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⑲
しおりを挟む「ん......」
優しい動作でベッドの上に体を降ろされる。チュッと額に口付けられて甘い声が漏れた。
すぐに近衛が光琉の上に跨って、二人分の重みを受けてベッドのスプリングが大きく軋んだ。
「光琉......」
「ふ、......」
甘い声で名前を呼ばれ、それだけでゾクッと背中に痺れるような疼きが走った。
「んぁ......近衛先輩............」
初めて感じる感覚に戸惑って、助けを求めるように近衛を呼ぶ。すると近衛が光琉の手を取って、その甲に口付け、光琉を見つめて微笑んだ。
「ひかる......」
「あ、ん......」
また名前を呼ばれ体が震える。キスも微笑みも声も、近衛のすべてが甘くて、とろんと思考が溶けていく。ドキドキするのにとても安心する。もっと甘やかして、近衛にいっぱい触って欲しい。
こんな激しい欲が自分の中にあったなんて。そんな自分に光琉は驚いていた。
「ふ......可愛い声。そんな声出されたら......抑え効かなくなる」
舌なめずりをするように唇を舐めて、近衛が瞳を細める。隠す気もない、というように欲の色を浮かべる獲物を捕らえた肉食獣の目に、体に甘い痺れが走った。
(ああ......どうしよう......おれ、食べられちゃう......)
これからのことを考えると恥ずかしくて堪らないのに、早く近衛に食べて欲しいと本能が訴える。
「近衛先輩......」
(早く......)
言葉にできない気持ちをこめて、熱に浮かされたまま近衛を呼ぶと、ふっと近衛が口元を緩めた。そしておもむろに着ているトレーナーを脱ぎ捨てた。
「っ......」
目の前に、日に焼けた近衛の体躯が現れる。精悍な近衛の雰囲気に似合う、引き締まった筋肉質なその体。一気に部屋の雰囲気に淫靡さが増す。近衛の裸体から色気が溢れ出ていて、知らず光琉の喉がこくんと鳴った。顔の横に両手をついて、近衛が光琉に覆いかぶさる。
「ふ......そんな顔しなくても、光琉のことまるごと愛して食べてやるから」
興奮に顔を歪めると、近衛は噛みつくように光琉に口付けた。名前を呼んだだけで、光琉の欲しいものを分かってくれる近衛に、胸がキュンと高鳴る。
深く舌を差し入れて、光琉の舌を捉えると裏側を舐められた。きつく吸われて、光琉は気持ちよさに、無意識で近衛の首筋に抱きつく。そんな光琉の可愛い仕草に、気を良くするように近衛の唇が微笑みの形を作った。
「ん、んっ」
舌先を甘噛まれ、鼻にかかった甘い声が漏れる。光琉も必死に答えようとするが、近衛に与えられる刺激が大きくて、体から力がどんどん抜けていく。キスされるだけで、下半身が熱を持つのが分かる。体の芯が惚けていくような強い痺れに襲われた。
「っ......ぅ、ふぁ............んーーっ」
飲み込めない唾液が口端から伝う。もともとの体格差もあるが、近衛は舌も長くて。深く口内に差し込まれた舌が、喉奥をくすぐった。
(あ、だめ......それきもちいっ......!)
瞬間、びりびりと背筋に快感が流れ、光琉は大きく体を跳ねされた。
その後も、口腔中、近衛の舌が触れていないところがないのではないかと思うぐらい愛撫されて、キスが解かれる頃にはすっかり息が上がっていた。
「ん......ぅ、このえせんぱぁ、い......」
近衛を呼ぶ声は、自分ものとは思えないほど甘く溶け切っていた。体に力が入らない。
「ああ......かわいい......俺のひかる............」
熱い吐息を零しながらそう呟いて、近衛が光琉の服の中に手を差し入れた。着ている服を捲り上げるように、大きな掌が腹から首筋まで光琉の肌をなぞる。
「あ、んっ......」
なぞる途中で近衛の指先が胸の突起に触れて、光琉から甘い声が零れた。羞恥で頬が赤く染まる。近衛はそのまま光琉の服を脱がせた。
「光琉......」
ゴクリと唾を飲み込む音が聞こえて、頬を赤くしたまま近衛を見上げると、頬を染めた光琉より、はっきりと分かるぐらい近衛が真っ赤になっていた。
「近衛先輩?」
珍しい姿に、どうしたんだろうと首を傾げると、近衛はバッと口を押えた。
「光琉は......こんなとこも可愛いんだな」
「え......?」
「ここ、ピンク色で......可愛いすぎる.......あ、やべぇ」
「なっ......!」
近衛は光琉の胸の飾りを見つめ、盛大に頬をにやけさせた。光琉の胸の突起は、綺麗なピンク色をしていた。北海道生まれのせいか、光琉はもともと色白で色素も薄い。体育の授業以外で人前で服を脱ぐことがないし、それも大学に入ってからなくなってしまった。人の裸をまじまじと見つめる機会もない光琉は、そんなものだと思っていたが。確かに目の前の近衛の裸体とはかなり差がある。はっきりとそれを口にされ、光琉はあっという間に赤くなった。
「変なこと言わないで!」
「だって、可愛くて......それに色白で......赤くなってるのもよく分かる......堪んない」
「も、ぉ......」
堪んない、と吐息交じりに囁かれ、体がぴくりと反応する。近衛の視線に自分の裸が晒されていると思うと、それだけでじわじわと体が疼いた。
「かわいいし......めちゃくちゃ美味しそうだ」
「あっ......」
熱い吐息を零して、近衛がチュッと光琉の突起に口付けた。軽く触れただけなのに、くすぐったいような痺れるような快感に襲われて甘い声が漏れた。
(え? 俺男なのに......! こんなところも気持ちいいの?)
さっき指先が触れた時も反応してしまったし。自分の反応に戸惑っていると、近衛が嬉しそうに微笑んだ。
「ここ......好きか?」
言うなり、近衛が光琉の突起をぺろりと舐め上げた。
「っ......! んっ、やぁ......」
そのまま口に含まれチュウと吸われる。舌先が輪郭をなぞり、真ん中の尖りをくすぐるように舐めた。
「あぁっんっん......」
舌が突起に触れるたび、甘い快感が湧き上がって、光琉は体を身じろがせた。
「こっちも食べないと、な......」
「んんっ! せんぱ、いっ......」
もう片方にも唇を寄せられる。ちゅっちゅと啄まれ、甘く歯を立てられた。
強い刺激に体が跳ねる。初めて感じる感覚にどう反応していいか分からず光琉は戸惑う。ふるふると震えながら、手を口に当てて堪えていると、光琉の様子に気付いた近衛が手が伸ばす。その手が優しく頬を包んで、親指が優しく肌を撫でた。
(あ......)
優しく触れられるだけで、ふにゃと思考が解けて安心が広がっていく。
その瞬間、慣れない初めての快感も感覚も、何かもが、近衛が与えてくれているのだということを自覚して、それなら戸惑う必要なんかないと思った。
撫でられるたびに力が抜けていく光琉に微笑んで、近衛は胸に与える刺激を強くした。
そっと近衛の手が光琉の下半身に触れる。そこは近衛の愛撫に反応して、すでに固くなっていた。
「んんっ......」
するりと形を掌で撫でられ、恥ずかしさに光琉は身をよじらせた。
「大丈夫......俺も」
「あ......」
そう言って光琉のそこに近衛が体を重ねる。重ねられた近衛の下半身は、光琉と同じ、いやそれ以上に固くなっていた。触れた熱い近衛のモノに、カァと頬が赤くなる。だけど近衛も一緒だと知れて、とても嬉しくなった。
「近衛先輩も反応してくれてうれしい......」
「当たり前だろ! その、俺は......ずっと光琉とシタかったんだから」
はにかむように近衛がそう告げる。その言葉に光琉は赤くなった。見れば近衛も照れるように頬を染めている。
(なんか......可愛いな......)
今日は見たことがない近衛の表情を、いっぱい見ている気がする。それが嬉しくて光琉の顔が綻んだ。
「ひゃぁ......!」
だけど、体を下にずらした近衛に、下腹に噛みつかれて大きな声を零してしまう。
「っ......ん、あ、んぅ......」
ちゅっちゅと音を立ててキスをされる。敏感な場所に近い場所に刺激を与えられ光琉は体を震えさせた。
「ふふ、いい声。もっと光琉の可愛い声聞きたい」
顔を上げて近衛が光琉を見つめる。欲情に瞳を濡らし誘うようにそう囁く。その近衛はとてもかっこよくて。
(可愛いくせにかっこいいなんてずるい......!)
どんな近衛も素敵で、光琉は胸を高鳴らせることしかできない。胸を高鳴らせている間に、光琉のベルトを解いた近衛は下着ごとズボンを脱がせた。
すっかり立ち上がった光琉のペニスがプルンと顔を覗かせた。
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