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⑳
しおりを挟む「やだっだめ......!」
恥ずかしくて光琉は反射的に足を閉じようとする。だけど近衛の体があるので閉じれなくて。ジッと下半身に近衛の視線が注がれるのを感じる。
「ああ......可愛いな.....肌もすべすべで綺麗だと思ったけど、ここもめちゃくちゃ綺麗だ」
「そんなっ......」
ハァと熱く近衛が息を零す。
(そんなとこっ......! 綺麗なわけない!)
そう思うのに、近衛の瞳と声が真剣で、光琉は恥ずかしくて全身を赤く染めた。
近衛の唇が太ももにキスを落とし、肌を舐め上げる。舌が足の付け根をくすぐったと思ったら、強く吸われた。ツキンと軽い痛みがそこに走る。
(なに......?)
近衛がキスマークをつけたことに、こういった経験がない光琉は気付かない。
「あっ......近衛先輩......、っ」
さっきよりも更に際どい場所を刺激され足が震えた。
「もっと見せて......」
「あ......」
言葉と同時に近衛が太ももに触れ、左右に倒すように足を広げられた。
「近衛先輩......!」
「光琉のかわいいとこよく見える......」
足を広げられた恥ずかしい格好に思わず抗議の声を上げる。だけど次の瞬間、恥ずかしさなんて一気に飛んでいった。
「うそっ......! やだぁっ! ......このえせんぱっ、んぅーー」
熱い吐息があらぬところにかかったと思ったら、まるで近衛が美味しいものを食べるように、ぱくりと光琉のペニスを口に含んだから。
慌てて体を起こして止めようとするが、舌をすり合わせるように裏筋を舐められ、すぐに光琉の体はベッドに沈んだ。
「あっあぁっ、あんっ......!」
今までとは比べようもならないぐらいの快感が、近衛が咥えている場所から沸き上がる。一際大きく光琉の甘い声が部屋に響いた。
「ん......ひかる......かわひい......」
「いやぁ......しゃべらないでぇっ......!」
深く口に含んだまま近衛が言葉を発する。声の振動が響いて、ぞわぞわと背筋に快感が走った。鼻にかかるくぐもった近衛の声がセクシーで、それもまた光琉を感じさせた。
強い快感に、チカチカと目の前に火花が散る。
「あぁ......もお......でちゃうっ!」
「ん」
離してというつもりで言ったのに、反対に近衛は光琉を咥え直し先端に歯を立てた。
「やっ! あっあっ......あ――」
与えられる刺激に抗うことができず、光琉は背中を仰け反らせ、あっという間に絶頂に達した。
「ふ......ぁ、......んん......」
拳を口に当てて絶頂の余韻に堪える。視界の片隅で、ティッシュに光琉の放ったものを出している近衛の姿が見えて光琉はハッとした。
(俺! 近衛先輩の口に......!)
光琉は慌てて近衛に謝ろうとした。
「んふふ~ひかる~」
だけど、近衛は光琉の方を見ると顔をふにゃあと綻ばせた。ギュッと光琉を抱きしめる。
「光琉が気持ちよくなってくれて嬉しい。可愛い光琉。大好きだ......」
ちゅっちゅっと首筋に額に頬にキスが降ってくる。整った顔をふにゃふにゃに崩れさせ、嬉しそうに近衛が笑う。その笑顔が可愛くて愛しくて、きゅうと心が甘く締め付けられた。
近衛の背中に腕をまわして抱きつく。すぐに温かい腕が抱きしめ返してくれた。
与えられて、返そうとするのに、それ以上に与えられる。近衛が愛しくて、そっと近衛の頬に手を添え、自分から口付けた。
「うん、めちゃくちゃ気持ちいい......近衛先輩にされること全部気持ちいいから......」
「光琉......」
「近衛先輩も、俺で気持ちよくなって」
「っ......」
光琉の言葉に近衛が息を飲む。
「大好き」
「光琉っ......」
堪らないというように近衛が光琉に口付ける。すぐに深くなるキスに、光琉は一生懸命答えた。
「ん、んっん」
(やっぱり近衛先輩のキス気持ちいい......だいすき......)
そっとキスが解かれ、光琉はうっとりと瞳を惚けさせた。そんな光琉の頭を愛し気に近衛が撫でる。
「俺......こういうの先輩とが初めてだから上手くできないかもしれないけど......」
隠すことでもないしと光琉は口にする。すると近衛が幸せそうに微笑んだ。
「俺も初めてだよ」
「えぇっ‼」
はにかむように言われて驚きの声が漏れる。
(近衛先輩が......?)
信じられなくて光琉はパチパチと瞳を瞬かせた。光琉の反応に、近衛は口を尖らせた。
「なんだよ......初めては好きな相手とって決めてたんだ。俺は光琉が初恋なんだよ。悪いか!」
(うそ......!)
開き直るようにはっきりと言い放つ近衛。ドキンと心臓が大きく跳ねる。言われた言葉に、初めて知る事実に、胸がとんでもなくときめいた。
こんなにかっこよくて素敵な近衛のことだからさぞモテてきただろうと思っていた。いや、実際モテていたに違いない。こんな優しい人、誰もが好きになってしまう。
そんな近衛の初恋が自分だなんて。
「っ......」
光琉の瞳に涙が滲む。
「光琉......!」
近衛が慌てて光琉を覗き込む。
「どした?」
頭を撫でながら、優しい声でそう問われる。撫でる手も声も、近衛の仕草すべてがとても温かい。
近衛が光琉を選んでくれたことを、心から幸せだと思った。体中が歓喜で震える。愛しくて幸せで、この目の前の人が大切過ぎて苦しい。
「嬉しくて......」
この気持ちをどう言葉にしたらいいか分からない。
「近衛先輩が俺を好きになってくれたことが幸せっ......で......」
この幸せを、寸分たがわず近衛に伝えられないことがもどかしい。
「近衛先輩、好き。すき......だいすき......」
それでも近衛のおかげで、光琉は幸せなんだと必死に好きだと告げる。
光琉の涙の理由わけを知って、ハッと近衛が息を飲む。次の瞬間、近衛の顔いっばいに幸せな笑顔が広がっていった。
「俺も......しあわせ......」
近衛の声がかすれている。それに、上手く言葉にできなくても、光琉の気持ちはしっかり近衛に伝わっていることが分かった。
「このえせんぱい」
「ん」
キスがしたくて名前を呼ぶと、光琉の甘えた声に答えるように、近衛がちゅっと光琉の唇を啄む。
そして目の前で、嬉しそうに目尻を下げた。
「初めてだけど......体の構造に関しては、人より知識があるから。安心して任せてくれ」
「ふふ......なんてたった医大生だもんね」
近衛の言葉に光琉は笑みを零す。
「よろしくお願いします」
そう言って、光琉はちゅうと近衛の唇に吸い付いた。
「んんっ、あ、あっあぁ......」
くちゅと濡れた音と、光琉の甘い嬌声が部屋の中に響く。
「あ......もぉ......だいじょぶ、だからぁ......ああんっ!」
「ん、もうちょっとだけな」
優しくそう言って、近衛が髪に口付ける。光琉は近衛の腕の中に横から抱きしめられていた。片手で宥めるように体を撫でられ、もう片方の手は光琉の後ろに伸ばされている。
「ちゃんと準備してるから」と照れながら、ゴムとローションを棚から取り出してきた近衛を、かわいいななんて思っていたのも束の間。近衛の言う通り、医大生という肩書は伊達てはなかった。
後孔に指を忍ばされ、初めは圧迫感を感じていたものの、近衛はすぐに光琉の感じる場所を見つけ出した。指がある一点に触れた時、体に電流が走ったかのような強い快感を感じ戸惑っていると、近衛が嬉しそうに「見つけた」と言って微笑んだ。
それからはもう、わけがわからないぐらい気持ち良くて。近衛の指が、何度も光琉の感じるところをすり上げて、その度光琉はあられもない嬌声を上げた。
「んぅーーあっ、あ、やぁ......このえせんぱぁ............」
光琉はすでに数度絶頂に達してしまっていた。体が熱くて、襲ってくる快感に抗う術が分からない。助けを求めるように光琉は近衛にしがみついた。
「うん。かわいい。光琉。大好き」
甘やかすように囁いて、いっぱいキスをして、優しく宥めてくれるのに、後ろを解す手は全然緩めてくれなくて。
「あぅ......も......だめぇ......」
感じすぎて光琉の瞳からポロポロと涙が零れ落ちた。指がいつの間にか三本に増えていることに、強すぎる快感に翻弄されている光琉は気付いていない。
「光琉」
「ひっ......や、あ、あっ! んんーー」
ちゅっと頬に口付けながら、ぐっと一際強く感じる部分を押し上げられ、光琉は震えながら背中を仰け反らせた。
「も、いいかな......」
「あっ......」
指が引き抜かれる感覚にも甘い声が零れる。
近衛が光琉に覆いかぶさると、下着から自身を取り出した。体の大きさに比例した、とても大きな近衛のモノに、光琉の喉がこくんと鳴る。あまりに立派なそれに、光琉は思わず頬を染めた。同時に、体格差がある分受け入れる光琉のことを考えて、慣らすのに時間をかけてくれたことに気付く。
「あーやばい......ガチガチ......」
独り言のように小さく呟いて、近衛が深く息を吐いた。
(近衛先輩......あんなに大きくさせてるのに......)
こんな時まで光琉のことを考えてくれる近衛に、キュンと鼓動が甘く波打つ。
「近衛先輩......」
気付いたら近衛に向かって腕を広げていた。
「早く......きて」
「っ......ひかる」
驚いたように近衛は瞳を見開いて、だけどすぐに欲情に顔を歪ませた。
近衛が後孔にペニスを宛がう。悦ぶように光琉の後ろがちゅうと近衛に吸い付いた。
「ひかる......!」
それに堪えられないというように、近衛はグッと腰を進めた。
「ん、ふ......」
あれだけ慣らしてくれたのに、押し広げられる感覚が苦しくて声が漏れる。
「っ、大丈、夫か?」
反射的に近衛が体を引こうとする。それに気付いて、光琉は近衛の腰に両足を巻きつけ引き寄せる。
「だめ! やだ! 抜かないで......!」
首筋にも腕を回してしがみつく。
「今度は俺がっ......近衛先輩をきもちよくするの!」
「..................」
しばし近衛が動きを止めて、そして光琉の前に手を伸ばした。
「ああっ......!」
快感に体が緩んだ隙に近衛が体を押し進める。臀部に近衛の体が触れて、自分がちゃんと近衛を受け入れることができたことを知る。
「......近衛先輩」
嬉しくて、瞳に涙が浮かぶ。
「ふ......、今日の光琉は泣き虫だな」
熱い吐息を零して、近衛が愛し気に瞳を細める。
「だって......幸せで」
「ん......俺も」
引き合うように自然と二人の唇が重なる。しがみつく光琉を、近衛が抱えるように抱きしめた。
中も外も近衛の温かさに包まれて、こんな幸せなこと他にどこにもない。
「ひかる......」
「あっ、あ、っん......せんぱ......」
近衛が腰を動かしだす。圧迫感はあるが、それも近衛の大きいモノが感じる場所をすり上げるたび、中が緩んで快感に変わっていく。
「も、おれ......だめっ......イク............」
「ひかる......一緒に......」
ギュッと光琉の両手を近衛が握りしめる。それを強く握り返して。
「んっあぁっ.....っ、ああ――――」
「くっ......」
二人一緒に欲望を吐き出した。吐き出される近衛の欲望が、光琉の中に温かく広がっていく。
何もかも温かい近衛に包まれて、光琉は心も体もとろとろと心地よさに溶けていくのを感じた。
光琉に覆いかぶさって荒く息を付いていた近衛が体を身じろがせる。そしてちゅっと光琉の額にキスを落とした。
「な......光琉、もう一回いいか?」
甘えるようにすりと頬を寄せる近衛に、熱に浮かされたまま光琉はコクンと頷いた。
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