいかな。もしだいぶ待つようなら、騎士団本部にいても構わないからさ」
待ちぼうけになるかもしれないが、それならそれで、ラフーア騎士団から怪魔多発に関する情報を得てほしいというのが王黎の狙いだ。
「ええ、いいですよ」
ルーカスは昨日のエリックの疲労困憊ぶりを憐れみ、エリックが騎士団本部に寄り付かないですむようにするため、王黎の頼みを快諾した。
そんなルーカスが、一番に宿を出ていく。続いて最美が、王黎の命令に従うべく言葉少なに別れを告げて、街の北部にある共同墓地へ一人で歩いていった。
「さて、じゃあ今日は、ラフーアの中にある祈聖石を巡ろうか」
宿を出た王黎が指し示す東の方向へ、紀更とエリックは踏み出した。
宿からウィーコー通りへ行く途中には、ラフーア南音楽堂がある。街の北部にある中央音楽堂よりは小さいが、南音楽堂も荘厳な佇まいで、楽器らしきものを持った人々が、朝の挨拶を交わしながら続々と中に入っていく。今日も練習に精を出すのだろう。
紀更たちはウィーコー通りで朝食のパンを買って胃に収めると、街の南部を目指す。街の南に広がる住宅街は、そのすぐ傍に穀物畑を抱いていた。
ラフーアは音楽が盛んだが、音楽だけで全員が生活できるわけではないので、ほかの都市部同様、こうして街の中に農業をする区画があり、音楽家でない住民は、その大半が農業で生計を立てている。水の村レイトと違うのは、レイトが村の外にも農業区画を持っていたのに対して、ラフーアは基本的に街の中に耕作地がある。耕作地も含めて街である、という方が正しいかもしれない。
「王黎師匠、ラフーアの街の中にはいくつの祈聖石があるんですか?」
歩きながら、紀更は王黎の背中に問いかけた。紀更の疑問を耳で拾った王黎は足を止めずに背後を振り返る。
「僕の知ってる数から変更なければ、北側に九つ、南側に七つかな」
「全部で十六……結構あるんですね」
「レイトに比べれば大きいからね。でもレイトと同じで、多くは街の中と外の境目にあるよ」
王黎は見えてきた小麦畑の前で一度足を止め、きょろきょろと視線を左右に這わせた。
「うん、変わってないね。こっちだよ」
王黎は西に向かって少し歩く。すると小麦畑の中に人が通れるような通路が伸びているところに到着した。
「王黎殿、わたしはここで待っている。場所を知られない方がいいのだろう」
「ああ、そうですね。ありがとうございます。すぐ戻りますから」
最後尾にいたエリックはさすがに小麦畑の中まで付いていく気はないようで、紀更から視線を外さないように二人を見守る。しかし二人の姿はほどなくしてエリックの視界から消えた。王黎が操言の力を使って暗幕を引き、自分と紀更の姿を隠したのだ。
「王黎師匠、このあたりの祈聖石は小麦に擬態しているのでしょうか」
非常に狭い通路を、紀更と王黎は身体を横向きにしてカニ歩きで奥へと進む。
「そうだよ。はい、止まってかがんで」
王黎は足を止めてかがむ。紀更もつられるように静かにかがんだ。
狭い通路で窮屈そうに隣り合う紀更と王黎。二人の前後には、青々とした成長途中の小麦が風にそよいでいる。そして王黎は一本の麦の根元を指差した。
「この麦だけ、ここが縞模様になっているんだけど見える?」
「はい。黄色と緑の縞……これが目印ですか」
「面白いよね。最初にこの擬態を思いついた人は、なかなかいい発想力を持っていると思わない? これなら、こうやって教えられでもしないと、これが祈聖石だと見つけ出すのは無理だよね」
王黎はいたずらっぽく笑う。
確かに、麦に擬態させる発想といい、かがまないと見えないような位置に施したささやかな縞模様といい、柔軟なアイデアだと思う。
「祈聖石の保守はラフーアの操言士たちがやっているから、今日はただ見て回るだけね」
「はい。じゃあ、戻りますか」
「うん、カニカニしよう。それと祈聖石を回りながら、対怪魔戦での操言士の役割について講義しようか」
王黎は両手でピースサインを作ると、蟹のつもりだろうか、その人差し指と中指を何度も折り曲げて楽しげに笑った。
◆◇◆◇◆
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説

とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。


王女、豹妃を狩る
遠野エン
ファンタジー
ベルハイム王国の王子マルセスは身分の差を超えて農家の娘ガルナと結婚を決意。王家からは驚きと反対の声が上がるが、マルセスはガルナの自由闊達な魅力に惹かれ押し切る。彼女は結婚式で大胆不敵な豹柄のドレスをまとい、周囲をあ然とさせる。
ガルナは王子の妻としての地位を得ると、侍女や家臣たちを手の平で転がすかのように振る舞い始める。王宮に新しい風を吹かせると豪語し、次第に無茶な要求をし出すようになる。
マルセスの妹・フュリア王女はガルナの存在に潜む危険を察知し、独自に調査を開始する。ガルナは常に豹柄の服を身にまとい人々の視線を引きつけ、畏怖の念を込めて“豹妃”というあだ名で囁かれるのだった。

ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる