ごりごり

みかんと納豆と食パンの牛

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子供達と警察官

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私の未来の為に...ごめんなさい

私は、13歳の時に妊娠した。産みたくなかった、だって彼を縛ってしまうから。私は震えながら、家にあった漂白剤を毎日飲んだ。

いつの間にか赤ちゃんはいなかった。

「...っ...はぁっはぁ......また同じ夢...」

何回も何回も見てしまう昔にやった過ち。少し気分を変えようと、私は水をコップに注いで飲んだ。

一気に飲んで

「??!!げばっ!!...がはっ!...げほっごほっ......苦い...」

夢のせいなのだろうか?口の中に広がる昔飲んでいた漂白剤の味に嫌気をさしながら、私はヨーグルトを手にとった。

1口掬う、口に入れる。少しづつ息を整えながら食べ進めていく。
段々と落ち着いてきた頃に、上司から連絡が来た。

久留内くるない君、...少し疲れているようだね、待機命令が我々に下された。ゆっくり家で休んでいてくれ。」

「...消防士連続不明死と関係があるのですか」

そういった途端プツっと切られてしまった、恐らく図星なんだろう。



私は安野家で起こった殺人事件への捜査に関わった警察官の1人だ。
縁起が悪いとかぶつくさ言う同僚を連れて現場に向かう。そこにあったのは死体が3つと先に来ていた状況整理班によって敷かれた色々な線だった。

黙礼を亡骸にしてから所々焦げている家に入る。中は綺麗だったが玄関近くに血の跡がびっしゃりとついており、そこには1つ目の死体があったであろう白線が敷かれていた。
また家は所々歪んでおり、元を辿ると2つ目の死体があったであろう白線に繋がった。

リビングと思われる所には、火事の火元でだったのか真っ黒に焼け爛れ焦げている床と白線。恐らく3つ目の死体があったのだろう。

そして目を引くのがダイニングテーブルに付着している血飛沫と、そこに書かれて...いや掘られている?枇杷びわの木とそこに群がる人間の絵がとても...

「気味が悪いな」

隣で観察していた同僚が顔を顰めて言い放った。

やめなよと言うがこんなとこいたくねーと乱雑に調査ノートを書いて、同僚はじゃっまたなと署に帰ってしまった。

置いてかないでよと思いながら私も急いで、でも丁寧に報告書を書いて家を後にする。

それで私達が行う捜査は終わった...はずだった。

「今日も常内とこない休みかよ…あいつそろそろ減給した方いいんじゃないですかね」

私と一緒に現場検証していた同僚が、2日連続で無断欠勤していた。...普段ならサボってやがんなと言うとこだが、嫌な予感がする。

「俺ちょっと家まで見に行ってきます。」

そう言って真面目な同僚は出ていった、それから二度と帰ってこなかった。

流石におかしくないかと3人目が行こうとした時、消防士が何人も連続で怪死している、そのせいで消防署の至る機能が停止していると連絡が入った。

この地区では持ちつ持たれつの関係で、人員が足りない場合は互いに派遣しあっている。助けが必要なのかと思ったが違うらしい、私達の班だけ自宅待機しろと伝えられた。



...そこから今に至る。また胃の中が気持ち悪くなるのを感じながら、私は空になり始めている冷蔵庫を見てため息をついた。

「おかーさん」

後ろから、誰かの声が聞こえた。振り向くと6歳位の子供がいる。

「なんで僕を殺したの?」

もし、あの時産んでいたら

「なんで 僕らを殺したの」

子供の後ろから、無数の赤ん坊が出てくる。はいはいしながらこっちに向かって来て、私にぶつかってきた。

...最初の赤ちゃんがいなくなった後、これで妊娠しないと思った私は、その後も漂白剤を飲んで、それで...

過ちに気がついた時にはもう遅かった。生命の尊さを知るには遅すぎた。私が犯したのはそんなどうしようもなく償えもしない大罪だ。

子供がよいしょよいしょと私の身体を引っ張っている。どこに向かうんだろうか

「えーい」

ずるずるどぼんと放り込まれたのは洗濯機の中だった。子供は漂白剤の箱ごと中に入れてスイッチを入れた。

...死ぬのが少し遅すぎたなぁ。過ちに気が付かないまま死んでいれば、もう少し楽だったのに。

じっとこちらを見てくる子供達を最後に見て、私はこぽこぽと流れ込んでいる水に身を任せた。
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