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救急隊員の憂鬱
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「続いてのニュースです、先日火災の起こった一家で三人の遺体が発見されました。その内二人はこの家の住人の安野透さん34歳と、娘の安野美咲さん16歳だとされています。
もう1人の遺体は身元不明ですが、警察は行方不明届けの出されている伊藤真由さんの可能性が高いとみて捜査を進めています。
救出された1名について、意識が回復し次第情報提供をしてもらう方針との事でした。
また今回行方が不明となっている住人の安野明美さん35歳について、警察は重要参考人としており見つけたら連絡をするよう呼びかけています。
続いてのニュースです。消防署内で」
ぷつっと俺はテレビの電源を消した。...これ以上は聞きたくない。
珍しく純粋な休暇を貰ったっていうのに外に出るのは禁止されて暇、テレビは田舎だからかどこでも同じニュースが流れている。...今は聞きたくない事ばかりだ。
俺は今ちょうどニュースで流れていた安野家に救助に向かった救急隊員の1人だ。煙の出ている家の傍らに倒れている少年を救急車に乗せて病院に送った後、すぐに家が燃えたとの報告を受け消防車を引き連れて消火に当たった。
...忙しすぎやしないかと思ったがこれが時々あるのだから救急隊員は大変だ。
消火が終わった後家の中からは、身体の中央が引き裂かれて内臓が少しはみ出ている死体と、身体が踏み潰されたように凹んでいる死体と、真っ黒に焦げている今回の発火元だと思われる死体が発見された。
そこからは警察の仕事だ、俺らはもう出番がない...と思っていた。だが
「おーい、メシ買ってきたぞ。食うだろ早く開けろよ~」
...またやってきた、外出禁止令をこいつは聞いていないらしい。開けるとまーメシなんて無いんだけどwと言いながら悪びれもせずに俺の部屋に入ってきた。
こいつは俺の同僚の夏目。いつもふざけてるような奴だがいざと言う時にはちゃんとやる漢だ。...今回は例外としてだが。
「いやー1人より2人だからな!...これであいつが来ても大丈夫だ。」
半笑いで言いながら死んだ目をする夏目に対して大変なことになったな…と思いながら俺は消防署内で起こっている異常事態を思い出していた。
「なぁ...岸谷出勤してないよな、誰かあいつの家行ってきてくれないか?」
発端は岸谷...俺らの同僚で最初に安野家に入った奴が出勤してこないという事から始まった。
岸谷の家に行くと岸谷は死んでいて、状況から不審死だとなり犯人探しが行われた。
だが岸谷の家に行った奴が取り調べを受けている途中で突如出現した拳銃によって自殺をした。
そこからそいつに関わったやつが次々と不審死を遂げ消防署は機能しなくなり、今は少しでも関わってしまった奴らを自宅待機にしている状態だ。
俺も自宅待機してその後死亡が確認された隊員がかけてきた電話に出てしまったという理由で待機組になった、夏目も待機組の1人だったのだが俺がなったと知った途端押しかけてきやがった。...こいつなりの優しさなのだろうか?
「そう言えばさ」
夏目が唐突に話しかけてきた。どうしたと聞くと、俺と隊員の会話はどんなんだったのか気になったらしい。
...あまり思い出したくない...
「もしもし!!お前内藤か、よく聞け、犯人の正体がわかった。犯人は消防隊員の怨霊だ。...馬鹿な事なんて言ってねえよ!!だって俺の目の前に先輩が...ぁぁっぁあごめんなさいごめんなさい!!俺が判断を間違えたからですごめんなさいごめんな」
ここで電話は途切れた、上司に言うと青ざめながらか細い声で俺に自宅待機を伝えた。
そこでこれは呪いのようなものなんだと悟ってしまった。そして俺に関わる人は恐らく1人残さず死ぬんだ...俺も含めて。
どこからこれが始まったのかは分からない。どうやって収まるのかも分からない。でもとりあえず分かるのは
俺は死ぬっていう事だけだ
「...なぁ夏目、お前誰だ。」
「何言ってんだよ内藤~俺は夏目だよw」
「...お前この間家に来た時、1時間毎に生存報告電話する約束してただろ。お前が帰って2回電話しただけで終わった。...お前こういう約束は気持ち悪いくらい守るじゃねえか」
そう言った途端夏目だったものはいなくなった、俺の部屋には静寂がしばらくの間訪れた。
プルルルル
突如俺の携帯に電話がかかってきた、出てみると上司が死んだという報告と俺に出勤命令が下された。いいのかと思ったが何やら事情が違うらしい。
ぐーと腹が鳴るがまぁ、署には何かしら食い物があるだろう。俺は隊服を着て外に出た。
もう1人の遺体は身元不明ですが、警察は行方不明届けの出されている伊藤真由さんの可能性が高いとみて捜査を進めています。
救出された1名について、意識が回復し次第情報提供をしてもらう方針との事でした。
また今回行方が不明となっている住人の安野明美さん35歳について、警察は重要参考人としており見つけたら連絡をするよう呼びかけています。
続いてのニュースです。消防署内で」
ぷつっと俺はテレビの電源を消した。...これ以上は聞きたくない。
珍しく純粋な休暇を貰ったっていうのに外に出るのは禁止されて暇、テレビは田舎だからかどこでも同じニュースが流れている。...今は聞きたくない事ばかりだ。
俺は今ちょうどニュースで流れていた安野家に救助に向かった救急隊員の1人だ。煙の出ている家の傍らに倒れている少年を救急車に乗せて病院に送った後、すぐに家が燃えたとの報告を受け消防車を引き連れて消火に当たった。
...忙しすぎやしないかと思ったがこれが時々あるのだから救急隊員は大変だ。
消火が終わった後家の中からは、身体の中央が引き裂かれて内臓が少しはみ出ている死体と、身体が踏み潰されたように凹んでいる死体と、真っ黒に焦げている今回の発火元だと思われる死体が発見された。
そこからは警察の仕事だ、俺らはもう出番がない...と思っていた。だが
「おーい、メシ買ってきたぞ。食うだろ早く開けろよ~」
...またやってきた、外出禁止令をこいつは聞いていないらしい。開けるとまーメシなんて無いんだけどwと言いながら悪びれもせずに俺の部屋に入ってきた。
こいつは俺の同僚の夏目。いつもふざけてるような奴だがいざと言う時にはちゃんとやる漢だ。...今回は例外としてだが。
「いやー1人より2人だからな!...これであいつが来ても大丈夫だ。」
半笑いで言いながら死んだ目をする夏目に対して大変なことになったな…と思いながら俺は消防署内で起こっている異常事態を思い出していた。
「なぁ...岸谷出勤してないよな、誰かあいつの家行ってきてくれないか?」
発端は岸谷...俺らの同僚で最初に安野家に入った奴が出勤してこないという事から始まった。
岸谷の家に行くと岸谷は死んでいて、状況から不審死だとなり犯人探しが行われた。
だが岸谷の家に行った奴が取り調べを受けている途中で突如出現した拳銃によって自殺をした。
そこからそいつに関わったやつが次々と不審死を遂げ消防署は機能しなくなり、今は少しでも関わってしまった奴らを自宅待機にしている状態だ。
俺も自宅待機してその後死亡が確認された隊員がかけてきた電話に出てしまったという理由で待機組になった、夏目も待機組の1人だったのだが俺がなったと知った途端押しかけてきやがった。...こいつなりの優しさなのだろうか?
「そう言えばさ」
夏目が唐突に話しかけてきた。どうしたと聞くと、俺と隊員の会話はどんなんだったのか気になったらしい。
...あまり思い出したくない...
「もしもし!!お前内藤か、よく聞け、犯人の正体がわかった。犯人は消防隊員の怨霊だ。...馬鹿な事なんて言ってねえよ!!だって俺の目の前に先輩が...ぁぁっぁあごめんなさいごめんなさい!!俺が判断を間違えたからですごめんなさいごめんな」
ここで電話は途切れた、上司に言うと青ざめながらか細い声で俺に自宅待機を伝えた。
そこでこれは呪いのようなものなんだと悟ってしまった。そして俺に関わる人は恐らく1人残さず死ぬんだ...俺も含めて。
どこからこれが始まったのかは分からない。どうやって収まるのかも分からない。でもとりあえず分かるのは
俺は死ぬっていう事だけだ
「...なぁ夏目、お前誰だ。」
「何言ってんだよ内藤~俺は夏目だよw」
「...お前この間家に来た時、1時間毎に生存報告電話する約束してただろ。お前が帰って2回電話しただけで終わった。...お前こういう約束は気持ち悪いくらい守るじゃねえか」
そう言った途端夏目だったものはいなくなった、俺の部屋には静寂がしばらくの間訪れた。
プルルルル
突如俺の携帯に電話がかかってきた、出てみると上司が死んだという報告と俺に出勤命令が下された。いいのかと思ったが何やら事情が違うらしい。
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