白銀の天凛

文字の大きさ
上 下
1 / 1
天凛

天凛と母

しおりを挟む
いつか...いつか絶対...天凛が...現れれるよ...だって私と...あの人との子供だもの...大丈夫...絶対に...大丈夫






僕の名前はレミエル・フォン・リリウス。

僕はアルカディア王国の王族の次男として生まれた。

僕はあらゆることに恵まれていなかった。

この世界には天凛と呼ばれる王族と貴族にしか現れない翼の様なものが存在する。これは通常5~8歳までの間に出現し、人間を逸脱するほどの力を有する。
翼のような形をした、体の一部として扱われている器官だ。

そして僕は王族でありながら未だに天凛が現れていない。現在僕は11歳。明らかに異常だ。

天凛を持たないということは貴族、王族間において人権を持たないようなものだ。

まあ、当たり前だ。
天凛を持つことで超常現象を起こす能力-人々はこれを魔法と言う-や通常の人間では成し得ない飛行能力などの恩恵がある。

そして天凛を持つ人によって、異なる翼の色と、権能を持つ。

僕の兄は所謂天才と言われる人だ。天凛が3歳で現れるだけでなく、権能がこのアルカディア王国初代勇者と同じ     《太陽》なのだ。

しかも僕の不運は天凛がないだけでは無い。

僕は【忌み子】なのだ。

母アテネ・フォン・リリウスの子供であり、表面的には国王ミダス・フォン・リリウスとの間に生まれた子供だ。
そう、表面的には・・・・・

僕は本当の父親を知らない、お母さんも教えてくれなかった。
そのせいか、容姿も明らかにおかしい。

金髪碧眼の王族に対して僕は不吉の象徴である銀髪、銀眼と赤眼のオッドアイ。
でも僕は自分の容姿が好きだ。

みんなと違うことで昔は嫌だったけれど
「自分くらいは自分の容姿を好きでありなさい。レミの綺麗なお顔が勿体ないよ。」と母に言われてから自分を特別視できるようになった

これらの悪条件が揃っているのだから、城内にいれば使用人からさえも冷ややかな視線を向けられ、冷遇されている。

その中でも兄は酷い、皇太子としてチヤホヤされ、周りは言うことをなんでも聞く、このせいで利己的で傲慢な性格に育ってしまった。
さらに金髪碧眼で容姿が整っていてその上才能もあるのだからタチが悪い。

お母さんが死んだ今では、城内どこにいても、使用人でさえ僕に冷ややかな視線を向けてくる。
もう慣れたことだ。

僕はお母さんが大好きだった。

冷遇されているにも関わらず、常に明るくて、笑顔を絶やさない人だった。
口癖は"大丈夫"だった。

今になって考えて見れば僕を励ますと同時に自分を鼓舞していたのかもしれない。

母は1年前に思い病気で死んだ。その時思ったんだ【世の中は理不尽だ】ということに。

こんな優しくて天使のような母が病気で死ぬ。神がいるならば呪い殺したい気持ちだった。

そこからは何も考えずに生きてきた。

僕には何も無いから。唯一の家族も、才能も、話相手すら、

そして1年たった今でも、人生を消費するかのように機械的に生きてきた。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

入れ替わった恋人

廣瀬純一
ファンタジー
大学生の恋人同士の入れ替わりの話

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...