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逃げ惑う心に張り付くおまじない
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...もう大丈夫だよ、ね?
私の住んでる町は、最近急におかしくなった。消防署とか警察が働かなくなって、犯罪がめっちゃ増えた。
今もそうだ。こんな世の中でも学校にいかなきゃだめで行こうとした通学路、知らんおっさんに絡まれてぶん殴られた。
...それだけで済んで良かったのかもしれない、だってあるクラスメイトの家は燃えてみんな死んだらしいし。
ふらふらってなりながら学校にゆったりと向かう。行かなくたっていいんだろうけど、家に居た方が危険らしいから。強盗殺人が後を立たないって噂だし。学校は避難所になっててまだ幾分か人々の拠り所になってるんだろう。
学校に着くと同時に校内放送が始まった。
「えー皆さん、落ち着いて聞いてください。たった今国からこの町が立ち入り禁止エリアになった為、隣町の小学校に避難する様にと司令が入りました。家に荷物は取りに帰らないでください、また病院や消防署、警察署の近くには立ち寄らないでください。繰り返します。たった今...」
ざわざわと困惑する周囲と私。誰かが学校の外に出たと同時に一気にみんな校門に向かってきた。
私も逃げなきゃっと思ったが、家に色々大事な物がある事に気がついた。それにこれから避難民として過ごすのに、スマホの充電器とか少しでも食料持ってった方いいんじゃないかな...
家に帰るなと放送にあったけど、これからを考えるなら少し位いいよね...?家と学校も近いし、何より隣町にも一瞬で着く距離だ。
私は全速力で家に向かって走った。
ただいまーと言い急いで家の鍵を開けて自分の部屋に向かう。...誰もいないんだけどね。
持っていくものを選んでいくうちにどんどん数が増えていく、この位でいいかなと思った時にはバッグがずっしりと重くなっていた。
家を出ようとした時、仏壇にある母の写真と目が合った。写真も一緒に持っていこうと手に取る。
...懐かしい写真だ。母がいなくなってから数年しか経ってないのに、私は子供から大人になりかけている。感傷に浸りつつも早く行かなきゃと玄関に向かった。
充電器は持ったし、家にあったカップ麺も缶詰もお菓子も持ったし、あとお母さんがくれた木彫りのストラップだって持った。これで全部持ったはず。
枇杷の木で作られてるらしいストラップ、おまじないだよとお母さんが私に残してったやつだ。...これをくれた翌日に、お母さんは行方不明になった。
...なんでこんな事思い出してんだろう、急がないとダメなのに。
行ってきますと鍵を閉めると
「いってらっしゃい」
と、ドアの向こうから、すぐ近くから、声が聞こえた。
誰もいないのに、誰もいなかったのに、それに...
「...お母さん、?」
怖くなって急いで逃げる。...この町がおかしくなったのは最近からなのだろうか、今まで日常を過ごせていたのは、嫌なものから目を背けていただけで本当は...
走って、転んで、後ろを振り向く。何もいない。でも怖い。
息を切らしながら隣町に向かう、すると人がちらほらと見えてきた。おそらく私と目的は一緒だろう。
1人じゃないから大丈夫、そう思えてきて私は段々と安心感を取り戻してきた。
「...っ...痛...」
手を見るとさっき転んだ時に擦りむいてしまっていたのか、血が出ていた。
...きっと治療もどこかでしてもらえるだろう。体の節々の痛みを感じながら私は隣町に入った。
私の住んでる町は、最近急におかしくなった。消防署とか警察が働かなくなって、犯罪がめっちゃ増えた。
今もそうだ。こんな世の中でも学校にいかなきゃだめで行こうとした通学路、知らんおっさんに絡まれてぶん殴られた。
...それだけで済んで良かったのかもしれない、だってあるクラスメイトの家は燃えてみんな死んだらしいし。
ふらふらってなりながら学校にゆったりと向かう。行かなくたっていいんだろうけど、家に居た方が危険らしいから。強盗殺人が後を立たないって噂だし。学校は避難所になっててまだ幾分か人々の拠り所になってるんだろう。
学校に着くと同時に校内放送が始まった。
「えー皆さん、落ち着いて聞いてください。たった今国からこの町が立ち入り禁止エリアになった為、隣町の小学校に避難する様にと司令が入りました。家に荷物は取りに帰らないでください、また病院や消防署、警察署の近くには立ち寄らないでください。繰り返します。たった今...」
ざわざわと困惑する周囲と私。誰かが学校の外に出たと同時に一気にみんな校門に向かってきた。
私も逃げなきゃっと思ったが、家に色々大事な物がある事に気がついた。それにこれから避難民として過ごすのに、スマホの充電器とか少しでも食料持ってった方いいんじゃないかな...
家に帰るなと放送にあったけど、これからを考えるなら少し位いいよね...?家と学校も近いし、何より隣町にも一瞬で着く距離だ。
私は全速力で家に向かって走った。
ただいまーと言い急いで家の鍵を開けて自分の部屋に向かう。...誰もいないんだけどね。
持っていくものを選んでいくうちにどんどん数が増えていく、この位でいいかなと思った時にはバッグがずっしりと重くなっていた。
家を出ようとした時、仏壇にある母の写真と目が合った。写真も一緒に持っていこうと手に取る。
...懐かしい写真だ。母がいなくなってから数年しか経ってないのに、私は子供から大人になりかけている。感傷に浸りつつも早く行かなきゃと玄関に向かった。
充電器は持ったし、家にあったカップ麺も缶詰もお菓子も持ったし、あとお母さんがくれた木彫りのストラップだって持った。これで全部持ったはず。
枇杷の木で作られてるらしいストラップ、おまじないだよとお母さんが私に残してったやつだ。...これをくれた翌日に、お母さんは行方不明になった。
...なんでこんな事思い出してんだろう、急がないとダメなのに。
行ってきますと鍵を閉めると
「いってらっしゃい」
と、ドアの向こうから、すぐ近くから、声が聞こえた。
誰もいないのに、誰もいなかったのに、それに...
「...お母さん、?」
怖くなって急いで逃げる。...この町がおかしくなったのは最近からなのだろうか、今まで日常を過ごせていたのは、嫌なものから目を背けていただけで本当は...
走って、転んで、後ろを振り向く。何もいない。でも怖い。
息を切らしながら隣町に向かう、すると人がちらほらと見えてきた。おそらく私と目的は一緒だろう。
1人じゃないから大丈夫、そう思えてきて私は段々と安心感を取り戻してきた。
「...っ...痛...」
手を見るとさっき転んだ時に擦りむいてしまっていたのか、血が出ていた。
...きっと治療もどこかでしてもらえるだろう。体の節々の痛みを感じながら私は隣町に入った。
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