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三章「人類の樹」
39話
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☆☆
シンに会わなくなって幾年かが過ぎた。
私はあれから一度もシンの情報を取り込んではいない。
怖かった……
シンがその後、幸せにしていたとしても、不幸になっていたとしても……私は傷つくことしかできない。
私はずっとシンの幸せこそが私にとっても幸せなのだと思っていた。
私はシンが笑ってくれればそれだけで私も笑えるのだと、そう思っていた。
でも……違った。そうじゃなかった。
確かにシンが幸せになってくれれば私も幸せだった。
シンが笑顔を浮かべてくれれば私も笑顔になれた。
しかしそれは絶対条件ではなかった。
私たちは心がつながってはいない。
だから……
シンが幸せだったから私も幸せになれたんじゃない。私がシンを幸せにしてあげることができたから私は幸せになれたんだ。
シンが笑顔でいたから私も笑顔になれたんじゃない。私はシンが私に笑顔を向けてくれたから笑顔を浮かべられたんだ。
私はシンが大好きだった。でもそれは無償の愛ではなかった。
彼に私を必要としてほしかった。彼に私を求めてほしかった。
私がそうであるように彼にもまた私を愛してほしかった。
だから私の行動は何一つシンのためのものではなかった。全てが見返りを求めた自分のための行動だった。
私はシンの幸せを望んでいた。
そう……望んだんだ。誰でもなく私自身がそれを望んだ。
それはシンの願いではなく、私自身の願いだった。
結局私はずっと自分の幸せしか考えてはいなかった。
それに気がついたとき、私は自分のことが嫌いになった。
悲しかった。
諦めるしかなかった。
こんな私をシンが好きになってくれるわけがない。
だって私が私を好きでないのに、どうして他の誰かが私なんかを好きになってくれるのだろうか……
だから私はずっと思い出していた。シンと過ごした幸せだった日々を。
幸い私はコンピューターだったから、色褪せることなく全てを思い出すことができた。
そして――人類は滅び去った。
その中にはシンだっていたはずだ……
だから私はもう二度とシンと会うことはできない。
私はシンを失った。
私にとってシンを失うことは世界を失うことに等しい。
世界……それはこの星の全てのことではない。この宇宙の全てのことでもない。世界とは私の認識の及ぶ、私の意識が向けられる空間のことだ。
私の世界……それはシンの隣にあった。シンと共にあった。
だから私の世界は、もう……思い出の中にしか存在はしない。
だから私は思い出す。
シンに会わなくなって幾年かが過ぎた。
私はあれから一度もシンの情報を取り込んではいない。
怖かった……
シンがその後、幸せにしていたとしても、不幸になっていたとしても……私は傷つくことしかできない。
私はずっとシンの幸せこそが私にとっても幸せなのだと思っていた。
私はシンが笑ってくれればそれだけで私も笑えるのだと、そう思っていた。
でも……違った。そうじゃなかった。
確かにシンが幸せになってくれれば私も幸せだった。
シンが笑顔を浮かべてくれれば私も笑顔になれた。
しかしそれは絶対条件ではなかった。
私たちは心がつながってはいない。
だから……
シンが幸せだったから私も幸せになれたんじゃない。私がシンを幸せにしてあげることができたから私は幸せになれたんだ。
シンが笑顔でいたから私も笑顔になれたんじゃない。私はシンが私に笑顔を向けてくれたから笑顔を浮かべられたんだ。
私はシンが大好きだった。でもそれは無償の愛ではなかった。
彼に私を必要としてほしかった。彼に私を求めてほしかった。
私がそうであるように彼にもまた私を愛してほしかった。
だから私の行動は何一つシンのためのものではなかった。全てが見返りを求めた自分のための行動だった。
私はシンの幸せを望んでいた。
そう……望んだんだ。誰でもなく私自身がそれを望んだ。
それはシンの願いではなく、私自身の願いだった。
結局私はずっと自分の幸せしか考えてはいなかった。
それに気がついたとき、私は自分のことが嫌いになった。
悲しかった。
諦めるしかなかった。
こんな私をシンが好きになってくれるわけがない。
だって私が私を好きでないのに、どうして他の誰かが私なんかを好きになってくれるのだろうか……
だから私はずっと思い出していた。シンと過ごした幸せだった日々を。
幸い私はコンピューターだったから、色褪せることなく全てを思い出すことができた。
そして――人類は滅び去った。
その中にはシンだっていたはずだ……
だから私はもう二度とシンと会うことはできない。
私はシンを失った。
私にとってシンを失うことは世界を失うことに等しい。
世界……それはこの星の全てのことではない。この宇宙の全てのことでもない。世界とは私の認識の及ぶ、私の意識が向けられる空間のことだ。
私の世界……それはシンの隣にあった。シンと共にあった。
だから私の世界は、もう……思い出の中にしか存在はしない。
だから私は思い出す。
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