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第三章 初デートと二度目のキス、その後は......

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二人は遼の部屋にいた。
遼は大河の手の傷を消毒すると、絆創膏を貼る。よく転ぶ大河のために今流行りの潤湿療法タイプの絆創膏を買っておいたのだが、こんな形で役に立つなんて思わなかった。そこまでする必要はないと分かっていながらも、遼の気が済まなくて大河の手に包帯を巻く。
あきらかに過剰な手当をする遼に、大河はつっこむこともなく遼にされるまま黙って手を差し出していた。
手当が終わって、遼は救急箱を閉じるとそっと机に置く。
「.........」
その場に、沈黙が流れた。
「青木」
俯いたままの遼に大河が優しく名前を呼ぶ。
「あおき」
顔を上げられない遼に大河はさらに優しい声で遼を呼んで、俯いた遼の頬を撫でる。暖かい体温にジワリと遼の目に涙が滲んだ。
「俺のせいで怪我させてごめん」
「青木のせいじゃないよ」
「俺が走ったりしたから」
「俺が勝手に転んだんだよ」
「ちがっ、俺が.....!」
「青木」
遼の言葉を大河の穏やかな声が遮る。
「こっち向いて...」
それに遼は抗うことができず、遠慮がちに顔を上げ大河の方を見た。大河は驚くぐらい穏やかな優しい顔をしていた。顔を上げた遼に嬉しそうに微笑む。大河は遼に向かって腕を広げた。
「おいで」
向けられる溢れるような優しさに、堪えきれず遼は大河の腕の中に飛び込む。
「うーかんざきぃ......」
大河に抱きついて遼はポロポロと涙を零す。あやすようによしよしと大河が遼を撫でた。
「大丈夫、大好き、大丈夫だよ」
とんとんと背中を優しく叩かれて、遼の気持ちが落ち着いてくる。気付いたら大河の肩に頭を凭れさせ、とろんとした気持ちで体を預けていた。
「もぉ......おまえなんでそんな優しいんだよ」
知らず甘えた声が出てしまう。
「優しい?俺が?」
「そうだよ!バカッ!バーカバーカ!」
言いながらぐりぐりと額を大河に押し付ける。
「青木......かわいい......」
そんな遼に大河が耳元で囁く。それにピクンと体を跳ねさせて遼は大人しくなってしまった。
(かんざきのたいおんあったかい......)
体が勝手に大河に擦り寄る。もっとギュッとして欲しいと思っていると、答えるように大河が強く遼を抱きしめた。
(もうだめだ......)
遼の体に心に安心が広がっていく、男としてとかプライドとか、恥ずかしさとかそんなものがすべて溶けていって、遼は甘え切るように大河に全身を預けた。
(こいつ相手に強がっても無駄だ)
そう思って遼は思い切って口を開いた。
「なぁ.........何でキスしないんだよ」
「え?」
遼の問いかけに大河が驚いた声を上げた。
「最初に、合コンの時にキスしたっきりで...そのあと一度もしてこないじゃんか......」
「.........」
大河は何も言わない。それに焦れて遼はギュッと大河の服を握った。
「こうやって抱きしめたり、すぐ俺に触れてこようとするくせにキスはしないなんて......俺とキスしたくないって思ってもしかたないだろ!」
「............キス、してもいいの?」
少しの間を開けた後、大河がそう聞いてくる。遼は顔を上げるとキッと大河を睨んだ。
「いいに決まってるだろ!キスどころか、それ以上だって......っ、んっ」
してもいい、と言い終わる前に遼は大河に唇を奪われた。噛みつくようにキスをされ、驚いて吐息がもれた隙に舌を差し込まれる。あっという間にキスは深くなった。
「っ...ふ、......」
舌を舐められて吸われる。とろりとした大河の舌の感触に、遼から甘い吐息が零れた。その間にもキスは深くなっていく。
容赦のない口付けに遼は空気を求めて少し顔を引こうとするが、それを許さないとでもいうように大河が遼の頭の後ろに手を回してグッと引き寄せた。
「んっ、ん......は、ぁ......」
優しい大河の性格から想像できないほどの激しいキス。穏やかな佇まいのどこに、こんな激しさを隠していたんだろうと思うほど、大河のキスは遼を求めていた。熱い大河の口付けに、頭の中が溶けていく。
(かんざきのキス......きもち、いい)
待ち焦がれていたその唇に答えるように、遼は大河の首に腕をまわして抱きつく。もっと欲しくて、大河の舌を舐め返すと答えるように大河が遼の舌を甘噛んだ。
「あ、っ......」
その感覚に、遼は堪えられず声を零す。口付けたまま大河の唇が嬉しそうに弧を描いた。深く唇を合わせてから、チュッと音を鳴らして大河はゆっくりと顔を離した。
「っ......かんざ、き......」
上がった息に肩を上下させながら名前を呼ぶ声は甘く、知らず溶けた顔で遼は大河を見つめる。愛しそうに目を細めと、大河はこつんと遼の額に自分の額を当てた。
「嬉しい、ずっとキスしたかった」
「え......」
「ずっと我慢してたんだ」
そっと大河が額を離して遼を見つめた。
「......なんで?」
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