【本編完結・R18】旦那様、子作りいたしましょう~悪評高きバツイチ侯爵は仔猫系令嬢に翻弄される~

とらやよい

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【番外編】染まる※ ~エメリ視点~

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眠ってしまっていたのか。
朦朧とする意識の中、視点が定まらない。
ぼやけた視界の中でも今、自分の上に覆いかぶさっている人がジョアキンであることは直ぐにわかる。

「ああ、目が覚めたか?……ごめん、このままもう少し付き合ってくれ。まだ治まりそうにない」

パチュパチュという水音と肌がぶつかる音を耳が拾う。
あ、また意識を失っていたんだ。
その間もジョアキンの行為が止まることはない。

絶倫という言葉を知っている。
ジョアキンの症状を調べる為に図書館に通い詰めていた際に読んだ本に書かれていた。
『絶倫とは抜群に優れているさま、並外れているさまを意味する言葉であるが、とりわけ性欲、性的能力、性的な持久力がけた外れに旺盛なさま、および、そのような人』
きっとジョアキンの様な男のことだろう。

彼は一晩に最低三回は果てる。最低三回なので、それより多くなるのが通常だ。
正確には、これが多いのか少ないのか、それとも普通なのかジョアキンしか知らない私にはわからないのだけれど。意識を失っている自分にここまで容赦なく欲求をぶつけてくるのだから、きっとそうに違いない。

「目が覚めたなら、エメリにも気持ち良くなってもらわないとな」

そう言うとジョアキンは己の剛直を咥え込んだままの蜜口のすぐ上に指を当てた。
意識を失う前に散々嬲られぷっくりと膨れた蕾をクリクリと器用に指で撫で弾き摘ままれる。

喘ぎ過ぎて掠れた声が甘く響く。

「ひぃ……ぁあっ…あっあっ!」

「エメリはここが好きだなぁ。弄ってあげると中が締まる」

昼間の彼は無愛想だが貴族の紳士たる行動をとるし、その凛とした佇まいに美しい顔が人目を惹きつけて止まない。
だが、夜のジョアキンは紳士ではない。
野性味溢れる最強の捕食者だ。

私はただ最強の捕食者の前で子ウサギに過ぎない。
今日も野を追い回されジタバタと逃げ惑い力尽きたところを遂に捕らえられる。
しかも、この捕食者は最強であるが故、一気に食いつくすでもなく震え怯える子ウサギの様を楽しみながら悠々と捕食するのだ。

「あっ……そこ、もう嫌…ダメ…」

蕾はさらに赤く膨らみジンジンと痺れる。
逃れようと腰を浮かすとジョアキンは喜んでいるとでも勘違いしたのだろうか嬉しそうに目を細めた。

「嫌じゃないだろう?好きの間違いだろ」

二つの膨らみの赤く濡れて立ち上がった先端もジョアキンは見逃さない。
さっきあんなにしゃぶったくせにと思い、ゆるゆると首を振るもジョアキンは熟れた先端をまた咥えると舌先で転がし弄ぶ。

ジョアキンの濡れた髪の先が肌に触れくすぐったい。
彼の黒髪はまさに烏の濡れ羽色だ。汗で濡れた髪は艶を増し彼の美しい額に張り付いて色香を漂わせている。
震える指でジョアキンの額に張りついた髪を一房除けると、上目遣いにこちらを見ながら口に含んだ先端をジュッと強く吸いあげられる。
ピリッと甘い痛みが走りのけ反った。

「んん!…はっ…」

漸く唇が離れ解放されたかと思ったら、上体を起こしたジョアキンは鼻先が触れそうな距離で瞳の奥を見つめてくる。

翻弄されながらも彼の美しい顔に雄の欲が滲むのを見るのが好きだ。
そっと頬に触れると、それが合図になったのか呼吸を奪うように荒々しく唇を重ねてきた。
生温かい舌を絡め執拗なキスが繰り返される。

一定のリズムでゆっくりと挿入を繰り返していたのに、キスが深まるにつれ強く腰を打ち付けられ追い込まれた。

「…んっん!」

奥に与えられる強い刺激で口を塞がれたまま達してしまった。

「エメリ…またいったのか?おまえは一晩に何回いくつもりなんだ?」

揶揄い口調で言うも、彼の顔はどこか満足気だ。
その言葉そっくりそのまま返したいが、もう言葉も出ない。
荒い呼吸を繰り返すのが精一杯の自分とは対照的にジョアキンのものは質量を失わないまま、まだエメリの中に居座っている。

「ほら、まーだーだっ」

最奥に入れたまま己の先端を子宮口にトントンとぶつけてくる。

「…は、はやくいってぇ…もう、むり……」

「つれないな」

苦笑いし、先程とは対照的な優しいキスを一つ落とすと私の体をギュッと力強く抱きしめる。
そのまま腰の動きをどんどん早めていくジョアキンは何度も耳元で私の名を呼ぶのだ。

「エメリ……エメリ…エメリ…エメリエメリ」

その声は甘く、そして切ない。

私はジョアキンの背中に腕をまわし力の入らないまま抱き締め返した。
余裕をなくしたジョアキンの体は一気に熱が上がり、密着した肌はジョアキンの肌から熱を受け取りながら果てる瞬間を待つ。
奥にじわりと温かいものが広がる感覚でジョアキンが漸く果てたのだとわかった。
今夜何度目かわからない吐精を疲れ切った体で受け止め、汗でしっとりと濡れた彼の背中を撫でると、とっくに体力の限界を超えていた私はジョアキンの背中に手を置いたまま瞳を閉じた。



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