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「先輩に......獣医と医者を目指す決意をさせた......大切な人がいるって聞いて」
「ああ......それがどうかしたか?」
近衛が光琉を覗き込む。瞳を潤ませたままの光琉の背中を、近衛が子供をあやすようにトントンと撫でた。
「そんな大事な人がいるって知って......驚いて............」
「......大事......そりゃあいつは家族みたいなもんだし」
家族、その言葉にズキッと心が痛む。
(家族って......そんな風に思うほどの関係だったんだ......)
愛情深い近衛のことだ、もしかして将来はその人と結婚を考えたりしていたのだろうか。そう考えまた胸が痛み出して、近衛に強くしがみつくと、近衛がチュッと優しく光琉の頭に口付けた。
「その人に俺が似てるって言われて......俺......おれっ......それで近衛先輩が俺に優しくしてくれてるのかなって......」
「えっ......」
「俺に優しくしてくれるのも甘やかしてくれるのも............愛しいって目で見てくれるものっ! 全部......全部! その人に似てるからだって......思って」
ここ一週間の苦しさが蘇って光琉はしゃくりあげる。堰を切ったように不安と堪えていた気持ちが溢れ、涙になって次から次に零れ落ちる。
「俺はっ......その人の代わりなんじゃないかって............」
「光琉......!」
言った瞬間近衛に、頬を包まれる。涙と不安定な気持ちでぐちゃぐちゃな顔を見られたくなくて、フルフルと頭を振ると、両手で頬を包まれ上を向かされた。視線の先でジッと近衛が光琉を見つめる。
「んなわけないだろ!」
逸らすことなく真っ直ぐに向けられる近衛の瞳。少し怒ったように、近衛は声を荒げた。
「代わりだなんて、そんなこと思ったことない! 考えたこともない! まめと似てるって言ったのは、小さくて可愛いとこが似てるってだけで。まめに向ける愛情と、光琉に向ける愛情は全然違う!」
真剣に強い口調で近衛が答える。光琉を見つめはっきりと近衛がそう告げる。
(ほんとに......?)
浮かんだ疑問は一瞬で消える。近衛がそんな嘘をつく人じゃないことは光琉が一番分かっている。
(よかった......近衛先輩......!)
光琉はホッと息を吐く。じわじわと体に安心が広がっていって、強張った心の氷が近衛の温かさで解けていくのを感じた。
(それにしても......まめって、なんか古風な名前の人だな......)
あだ名かも知れない。近衛のネーミングセンスを考えたら、その人の好物が豆だということも考えられる。
そう考え、どんな人なんだろうと、また光琉の胸にモヤモヤとした気持ちが沸き上がった。
(バカ......! 俺と出会う前の話だろ! そんなの仕方ないじゃないか!)
浮かんだモヤモヤを光琉は必死で消そうとした。すると強い力で近衛に肩を掴まれた。
「まめのことは好きだ! 今でもずっと俺の心にいる......あいつとは物心着いた頃から一緒だったから」
(そんな時から一緒だったんだ......)
真剣な近衛の言葉に、光琉は顔を俯かせた。やっぱり光琉ではその人に勝てないのだろうか、胸がズキズキと痛み出す。俯いた光琉に、近衛がグッと顔を近づける。
「まめは俺の家族で親友で......そしてとても大事なペットだったから......」
(そうなんだ......そんなに大事な............って......え?)
思わず顔を上げる。近衛は真っ直ぐに真摯な瞳で光琉を見つめた。
「だからって光琉と比べたことなんてない! 俺は光琉が誰よりも......」
「ちょ、ちょっと待って!」
慌てて近衛の言葉を遮る。
「なんだよ」
光琉への熱い想いを告げようとしたのを止められ、近衛が拗ねたような声を出す。
「え......?」
「ん?」
首を傾げた光琉に、近衛も同じように首を傾げる。
「先輩......まめの写真見せてもらってもいい?」
「ああ......見るか?」
光琉の言葉に近衛はデレッと顔をにやけさせた。いそいそと白衣のポケットからスマホを取り出す。光琉はそんな近衛の動作をドキドキしながら見つめた。
「ほら」
片腕に光琉を抱きしめ、開いた画面を近衛が差し出す。飛び出しそうに鳴り響く心臓を抑えながら、光琉は意を決して画面を覗き込んだ。
そこには。
とても可愛らしくて小さくてふっわふわの――豆柴がいた。
「かっかわいいぃぃ――――――!」
あまりの愛らしさに光琉の口から大きな声が出る。
「んふふ~そうだろ~~」
その反応に近衛は満足そうにうんうんと頷く。
(え......ちょっと待って? じゃあ俺ずっと、この可愛い豆柴にヤキモチ焼いてたってこと......)
そう思って一気に恥ずかしさがこみ上げる。すると写真を見る光琉に近衛が頬を寄せた。
「なー光琉にそっくりで可愛いだろ」
近衛が光琉を見て瞳を惚けさせた。間近で切れ長の綺麗な瞳が細められる。あまりに愛しさに満ちたその瞳に体が甘く弛緩した。
その言葉を聞いて思い出す。
『あいつさ、光琉にそっくりなんだ』
そういえば近衛はそう言っていた。光琉は近衛の大事な人(今となっては大事な愛犬だが)に、自分が似ていると思っていたが。
(近衛先輩は最初から、まめが俺に似てるって言ってた......)
初めから、光琉が『あいつ』に似ているのではなくて、『あいつ』が光琉に似ていると近衛は口にしていた。
それに気付いた瞬間、光琉の中のすべての不安とモヤモヤが跡形もなく消えていった。
「このえせんぱぁいぃ......!」
「おっと」
光琉は飛びつくように近衛に抱きついた。勢いよく抱きついた光琉を近衛がやすやすと受け止める。
「うぁぁぁん......会いたかったよぉぉ............!」
一週間ずっと近衛に会いたかった。その我慢の線がぷつりと切れ、光琉は近衛に抱きついてわんわんと泣き出した。
「ん......俺も」
そんな光琉を愛し気に抱きしめ、近衛がチュッチュッとその頭に額に口付ける。そして近衛の手がそっと頬に触れた。誘われるまま光琉が上を向くと、優しく頬に口付けられた。
「............」
至近距離に近衛の顔がある。長い睫に縁取られた綺麗な瞳。野性的で男らしい視線に魅了され、動けなくなる。近づいてくるその瞳に、光琉はそっと目を閉じた。
二人の唇が重なる。優しくて温かい感触。
(あ......近衛先輩はこんなところもあたたかいんだ......)
安心する温度に、気持ちも体もとろんと惚けていく。光琉の唇を啄んで、そっと近衛が離れていった。
「んっ......せんぱい......」
もっとして欲しくて、無意識に近衛の唇を追いかける。そんな光琉に近衛が息を飲んで、あっという間にまた近衛に口付けられた。さっきとは違い深く唇を重ねられる。
「光琉」
熱い吐息とともに名前を囁かれ、唇をぺろりと舐められた。促されるまま、光琉はそっと口を開ける。その間から熱い舌が差し込まれ絡められる。
「んぅ......ふ、ぁ......」
くすぐるように舌を重ねられて舐められる。とろりとした感触が気持ちよくて頭がポーッとしてくる。
「んっ、んっ――」
最後に強く吸い上げてから、近衛はキスを解いていった。
「あ......」
すっかり力が抜けた光琉を近衛が支えてくれる。
「可愛いな......光琉」
「先輩......」
キスの余韻で潤んだ瞳の光琉に、近衛は瞳を細めさせた。
(キスってこんなに気持ちいいんだ......)
光琉のファーストキス。初めてのそれはとても優しくて、気持ちよくて、そしてとても幸せだった。
「光琉......」
甘く自分を呼ぶ声に、うっとりと光琉は近衛を見上げる。
「好きだ」
その言葉に、時が止まったかと思った。
目の前で近衛が笑っている。見たことがないぐらい幸せそうな顔で。
「光琉が、大好きだ」
愛しそうに光琉を見つめる瞳が、幸せに満ちている。この幸せは、光琉が近衛に与えているのだ、そうその瞳が告げていた。それが嬉しくて、信じられないぐらいに全身が歓喜に震えた。
「愛してる......」
「っ......ぅ......このえ...せん、ぱいっ......!」
胸がいっぱいで声が詰まる。先程とは違う、嬉しさと幸せな涙が光琉の目から溢れ出した。
「俺さ、自分でも自覚してるんだけど、好きになったらずっと好きだし。四六時中一緒にいたいし、ずっとめちゃくちゃに可愛がりたい」
近衛が光琉に顔を寄せる。
「そんな愛が重い自覚がある俺だけど、一生側にいてくれるか?」
その言葉に、光琉は瞳を瞬かせる。だけど次の瞬間弾けるような笑顔になった。
(もお......こんなのプロポーズだ......)
さすが自覚があるだけあって、初めからプロポーズのような愛の告白。だけどそれが死ぬほど嬉しいんだから、きっと光琉も近衛と同じぐらい愛が重い。
「俺も好き、大好き! 愛してる!」
そう叫ぶと光琉は思いっきり近衛に抱きついた。そんな光琉を近衛が抱きしめ返す。
幸せそうに抱きしめ合う二人を祝福するように、動物たちがモーモー、わんわん、コケコッコーと盛大に鳴き声を上げていた。
「それじゃ、よっと」
「わっ......」
近衛に抱き上げられ光琉は驚きの声を上げる。軽々と光琉を横抱きにして、近衛が光琉を見つめる。
「俺の愛を受け止めてくれたってことは、これからいっぱい光琉のこと可愛がらせてくれるんだろ?」
「え?」
近衛がそっと耳元に口を寄せた。
「だって光琉はもっともっと俺に触って欲しいんだもんな」
「あ......先輩!」
溶けるような甘い声でそう言って、吐息ごと言葉を注ぎ込まれる。ゾクッと背中に痺れが走って、光琉は咎めるような声を出した。
「ひかる」
だけど、一気に雄の雰囲気を纏い、熱く見つめる近衛の視線にさらされて頭が惚けていく。
光琉はうんと頷くと、自分から近衛の首に腕をまわして抱きついた。
「ああ......それがどうかしたか?」
近衛が光琉を覗き込む。瞳を潤ませたままの光琉の背中を、近衛が子供をあやすようにトントンと撫でた。
「そんな大事な人がいるって知って......驚いて............」
「......大事......そりゃあいつは家族みたいなもんだし」
家族、その言葉にズキッと心が痛む。
(家族って......そんな風に思うほどの関係だったんだ......)
愛情深い近衛のことだ、もしかして将来はその人と結婚を考えたりしていたのだろうか。そう考えまた胸が痛み出して、近衛に強くしがみつくと、近衛がチュッと優しく光琉の頭に口付けた。
「その人に俺が似てるって言われて......俺......おれっ......それで近衛先輩が俺に優しくしてくれてるのかなって......」
「えっ......」
「俺に優しくしてくれるのも甘やかしてくれるのも............愛しいって目で見てくれるものっ! 全部......全部! その人に似てるからだって......思って」
ここ一週間の苦しさが蘇って光琉はしゃくりあげる。堰を切ったように不安と堪えていた気持ちが溢れ、涙になって次から次に零れ落ちる。
「俺はっ......その人の代わりなんじゃないかって............」
「光琉......!」
言った瞬間近衛に、頬を包まれる。涙と不安定な気持ちでぐちゃぐちゃな顔を見られたくなくて、フルフルと頭を振ると、両手で頬を包まれ上を向かされた。視線の先でジッと近衛が光琉を見つめる。
「んなわけないだろ!」
逸らすことなく真っ直ぐに向けられる近衛の瞳。少し怒ったように、近衛は声を荒げた。
「代わりだなんて、そんなこと思ったことない! 考えたこともない! まめと似てるって言ったのは、小さくて可愛いとこが似てるってだけで。まめに向ける愛情と、光琉に向ける愛情は全然違う!」
真剣に強い口調で近衛が答える。光琉を見つめはっきりと近衛がそう告げる。
(ほんとに......?)
浮かんだ疑問は一瞬で消える。近衛がそんな嘘をつく人じゃないことは光琉が一番分かっている。
(よかった......近衛先輩......!)
光琉はホッと息を吐く。じわじわと体に安心が広がっていって、強張った心の氷が近衛の温かさで解けていくのを感じた。
(それにしても......まめって、なんか古風な名前の人だな......)
あだ名かも知れない。近衛のネーミングセンスを考えたら、その人の好物が豆だということも考えられる。
そう考え、どんな人なんだろうと、また光琉の胸にモヤモヤとした気持ちが沸き上がった。
(バカ......! 俺と出会う前の話だろ! そんなの仕方ないじゃないか!)
浮かんだモヤモヤを光琉は必死で消そうとした。すると強い力で近衛に肩を掴まれた。
「まめのことは好きだ! 今でもずっと俺の心にいる......あいつとは物心着いた頃から一緒だったから」
(そんな時から一緒だったんだ......)
真剣な近衛の言葉に、光琉は顔を俯かせた。やっぱり光琉ではその人に勝てないのだろうか、胸がズキズキと痛み出す。俯いた光琉に、近衛がグッと顔を近づける。
「まめは俺の家族で親友で......そしてとても大事なペットだったから......」
(そうなんだ......そんなに大事な............って......え?)
思わず顔を上げる。近衛は真っ直ぐに真摯な瞳で光琉を見つめた。
「だからって光琉と比べたことなんてない! 俺は光琉が誰よりも......」
「ちょ、ちょっと待って!」
慌てて近衛の言葉を遮る。
「なんだよ」
光琉への熱い想いを告げようとしたのを止められ、近衛が拗ねたような声を出す。
「え......?」
「ん?」
首を傾げた光琉に、近衛も同じように首を傾げる。
「先輩......まめの写真見せてもらってもいい?」
「ああ......見るか?」
光琉の言葉に近衛はデレッと顔をにやけさせた。いそいそと白衣のポケットからスマホを取り出す。光琉はそんな近衛の動作をドキドキしながら見つめた。
「ほら」
片腕に光琉を抱きしめ、開いた画面を近衛が差し出す。飛び出しそうに鳴り響く心臓を抑えながら、光琉は意を決して画面を覗き込んだ。
そこには。
とても可愛らしくて小さくてふっわふわの――豆柴がいた。
「かっかわいいぃぃ――――――!」
あまりの愛らしさに光琉の口から大きな声が出る。
「んふふ~そうだろ~~」
その反応に近衛は満足そうにうんうんと頷く。
(え......ちょっと待って? じゃあ俺ずっと、この可愛い豆柴にヤキモチ焼いてたってこと......)
そう思って一気に恥ずかしさがこみ上げる。すると写真を見る光琉に近衛が頬を寄せた。
「なー光琉にそっくりで可愛いだろ」
近衛が光琉を見て瞳を惚けさせた。間近で切れ長の綺麗な瞳が細められる。あまりに愛しさに満ちたその瞳に体が甘く弛緩した。
その言葉を聞いて思い出す。
『あいつさ、光琉にそっくりなんだ』
そういえば近衛はそう言っていた。光琉は近衛の大事な人(今となっては大事な愛犬だが)に、自分が似ていると思っていたが。
(近衛先輩は最初から、まめが俺に似てるって言ってた......)
初めから、光琉が『あいつ』に似ているのではなくて、『あいつ』が光琉に似ていると近衛は口にしていた。
それに気付いた瞬間、光琉の中のすべての不安とモヤモヤが跡形もなく消えていった。
「このえせんぱぁいぃ......!」
「おっと」
光琉は飛びつくように近衛に抱きついた。勢いよく抱きついた光琉を近衛がやすやすと受け止める。
「うぁぁぁん......会いたかったよぉぉ............!」
一週間ずっと近衛に会いたかった。その我慢の線がぷつりと切れ、光琉は近衛に抱きついてわんわんと泣き出した。
「ん......俺も」
そんな光琉を愛し気に抱きしめ、近衛がチュッチュッとその頭に額に口付ける。そして近衛の手がそっと頬に触れた。誘われるまま光琉が上を向くと、優しく頬に口付けられた。
「............」
至近距離に近衛の顔がある。長い睫に縁取られた綺麗な瞳。野性的で男らしい視線に魅了され、動けなくなる。近づいてくるその瞳に、光琉はそっと目を閉じた。
二人の唇が重なる。優しくて温かい感触。
(あ......近衛先輩はこんなところもあたたかいんだ......)
安心する温度に、気持ちも体もとろんと惚けていく。光琉の唇を啄んで、そっと近衛が離れていった。
「んっ......せんぱい......」
もっとして欲しくて、無意識に近衛の唇を追いかける。そんな光琉に近衛が息を飲んで、あっという間にまた近衛に口付けられた。さっきとは違い深く唇を重ねられる。
「光琉」
熱い吐息とともに名前を囁かれ、唇をぺろりと舐められた。促されるまま、光琉はそっと口を開ける。その間から熱い舌が差し込まれ絡められる。
「んぅ......ふ、ぁ......」
くすぐるように舌を重ねられて舐められる。とろりとした感触が気持ちよくて頭がポーッとしてくる。
「んっ、んっ――」
最後に強く吸い上げてから、近衛はキスを解いていった。
「あ......」
すっかり力が抜けた光琉を近衛が支えてくれる。
「可愛いな......光琉」
「先輩......」
キスの余韻で潤んだ瞳の光琉に、近衛は瞳を細めさせた。
(キスってこんなに気持ちいいんだ......)
光琉のファーストキス。初めてのそれはとても優しくて、気持ちよくて、そしてとても幸せだった。
「光琉......」
甘く自分を呼ぶ声に、うっとりと光琉は近衛を見上げる。
「好きだ」
その言葉に、時が止まったかと思った。
目の前で近衛が笑っている。見たことがないぐらい幸せそうな顔で。
「光琉が、大好きだ」
愛しそうに光琉を見つめる瞳が、幸せに満ちている。この幸せは、光琉が近衛に与えているのだ、そうその瞳が告げていた。それが嬉しくて、信じられないぐらいに全身が歓喜に震えた。
「愛してる......」
「っ......ぅ......このえ...せん、ぱいっ......!」
胸がいっぱいで声が詰まる。先程とは違う、嬉しさと幸せな涙が光琉の目から溢れ出した。
「俺さ、自分でも自覚してるんだけど、好きになったらずっと好きだし。四六時中一緒にいたいし、ずっとめちゃくちゃに可愛がりたい」
近衛が光琉に顔を寄せる。
「そんな愛が重い自覚がある俺だけど、一生側にいてくれるか?」
その言葉に、光琉は瞳を瞬かせる。だけど次の瞬間弾けるような笑顔になった。
(もお......こんなのプロポーズだ......)
さすが自覚があるだけあって、初めからプロポーズのような愛の告白。だけどそれが死ぬほど嬉しいんだから、きっと光琉も近衛と同じぐらい愛が重い。
「俺も好き、大好き! 愛してる!」
そう叫ぶと光琉は思いっきり近衛に抱きついた。そんな光琉を近衛が抱きしめ返す。
幸せそうに抱きしめ合う二人を祝福するように、動物たちがモーモー、わんわん、コケコッコーと盛大に鳴き声を上げていた。
「それじゃ、よっと」
「わっ......」
近衛に抱き上げられ光琉は驚きの声を上げる。軽々と光琉を横抱きにして、近衛が光琉を見つめる。
「俺の愛を受け止めてくれたってことは、これからいっぱい光琉のこと可愛がらせてくれるんだろ?」
「え?」
近衛がそっと耳元に口を寄せた。
「だって光琉はもっともっと俺に触って欲しいんだもんな」
「あ......先輩!」
溶けるような甘い声でそう言って、吐息ごと言葉を注ぎ込まれる。ゾクッと背中に痺れが走って、光琉は咎めるような声を出した。
「ひかる」
だけど、一気に雄の雰囲気を纏い、熱く見つめる近衛の視線にさらされて頭が惚けていく。
光琉はうんと頷くと、自分から近衛の首に腕をまわして抱きついた。
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