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第三章 初デートと二度目のキス、その後は......
⑦
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「俺ちょっとトイレ」
そう言って青木が席を外す。あれからずっと青木は大河の方を見てくれない。
席を立つ青木の背中を見送って、大河は焦りを感じる。こんなに感情がコントロールできないのは初めてだ。青木に背中を向けられるだけで寂しくて仕方なかった。
だけど弱気になっている場合ではない。今日こそは青木に連絡先を聞いて食事に誘うと大河は心に決めたのだ。決意も新たに、大河は気合を入れるため、目の前にあった瓶からアルコールをコップに注ぐと一気に飲み干した。
「神崎!それ......!!」
後ろで佐々木の慌てる声が聞こえる。それに振り返ろうとして、大河は振り返れなかった。
急にぐるぐると視界が回りだす。
「あーあー、こりゃ遼に怒られるな......」
かすかに聞こえた声が遠くなり、大河は目の前の机に突っ伏した。
「大丈夫か......」
ぐるぐると回る世界の中、優しい優しい掌が背中を撫でてくれていた。
(ああ......この手は......)
大河はこれが誰の手か知っているし、その手に撫でられるのがとても好きだ。
その優しい手の主を見るために、酔いが回る頭を振り切って、大河は目を開ける。目の前に優しい手の主、青木の顔が広がった。それだけで安心して大河はホッと息を吐いた。
「ほら水」
「あ、りがと......」
とても心配そうな瞳で青木が大河を見つめる。不謹慎だと思いながらも、さっきまで背けられていた視線が大河に向いていることに嬉しさを感じた。水を受け取るが、数口飲んだところで手に力が入らなくなり溢してしまう。濡れるのも構わず青木は大河の服を拭いて背中を撫でてくれた。
それが、あまりにも優しくて、愛しさを押さえきれなくなる。
(おれも......触れたい......)
大河は青木の手を握りしめた。簡単に包み込めるその華奢な手に、言いようのない熱を覚える。
その頬に触れて大河は青木を見つめた。大河の視線に青木が頬を染める。赤くなった青木が可愛くて、抑えきれない気持ちのまま大河はその唇に口付けた。
「っ......」
青木が息を飲む。触れた唇が柔らかくて、もっとと思った。
耳を撫でるとその口から息が零れる、開かれた口の間に舌を差し入れ大河はキスを深くした。青木の唇も舌もとても甘い。大河はもっとと思う気持ちのまま何度も口付けた。
徐々に青木の体から力が抜けていく、大河は満足いくまで堪能するとそっと顔を離した。とろんと蕩けた瞳で青木が大河を見つめている。上気した頬が可愛くて、目の前の頬を両手で包み込む。こんな顔を彼にさせたのが自分だと思うと嬉しくて大河は微笑んだ。
すると青木が大河の服を掴む。
(ああもう......どの仕草も可愛い......)
堪らなくて大河は青木の名前を呼んだ。
瞬間。
「最低っっ!!」
頬に強い衝撃を受けたと想ったら、突然青木が駆けだした。去っていく青木の横顔が見える、その顔はどこか悲しそうな表情をしていた。
突然のことに驚くが、瞬間的に青木を引き留めないとと感じて大河も立ち上がろうとする。
「っ、~~~~」
だけど視界がぐらりと歪んで大河はその場に蹲った。
「まって......はるかちゃ......」
それでも青木を追いかけようと大河は必死で立ち上がろうとする。すると余計にぐるぐると視界が回って大河の意識がそこで途切れた。
そう言って青木が席を外す。あれからずっと青木は大河の方を見てくれない。
席を立つ青木の背中を見送って、大河は焦りを感じる。こんなに感情がコントロールできないのは初めてだ。青木に背中を向けられるだけで寂しくて仕方なかった。
だけど弱気になっている場合ではない。今日こそは青木に連絡先を聞いて食事に誘うと大河は心に決めたのだ。決意も新たに、大河は気合を入れるため、目の前にあった瓶からアルコールをコップに注ぐと一気に飲み干した。
「神崎!それ......!!」
後ろで佐々木の慌てる声が聞こえる。それに振り返ろうとして、大河は振り返れなかった。
急にぐるぐると視界が回りだす。
「あーあー、こりゃ遼に怒られるな......」
かすかに聞こえた声が遠くなり、大河は目の前の机に突っ伏した。
「大丈夫か......」
ぐるぐると回る世界の中、優しい優しい掌が背中を撫でてくれていた。
(ああ......この手は......)
大河はこれが誰の手か知っているし、その手に撫でられるのがとても好きだ。
その優しい手の主を見るために、酔いが回る頭を振り切って、大河は目を開ける。目の前に優しい手の主、青木の顔が広がった。それだけで安心して大河はホッと息を吐いた。
「ほら水」
「あ、りがと......」
とても心配そうな瞳で青木が大河を見つめる。不謹慎だと思いながらも、さっきまで背けられていた視線が大河に向いていることに嬉しさを感じた。水を受け取るが、数口飲んだところで手に力が入らなくなり溢してしまう。濡れるのも構わず青木は大河の服を拭いて背中を撫でてくれた。
それが、あまりにも優しくて、愛しさを押さえきれなくなる。
(おれも......触れたい......)
大河は青木の手を握りしめた。簡単に包み込めるその華奢な手に、言いようのない熱を覚える。
その頬に触れて大河は青木を見つめた。大河の視線に青木が頬を染める。赤くなった青木が可愛くて、抑えきれない気持ちのまま大河はその唇に口付けた。
「っ......」
青木が息を飲む。触れた唇が柔らかくて、もっとと思った。
耳を撫でるとその口から息が零れる、開かれた口の間に舌を差し入れ大河はキスを深くした。青木の唇も舌もとても甘い。大河はもっとと思う気持ちのまま何度も口付けた。
徐々に青木の体から力が抜けていく、大河は満足いくまで堪能するとそっと顔を離した。とろんと蕩けた瞳で青木が大河を見つめている。上気した頬が可愛くて、目の前の頬を両手で包み込む。こんな顔を彼にさせたのが自分だと思うと嬉しくて大河は微笑んだ。
すると青木が大河の服を掴む。
(ああもう......どの仕草も可愛い......)
堪らなくて大河は青木の名前を呼んだ。
瞬間。
「最低っっ!!」
頬に強い衝撃を受けたと想ったら、突然青木が駆けだした。去っていく青木の横顔が見える、その顔はどこか悲しそうな表情をしていた。
突然のことに驚くが、瞬間的に青木を引き留めないとと感じて大河も立ち上がろうとする。
「っ、~~~~」
だけど視界がぐらりと歪んで大河はその場に蹲った。
「まって......はるかちゃ......」
それでも青木を追いかけようと大河は必死で立ち上がろうとする。すると余計にぐるぐると視界が回って大河の意識がそこで途切れた。
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