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お手揚げ

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僕は今から目の前にいるやつを拷問する。初めての拷問だけどどうなんだろ?すぐ吐いちゃったらつまんないなぁ。「こんにちは」って挨拶してもなーんも話してくれない。つまんないなぁ。

とりあえず油を熱する。そして小麦粉と水を合わせて液も作る、ついでに卵も割ってパン粉も用意して油の温度が適正になるまで待った。不思議そうな目で僕を見つめる拷問対象は、何が起きるのか察したみたいでどんどん顔が青ざめてく。寒いのかな?

暖かくしてあげようと油をお玉で掬ってかけてあげたら
「いぎゃぁ!!」
ってちょっと叫んでから涙目で固まってた。肩が赤くなってるしこれで暖かくなったよね!揚げ物は内部温度を常温にした方がいいらしいし、暖かくなったからそろそろ大丈夫かな?

手の枷を片手だけ外して、てんぷら液につける。手が震えてる、やっぱり寒いのかな?
油を掬ってかけようとしたら、
「やっやめて!!話すから!!」
って言ってからその子から聞き出さなきゃダメな情報言ってくれた。でも重大な事は言ってくれないし早すぎる、つまんない。それに嘘つかれてたらやだし「ほんとー?」って聞いたら
「嘘じゃないです!!ほんとです!!」
って必死に言ってくるの。でも嘘かもだし物足りないし揚げよっか。

抵抗してくるから「僕初めてだし油ぜーんぶ君に零しちゃうかも」って言ったらちょっとだけ動きが緩やかになった。
今のうちだーって思っててんぷら液をつけた手を油の中に突っ込む。
「いぎゃぁぁぁ!!いや!!痛い!!辞めてくださいほんとなんですお願いしますお願いします」

泣きながらお願いしますbotになっちゃった拷問対象を見ながらタイマー3分間セットして、その間に反対側の手の爪を剥ぐことにした。
ベリって剥がすとビクッて体が動くのは面白い。ほんとなの~とか聞きながら剥がし終わって、タイマーも鳴ったから手を揚げる。サクサクしてそうだけど美味しそうじゃない、不思議だね。

もう片方は素揚げにして色の変化を楽しもう。入れてみると爪剥いだからかそこがさらに痛いみたいで悲鳴が大きくなった。赤くなるのが面白いね。
3分待ってから揚げる。泣き疲れたみたいで終わったって思ったみたい。可哀想に。

数分間待たなきゃいけないから聞かなきゃいけないことの詳細を聞いてみる。放心状態って感じでぼーっとしてたから、「次は胸肉かな~」って言ったらぼーっとしなくなって教えてくれた。真面目だね。

嘘かわからないし二度揚げ実行ー!中まで火を通さなきゃね。
「ア゙ア゙ア゙!!」
って叫んじゃって面白いや。二度揚げはカリッとだから1分くらいですぐあげる、両手一気にやったから重かったね。

荒く息を吐いてる拷問対象を見ながら、上からの報告ないなーと思ってたらいい事思いついちゃった。「お腹すいてるでしょ?食べたら?」そう言うと
「…え?」
って目を丸くして驚いちゃってるの。だから手を口元に持ってってあげて「食べなよ」って言うと首をぶんぶん降るの。おっきいから食べれないのかなって思ってナイフ取り出して指を切って「はいどーぞ」って口に突っ込んであげた。
「いやぁぁぁ」
ってすぐ口から吐き出しちゃって、美味しくないのかもね。

そしたら上から連絡が入ってきてこの子が言った事がほんとなのと下っ端だから教えられてなかった事が分かったらしい。だから拷問は中止らしい、短かったけど…楽しかったからいいか。「よく出来ました~偉い子だね」ってその子を撫でてあげたら怖がるような顔をして僕を見上げてきた。不思議な感じ。
泣き顔可愛いししばらくはうちの事務所で預かるだろうし、また会いに来ようかな。気に入ったら飼ってもいいかも。

「また会おうね」
そう僕が言うとこの子はビクッて泣きそうになりながら動いた。面白いな~初めての拷問がこの子でよかった。回収班がおつかれ~って僕らを労ってくれる。

「いや~最初は間違って殺しちゃう子もいるんだけど、いい感じの拷問加減だったね!ただ利き手はあんまり傷付けちゃダメだよ~これからは気をつけてね!期待してるよ新人君!」

「はーい。頑張ります」
正直言って次の拷問対象なんかには興味無い。回収されてくその子に後で会いに行こうと思って、名前を聞いてみた。

れん、そう言うらしい。また会うのが楽しみだね、憐。
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