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三章「人類の樹」
49話
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☆
私は夢が大好きだった。
だから夢と同じ世界が見たいと願った。みんなにも夢と同じ世界を見てほしいと思った。
でもそれでは駄目だったのだ。だってその世界の中には夢はいない。
私には私の世界がある。私は私の世界の外側から私の世界を観測している。その中にこそ、私の大好きな夢が存在した。
だから私は間違った。
心を一つに、世界を一つにしてしまったら、もう誰も見ることができない。
みんなで同じ世界を見ていたら、その中には誰もいない。
世界に一人ぼっちだ。それでは寂しすぎる。
他者は必要だったのだ。
そして私はもう一つ大きな勘違いをしていた。私が人類のために作った世界は夢の世界とは少し違っていた。
確かに夢は人の喜びを自分の喜びのように感じていた。でも彼女には他人の想いはわからない。
だから夢はいつも人の気持ちを考えていた。
それに夢はいつも笑顔だったわけではない。苦悩に顔を歪めることもあれば、どうにもならない悲劇に涙を流すこともあった。
だから夢は自分の努力が報われ、誰かに笑顔を与えられたとき、あんなにも美しい笑顔を浮かべられたのだろう。
今、私の視界の中で笑顔を浮かべているシンとナリアを眺めていると、心からそう思うことができた。
私は夢が大好きだった。
だから夢と同じ世界が見たいと願った。みんなにも夢と同じ世界を見てほしいと思った。
でもそれでは駄目だったのだ。だってその世界の中には夢はいない。
私には私の世界がある。私は私の世界の外側から私の世界を観測している。その中にこそ、私の大好きな夢が存在した。
だから私は間違った。
心を一つに、世界を一つにしてしまったら、もう誰も見ることができない。
みんなで同じ世界を見ていたら、その中には誰もいない。
世界に一人ぼっちだ。それでは寂しすぎる。
他者は必要だったのだ。
そして私はもう一つ大きな勘違いをしていた。私が人類のために作った世界は夢の世界とは少し違っていた。
確かに夢は人の喜びを自分の喜びのように感じていた。でも彼女には他人の想いはわからない。
だから夢はいつも人の気持ちを考えていた。
それに夢はいつも笑顔だったわけではない。苦悩に顔を歪めることもあれば、どうにもならない悲劇に涙を流すこともあった。
だから夢は自分の努力が報われ、誰かに笑顔を与えられたとき、あんなにも美しい笑顔を浮かべられたのだろう。
今、私の視界の中で笑顔を浮かべているシンとナリアを眺めていると、心からそう思うことができた。
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