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第一章 自覚のきっかけはキス
④
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「友達が先生連れて来てくれるから」
「ありがと......」
冷たいものを飲んだからか、彼から返事が返ってくる。だけどまだまだしんどそうだ。
「もたれていいぞ」
そう言うと彼は頷く。彼は遼の方に体を傾けると、遼の膝に頭を乗せた。
「っ......!」
肩を貸すぐらいのつもりだったのに、膝に彼の頭の重さを感じて遼の鼓動が跳ねる。
完全に膝枕の状況に心臓がドキドキと音を刻んだ。
(いやまあ、そのぐらいしんどいってことだし......思ってもないことだったからびっくりしただけだ)
彼の行動にドキッとした自分に言い訳しながら、遼は濡らしたタオルを彼の額に乗せてあげる。
それに目を閉じたまま彼が口元を緩めた。
「優しいんだね......」
「別に、これぐらい普通だし」
上がった口角にドキドキしながらも遼は何でもないように返す。遼の膝の上で浅く息を繰り返す彼に、遼は無意識でその頭を撫でた。少しでも楽になるようにと思いながらゆっくり撫でていると、その速度に合わせるように彼が深呼吸を繰り返す。すると彼の荒い息が落ち着いて来るのが分かった。
撫でる手が心地いいのか、彼が甘えるように頭を遼に寄せる。
それが可愛くて遼は微笑むと、落ち着いてきた彼に声をかけた。
「なあ、何であんなとこで立ってたんだ?」
あんな直射日光が当たる場所に立ってるなんて、この時期は危ない以外の何物でもない。
「空が、綺麗で」
「......空?」
「あ......うん、それで見てたんだ、一時間ぐらい」
「一時間!?」
「なんか、時間忘れちゃって......」
そりゃあ熱中症にもなるだろう。しかも空って、こんな大きい図体をして子供みたいな理由に遼は思わず吹き出した。
「ふはっ......」
くくくと遼が肩を揺らす。
「..................」
妙にツボに入って遼が笑っていると、ふっと彼が目を開けた。
彼の瞳がジッと遼を見つめる。
至近距離で彼の瞳と視線が合った。さっきまで閉じられていた彼の目が遼を映す。
瞳を開けた彼の顔が息を飲むほど整っていて、見つめる瞳があまりにも綺麗で、遼は一瞬時を忘れた。
まるでその瞳に吸い込まれるように遼は動けなくなる。彼の手が伸びてきて遼の頬に触れた。
優しく遼の頬を指先で撫でると、彼は目の前でふわりと笑った。
「えがお......かわいい......」
「っ......!」
そう言うと彼はまた目を閉じて、安心するように遼に体を預けた。
遼は自分の頬に触れる。
(え.....何?今の......)
瞬間、彼の指先の温度が蘇った。
「~~~~~~」
遼の頬がカァァァー―と真っ赤に染まる。心臓がドクドクと音を刻みだした。
(ちょっと待て!俺は男に可愛いって言われて何赤くなってるんだ)
そう思うけれど、熱を持つ頬を止められない。
「ありがと......」
冷たいものを飲んだからか、彼から返事が返ってくる。だけどまだまだしんどそうだ。
「もたれていいぞ」
そう言うと彼は頷く。彼は遼の方に体を傾けると、遼の膝に頭を乗せた。
「っ......!」
肩を貸すぐらいのつもりだったのに、膝に彼の頭の重さを感じて遼の鼓動が跳ねる。
完全に膝枕の状況に心臓がドキドキと音を刻んだ。
(いやまあ、そのぐらいしんどいってことだし......思ってもないことだったからびっくりしただけだ)
彼の行動にドキッとした自分に言い訳しながら、遼は濡らしたタオルを彼の額に乗せてあげる。
それに目を閉じたまま彼が口元を緩めた。
「優しいんだね......」
「別に、これぐらい普通だし」
上がった口角にドキドキしながらも遼は何でもないように返す。遼の膝の上で浅く息を繰り返す彼に、遼は無意識でその頭を撫でた。少しでも楽になるようにと思いながらゆっくり撫でていると、その速度に合わせるように彼が深呼吸を繰り返す。すると彼の荒い息が落ち着いて来るのが分かった。
撫でる手が心地いいのか、彼が甘えるように頭を遼に寄せる。
それが可愛くて遼は微笑むと、落ち着いてきた彼に声をかけた。
「なあ、何であんなとこで立ってたんだ?」
あんな直射日光が当たる場所に立ってるなんて、この時期は危ない以外の何物でもない。
「空が、綺麗で」
「......空?」
「あ......うん、それで見てたんだ、一時間ぐらい」
「一時間!?」
「なんか、時間忘れちゃって......」
そりゃあ熱中症にもなるだろう。しかも空って、こんな大きい図体をして子供みたいな理由に遼は思わず吹き出した。
「ふはっ......」
くくくと遼が肩を揺らす。
「..................」
妙にツボに入って遼が笑っていると、ふっと彼が目を開けた。
彼の瞳がジッと遼を見つめる。
至近距離で彼の瞳と視線が合った。さっきまで閉じられていた彼の目が遼を映す。
瞳を開けた彼の顔が息を飲むほど整っていて、見つめる瞳があまりにも綺麗で、遼は一瞬時を忘れた。
まるでその瞳に吸い込まれるように遼は動けなくなる。彼の手が伸びてきて遼の頬に触れた。
優しく遼の頬を指先で撫でると、彼は目の前でふわりと笑った。
「えがお......かわいい......」
「っ......!」
そう言うと彼はまた目を閉じて、安心するように遼に体を預けた。
遼は自分の頬に触れる。
(え.....何?今の......)
瞬間、彼の指先の温度が蘇った。
「~~~~~~」
遼の頬がカァァァー―と真っ赤に染まる。心臓がドクドクと音を刻みだした。
(ちょっと待て!俺は男に可愛いって言われて何赤くなってるんだ)
そう思うけれど、熱を持つ頬を止められない。
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