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第三幕 覚心 Heart of Awakening
9.鬼の心
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「……う……うう……」
腹部に感じる鈍い痛みと共に目を覚ました桃姫は、黒い石造りの部屋の隅に置かれた硬い寝台の上で腹部を手で抑えながら上体を起こした。
「──ようやく目覚めたか、桃姫」
「……っ」
砂袋を叩いたような巌鬼の低い声が耳に届いて桃姫は顔を上げると、燭台のろうそくが橙色に照らす部屋の扉の前に巌鬼が仁王立ちで立っていた。
「……ここは……どこなの……」
「鬼ヶ島、鬼ノ城。キサマはもう、この部屋から出ていくことはできん……この扉は鬼の力を持つ者しか開けられんのだ」
桃姫の問いに巌鬼は背後の扉をちらりと見やってから言って返すと、鬼の黄色い目で寝台の上の桃姫を見下ろした。
「しかし、一つだけ部屋から出る方法がある……桃姫、キサマが俺と家族になることだ……」
「…………」
巌鬼の言葉を受けた桃姫は、静かにため息を吐きながら顔を伏せた。
「前にも話したな……キサマは俺と同じく、虐殺を生き残り、俺と同じ地獄を見てきた……俺とお前は、まるで兄と妹のようだと」
「…………」
かつて常陸の街道で聞いた巌鬼の言葉に対して、桃姫は冷めた表情で沈黙して返した。
「俺と同じ地獄を見たキサマとならば、真の家族になれる……心を許せる家族がいれば、俺はこれからも、生きていくことができるのだ……!」
「……可哀想な巌鬼……あなた、鬼ヶ島でずっと独りぼっちだったのね……」
巌鬼の言葉を受けて、顔を上げて巌鬼を見た桃姫は率直に思ったことを口にした。
「……ああ。そうだ、俺は哀れだ……哀れな独りぼっちの鬼の生き残りだ……!」
桃姫は"可哀想"と言われた巌鬼が激昂するだろうと思ったが、返ってきた反応は意外なものだった。
「俺を哀れだと思うなら……桃姫……! 俺と家族になれ……! 鬼ヶ島で俺と共に暮らせ……!」
巌鬼は低い声でぶっきらぼうに、しかし心からの願いとして桃姫に訴えた。
「…………」
しかし、返答せずに冷めた表情で沈黙し続ける桃姫に対して業を煮やした巌鬼はグッ──と鬼の睨みを効かせて、鬼の牙の生えた口を開いた。
「でなければ──」
「──殺すの? ……今までも、そうしてきたように」
大の大人でも裸足で逃げ出すような恐ろしい巌鬼の顔を見上げた桃姫は、冷めた表情で冷たく言い放った。
「自分が気に食わないもの……そのすべてを殺して、燃やして、破壊して……巌鬼、その先に……一体何があるの……?」
桃姫の言葉は巌鬼の"鬼の心"に遠慮なく触れる言葉であった。
しかし、巌鬼に怒る感情は湧かず、むしろ巌鬼は、桃姫になら本音を打ち明けられると思ったのであった。
「……俺は鬼だ。鬼としての生き方をしているだけだ……!」
「……そう」
「ならば桃姫……俺に、他にどんな生き方があるというのだ? 教えてくれ……俺は……俺は……! 鬼ヶ島の鬼としての生き方しか知らぬ……!」
「…………」
桃姫にとって巌鬼は父親を殺した完全なる仇敵、だが桃姫はそんな巌鬼の窮状を見て言葉が出なかった。
「……桃太郎が、赤児の俺を二度刺してくれていたら……こんなにも苦しむことはなかったろうにな……」
桃姫に背中を向けた巌鬼は悲しげにそう言ってから、黒い扉を引いて開けると、巨体を丸めて扉をくぐって部屋から出ていき、後ろ手で扉がガタン──と閉められた。
「……巌鬼」
桃姫は閉じられた黒い扉を見ながら呟くと、ふと、寝台から見える机の上に置かれた皿の上に見事な柘榴石が置かれていることに気づいた。
殺風景なこの部屋に場違いな淡い桃色の柘榴石をよく見てみようと桃姫は寝台から立ち上がろうとした。
そのとき、桃姫の裸足の足の裏にべたりと何かが付着したことに気付いた。
「……?」
桃姫はしゃがんで床についた赤黒い液体を指ですくいあげて近づけて見る。
燭台のろうそくに照らされたそれは一見して何かわからなかったが、思い返せば桃姫には見覚えがあった。
「……血」
桃姫が改めて見回した床には乾燥しかかった大きな血溜まりが広がっており、血濡れた短刀が落ちていることにも気づいた。
桃姫が呆然としているとスッ──と桃色の髪からおつるの赤いかんざしがすべり落ちて、短刀に当たってカツン──と甲高い音を立てた。
「っ……おつるちゃん……おつるちゃん、なの……?」
血溜まりの上に並ぶ、血濡れた短刀とおつるの赤いかんざし。
その光景を見た瞬間、かつて堺の都で鬼蝶に言われた"おつるは鬼になることを拒み自ら命を絶った"という言葉を桃姫は否応なしに想起し、そして涙を流しながら口を開いた。
「……おつるちゃんは、もう一人の私なんだ……おつるちゃんも、私も、この世界に絶望して、自害しようとした……でも、私の前には雉猿狗が現れた……雉猿狗が現れて、刃を止めてくれて、生きていく道が開かれた……」
桃姫は濃桃色の瞳から熱い涙を流しながら声を震わした。
「……でも、おつるちゃんの前には雉猿狗が現れなかった……ただ、深い絶望だけが眼の前を覆い尽くしていたんだ……おつるちゃんは、もう一人の、私なんだ……」
鬼ノ城の黒い部屋の中で、ポタポタ──と血溜まりの中に桃姫の熱い涙が落ち、冷たく凝固していたおつるの血をわずかばかり溶かしていった。
その頃、桃姫を部屋に置いて出ていった巌鬼は、玉座の間に戻って黒岩で造られた玉座に腰掛けた。
「……俺は、俺は何を期待している。あの小娘に」
巌鬼は桃姫と会話した際に自分が桃姫に助けを求めているかのような言動が出たことに困惑していた。
「……殺す……殺すしかない。俺は鬼だ。鬼の運命からは逃れられんのだ……」
巌鬼は黄色い鬼の目に力を込めると左右の肘置きを鬼の拳で握りしめた。
桃姫とは家族になれない、殺すしかない──と決意を固めると、不意にチリンという聞き慣れた金輪の音を耳にした巌鬼は目線を上げた。
「……そうじゃ。おぬしは鬼。天地がひっくり返ろうとも、鬼の運命からは逃れられんのよ──くかかかかかッ!!」
高笑いをする役小角が暗闇の中から黄金の錫杖を突いて姿を現し、その左右には道満と晴明、二人の陰陽師を引き連れていた。
「……クソジジイに陰陽師ども……仙台城を襲撃しに行ったのではないのか……!」
巌鬼が三人を睨みつけながら声を発すると、赤い呪符を顔につけた陰陽師、道満が口を開いた。
「それはこちらの台詞だ。悪鬼よ、お前はなぜここにいる」
「仙台城から娘をさらってきたのを見ましたよ。あれは、桃太郎の娘ですね」
緑の呪符を顔につけた陰陽師、晴明が続けて言うと、巌鬼は牙をむき出しにして吼えた。
「キサマらに何の関係があるッ!! 鬼の中に千年隠れていた外道僧どもがッ!!」
巌鬼の鬼の咆哮に道満と晴明は少しばかり怯むと、笑みを絶やさない役小角が口を開いた。
「──妻にしようと思うたのだろう?」
「……ッ」
役小角の一言に巌鬼が動揺する。
「同じ境遇の桃の娘を妻に娶って、鬼の子を成そうとしたのだろう。"家族"を作るために──温羅坊、それはぁ、無理な話じゃよ……ほんに、哀れな鬼じゃのう」
「……黙れッッ!! 黙れェッッ!!」
役小角の言葉を受けて、激昂した巌鬼は玉座から立ち上がると、役小角は深淵の宇宙を浮かべた瞳をカッ──と見開いて巌鬼に告げた。
「──温羅坊、桃太郎を鬼ヶ島に送ったのは──わしじゃよ」
腹部に感じる鈍い痛みと共に目を覚ました桃姫は、黒い石造りの部屋の隅に置かれた硬い寝台の上で腹部を手で抑えながら上体を起こした。
「──ようやく目覚めたか、桃姫」
「……っ」
砂袋を叩いたような巌鬼の低い声が耳に届いて桃姫は顔を上げると、燭台のろうそくが橙色に照らす部屋の扉の前に巌鬼が仁王立ちで立っていた。
「……ここは……どこなの……」
「鬼ヶ島、鬼ノ城。キサマはもう、この部屋から出ていくことはできん……この扉は鬼の力を持つ者しか開けられんのだ」
桃姫の問いに巌鬼は背後の扉をちらりと見やってから言って返すと、鬼の黄色い目で寝台の上の桃姫を見下ろした。
「しかし、一つだけ部屋から出る方法がある……桃姫、キサマが俺と家族になることだ……」
「…………」
巌鬼の言葉を受けた桃姫は、静かにため息を吐きながら顔を伏せた。
「前にも話したな……キサマは俺と同じく、虐殺を生き残り、俺と同じ地獄を見てきた……俺とお前は、まるで兄と妹のようだと」
「…………」
かつて常陸の街道で聞いた巌鬼の言葉に対して、桃姫は冷めた表情で沈黙して返した。
「俺と同じ地獄を見たキサマとならば、真の家族になれる……心を許せる家族がいれば、俺はこれからも、生きていくことができるのだ……!」
「……可哀想な巌鬼……あなた、鬼ヶ島でずっと独りぼっちだったのね……」
巌鬼の言葉を受けて、顔を上げて巌鬼を見た桃姫は率直に思ったことを口にした。
「……ああ。そうだ、俺は哀れだ……哀れな独りぼっちの鬼の生き残りだ……!」
桃姫は"可哀想"と言われた巌鬼が激昂するだろうと思ったが、返ってきた反応は意外なものだった。
「俺を哀れだと思うなら……桃姫……! 俺と家族になれ……! 鬼ヶ島で俺と共に暮らせ……!」
巌鬼は低い声でぶっきらぼうに、しかし心からの願いとして桃姫に訴えた。
「…………」
しかし、返答せずに冷めた表情で沈黙し続ける桃姫に対して業を煮やした巌鬼はグッ──と鬼の睨みを効かせて、鬼の牙の生えた口を開いた。
「でなければ──」
「──殺すの? ……今までも、そうしてきたように」
大の大人でも裸足で逃げ出すような恐ろしい巌鬼の顔を見上げた桃姫は、冷めた表情で冷たく言い放った。
「自分が気に食わないもの……そのすべてを殺して、燃やして、破壊して……巌鬼、その先に……一体何があるの……?」
桃姫の言葉は巌鬼の"鬼の心"に遠慮なく触れる言葉であった。
しかし、巌鬼に怒る感情は湧かず、むしろ巌鬼は、桃姫になら本音を打ち明けられると思ったのであった。
「……俺は鬼だ。鬼としての生き方をしているだけだ……!」
「……そう」
「ならば桃姫……俺に、他にどんな生き方があるというのだ? 教えてくれ……俺は……俺は……! 鬼ヶ島の鬼としての生き方しか知らぬ……!」
「…………」
桃姫にとって巌鬼は父親を殺した完全なる仇敵、だが桃姫はそんな巌鬼の窮状を見て言葉が出なかった。
「……桃太郎が、赤児の俺を二度刺してくれていたら……こんなにも苦しむことはなかったろうにな……」
桃姫に背中を向けた巌鬼は悲しげにそう言ってから、黒い扉を引いて開けると、巨体を丸めて扉をくぐって部屋から出ていき、後ろ手で扉がガタン──と閉められた。
「……巌鬼」
桃姫は閉じられた黒い扉を見ながら呟くと、ふと、寝台から見える机の上に置かれた皿の上に見事な柘榴石が置かれていることに気づいた。
殺風景なこの部屋に場違いな淡い桃色の柘榴石をよく見てみようと桃姫は寝台から立ち上がろうとした。
そのとき、桃姫の裸足の足の裏にべたりと何かが付着したことに気付いた。
「……?」
桃姫はしゃがんで床についた赤黒い液体を指ですくいあげて近づけて見る。
燭台のろうそくに照らされたそれは一見して何かわからなかったが、思い返せば桃姫には見覚えがあった。
「……血」
桃姫が改めて見回した床には乾燥しかかった大きな血溜まりが広がっており、血濡れた短刀が落ちていることにも気づいた。
桃姫が呆然としているとスッ──と桃色の髪からおつるの赤いかんざしがすべり落ちて、短刀に当たってカツン──と甲高い音を立てた。
「っ……おつるちゃん……おつるちゃん、なの……?」
血溜まりの上に並ぶ、血濡れた短刀とおつるの赤いかんざし。
その光景を見た瞬間、かつて堺の都で鬼蝶に言われた"おつるは鬼になることを拒み自ら命を絶った"という言葉を桃姫は否応なしに想起し、そして涙を流しながら口を開いた。
「……おつるちゃんは、もう一人の私なんだ……おつるちゃんも、私も、この世界に絶望して、自害しようとした……でも、私の前には雉猿狗が現れた……雉猿狗が現れて、刃を止めてくれて、生きていく道が開かれた……」
桃姫は濃桃色の瞳から熱い涙を流しながら声を震わした。
「……でも、おつるちゃんの前には雉猿狗が現れなかった……ただ、深い絶望だけが眼の前を覆い尽くしていたんだ……おつるちゃんは、もう一人の、私なんだ……」
鬼ノ城の黒い部屋の中で、ポタポタ──と血溜まりの中に桃姫の熱い涙が落ち、冷たく凝固していたおつるの血をわずかばかり溶かしていった。
その頃、桃姫を部屋に置いて出ていった巌鬼は、玉座の間に戻って黒岩で造られた玉座に腰掛けた。
「……俺は、俺は何を期待している。あの小娘に」
巌鬼は桃姫と会話した際に自分が桃姫に助けを求めているかのような言動が出たことに困惑していた。
「……殺す……殺すしかない。俺は鬼だ。鬼の運命からは逃れられんのだ……」
巌鬼は黄色い鬼の目に力を込めると左右の肘置きを鬼の拳で握りしめた。
桃姫とは家族になれない、殺すしかない──と決意を固めると、不意にチリンという聞き慣れた金輪の音を耳にした巌鬼は目線を上げた。
「……そうじゃ。おぬしは鬼。天地がひっくり返ろうとも、鬼の運命からは逃れられんのよ──くかかかかかッ!!」
高笑いをする役小角が暗闇の中から黄金の錫杖を突いて姿を現し、その左右には道満と晴明、二人の陰陽師を引き連れていた。
「……クソジジイに陰陽師ども……仙台城を襲撃しに行ったのではないのか……!」
巌鬼が三人を睨みつけながら声を発すると、赤い呪符を顔につけた陰陽師、道満が口を開いた。
「それはこちらの台詞だ。悪鬼よ、お前はなぜここにいる」
「仙台城から娘をさらってきたのを見ましたよ。あれは、桃太郎の娘ですね」
緑の呪符を顔につけた陰陽師、晴明が続けて言うと、巌鬼は牙をむき出しにして吼えた。
「キサマらに何の関係があるッ!! 鬼の中に千年隠れていた外道僧どもがッ!!」
巌鬼の鬼の咆哮に道満と晴明は少しばかり怯むと、笑みを絶やさない役小角が口を開いた。
「──妻にしようと思うたのだろう?」
「……ッ」
役小角の一言に巌鬼が動揺する。
「同じ境遇の桃の娘を妻に娶って、鬼の子を成そうとしたのだろう。"家族"を作るために──温羅坊、それはぁ、無理な話じゃよ……ほんに、哀れな鬼じゃのう」
「……黙れッッ!! 黙れェッッ!!」
役小角の言葉を受けて、激昂した巌鬼は玉座から立ち上がると、役小角は深淵の宇宙を浮かべた瞳をカッ──と見開いて巌鬼に告げた。
「──温羅坊、桃太郎を鬼ヶ島に送ったのは──わしじゃよ」
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