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父さんとお義父さん
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過去に起こした罪は、今でも私を苦しめる。
勇斗君から連絡が来た時に、最初は警察を呼ぼうと思っていた。でも
「父さんがもう近いんだ。」
そう勇斗君が言った瞬間、その選択肢は私の中から消えた。
突然切れてしまった電話を見つめながら、私は上司に家族が倒れたから家に帰ると言って返事も聞かず車に乗った。
職場から家はとても近く普段なら電車通勤なのだが、今日は外回りがあった為車を持ってきていた。数分でつく距離だ、勇斗君や美咲ちゃん...明美さんがそれまで無事である事を祈るしか無かった。
家についた、車を停めたと同時にドサッと何かが落ちてくる音がした。
その方を見ると、誰か倒れている。
外が暗くなる少し前の時間、夕焼けが私に倒れているのが誰なのかを伝えてくれる。
「...勇斗君!!勇斗君!!...大丈夫、救急車をすぐに呼ぶから」
「...」
勇斗君は何も言わない、まだ息はあるが気を失っているようだ。私は急いで消防署に家に強盗が入ったかもしれないと連絡をし、勇斗君の身体に上着をかけて家の中に入った。
「...明美さん...」
家に入ると知らない少女...恐らく美咲ちゃんの友達なのだろうか?腹を引き裂かれた内臓丸見えの状態で、思わず目を背けてしまう。
そのすぐ奥には美咲ちゃんがうつ伏せで倒れていて、見たら分かる位に背中が凹んでおり...生きている可能性は低いだろう。
そしてリビングに明美さんはいた。テーブルの上に倒れ込んでいて、血を流していて、背中の肉が晒されていて、抉られていて
「こんばんは。健司さんですよね。勇斗君からよく聞いています。ずっと殺してやりたいと思っていました。」
振り返るとそいつはいた。私が...いや私たちが殺したはずの
「...貴方がなんでここにいるんですか、健司さん。」
「貴方なんかを殺した罪で勇斗君を少年院に入れる訳には行きませんからね、貴方の死体が見つからないように貴方を燃やします。」
目の前にいるこいつは、昔私が健司に対して言った言葉を放っている。
「...明美さんや美咲ちゃん達や勇斗君をこんな事にしたのは貴方なんですね」
「跡形もなく燃やしてあげますから大丈夫ですよ。...でもその前に」
そう言って健司は近付いてくる。私はあの時...そうだ思い出した、健司を殴ったんだ。となると
バゴッと鈍い音をたてて何度も殴られる。よろよろと後ろに倒れ込むと、健司は私に液体をかけた。匂いでガソリンだと瞬時に理解する。
「それじゃあ燃やしますね。さようならクズ野郎」
「...待って、待ってください。もや」
健司は爽やかな笑顔でライターを灯した、視界がオレンジに染まり熱さと痛さで苦しくなる。
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙熱いぃぃぃ痛いぃぃぃあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙許さない!!!許さない許さない呪ってやる!!!お前が何回生き返ろうと殺してやる!!お前が...」
手を伸ばすがそこには何もいない。全部幻だったのか?確かにある熱と消えていく意識は現実だ。
救急車のサイレンの音が聞こえてくる。
「救急隊員でーす!どなたかご家族様はー」
そんな声を聞きながら意識を手放した。
勇斗君から連絡が来た時に、最初は警察を呼ぼうと思っていた。でも
「父さんがもう近いんだ。」
そう勇斗君が言った瞬間、その選択肢は私の中から消えた。
突然切れてしまった電話を見つめながら、私は上司に家族が倒れたから家に帰ると言って返事も聞かず車に乗った。
職場から家はとても近く普段なら電車通勤なのだが、今日は外回りがあった為車を持ってきていた。数分でつく距離だ、勇斗君や美咲ちゃん...明美さんがそれまで無事である事を祈るしか無かった。
家についた、車を停めたと同時にドサッと何かが落ちてくる音がした。
その方を見ると、誰か倒れている。
外が暗くなる少し前の時間、夕焼けが私に倒れているのが誰なのかを伝えてくれる。
「...勇斗君!!勇斗君!!...大丈夫、救急車をすぐに呼ぶから」
「...」
勇斗君は何も言わない、まだ息はあるが気を失っているようだ。私は急いで消防署に家に強盗が入ったかもしれないと連絡をし、勇斗君の身体に上着をかけて家の中に入った。
「...明美さん...」
家に入ると知らない少女...恐らく美咲ちゃんの友達なのだろうか?腹を引き裂かれた内臓丸見えの状態で、思わず目を背けてしまう。
そのすぐ奥には美咲ちゃんがうつ伏せで倒れていて、見たら分かる位に背中が凹んでおり...生きている可能性は低いだろう。
そしてリビングに明美さんはいた。テーブルの上に倒れ込んでいて、血を流していて、背中の肉が晒されていて、抉られていて
「こんばんは。健司さんですよね。勇斗君からよく聞いています。ずっと殺してやりたいと思っていました。」
振り返るとそいつはいた。私が...いや私たちが殺したはずの
「...貴方がなんでここにいるんですか、健司さん。」
「貴方なんかを殺した罪で勇斗君を少年院に入れる訳には行きませんからね、貴方の死体が見つからないように貴方を燃やします。」
目の前にいるこいつは、昔私が健司に対して言った言葉を放っている。
「...明美さんや美咲ちゃん達や勇斗君をこんな事にしたのは貴方なんですね」
「跡形もなく燃やしてあげますから大丈夫ですよ。...でもその前に」
そう言って健司は近付いてくる。私はあの時...そうだ思い出した、健司を殴ったんだ。となると
バゴッと鈍い音をたてて何度も殴られる。よろよろと後ろに倒れ込むと、健司は私に液体をかけた。匂いでガソリンだと瞬時に理解する。
「それじゃあ燃やしますね。さようならクズ野郎」
「...待って、待ってください。もや」
健司は爽やかな笑顔でライターを灯した、視界がオレンジに染まり熱さと痛さで苦しくなる。
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙熱いぃぃぃ痛いぃぃぃあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙許さない!!!許さない許さない呪ってやる!!!お前が何回生き返ろうと殺してやる!!お前が...」
手を伸ばすがそこには何もいない。全部幻だったのか?確かにある熱と消えていく意識は現実だ。
救急車のサイレンの音が聞こえてくる。
「救急隊員でーす!どなたかご家族様はー」
そんな声を聞きながら意識を手放した。
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