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君と過ごした最後の日
3つ目の願いを早く言え
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皇子と悪魔が出会ってから3日目の夜。皇子には時間が残されていなかった。呪いは皇子を殺そうと今も身体を蝕んでいく。悪魔はどこか寂しそうな表情でそれを見ていた。
「おい小僧。3つ目の、最後の願いはお前の呪いを消すことにしろ。」
「…。」
「小僧、あと数分でお前は死ぬ。早く呪いを消せと俺様に願え。」
「…。」
王子はまだ何も言わない。
「小僧、お前は夢がある。生きるべきだ。早く言え、死んでしまうぞ。」
「…。」
皇子は口開き、弱々しく最後の願いを笑顔で口にした。
「俺を忘れないで。」
そう言い残して皇子は死んだ。呪いは皇子を殺し、目的を終え消え去った。
悪魔は自分が存在した日から感じたことの無かった、喪失感に襲われた。
「どこまで馬鹿なのだ小僧…。願わずとも忘れられるわけが無いだろう、小僧は俺様の初めての友達なんだぞ。」
3つ目の願い叶え、ベットで横になっている皇子の頬を撫でた。
「小僧。お前はここで死ぬべきじゃない。これは俺様の願いだ。」
笑顔でそう願った悪魔は、4つ目の願いの対価として消滅した。
皇子はしばらくして目を覚まし、生き返った。王宮では皇子の呪いは消えたと大騒ぎになった。
剣と魔法の鍛錬を積み重ね、やがて彼は王となった。兵士を束ね、魔王軍を退く程の力を持ち、皆に愛された彼を皆はこう呼んだ。
「 英雄 」
と。
「おい小僧。3つ目の、最後の願いはお前の呪いを消すことにしろ。」
「…。」
「小僧、あと数分でお前は死ぬ。早く呪いを消せと俺様に願え。」
「…。」
王子はまだ何も言わない。
「小僧、お前は夢がある。生きるべきだ。早く言え、死んでしまうぞ。」
「…。」
皇子は口開き、弱々しく最後の願いを笑顔で口にした。
「俺を忘れないで。」
そう言い残して皇子は死んだ。呪いは皇子を殺し、目的を終え消え去った。
悪魔は自分が存在した日から感じたことの無かった、喪失感に襲われた。
「どこまで馬鹿なのだ小僧…。願わずとも忘れられるわけが無いだろう、小僧は俺様の初めての友達なんだぞ。」
3つ目の願い叶え、ベットで横になっている皇子の頬を撫でた。
「小僧。お前はここで死ぬべきじゃない。これは俺様の願いだ。」
笑顔でそう願った悪魔は、4つ目の願いの対価として消滅した。
皇子はしばらくして目を覚まし、生き返った。王宮では皇子の呪いは消えたと大騒ぎになった。
剣と魔法の鍛錬を積み重ね、やがて彼は王となった。兵士を束ね、魔王軍を退く程の力を持ち、皆に愛された彼を皆はこう呼んだ。
「 英雄 」
と。
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