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三章「人類の樹」
38話
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☆☆☆
……失敗だった。
やっぱり迷惑だったんだろう。
僕らはただの友達だった。
それなのに……僕には今まで人間の友達なんていなかったから友情と、愛情の違いすらわからなかったんだ。
よく考えてみれば当然のことだ。
こんな欠陥品の僕を誰が愛してくれるのだろう。
ナリアの優しさに舞い上がってそんなことも忘れていた。
だから……僕は決めた。
人間になると。
幸い僕には優秀な頭脳が与えられている。
他の誰かにはできなくても僕にならできるかもしれない。
それに僕が人間になれたのなら、ナリアもまた救うことができる。
そうなれば今度こそ僕のことを好きになってくれるかもしれない。
どんな物語でも、悲劇のヒロインはそこから救い出してくれたヒーローに恋をするのがお約束だ。
悲しみにくれて、うつむいているだけじゃ何も変わらない。
ナナを失ったときとは違う。あのときはどうしようもなかった。
でも今回は……確かに僕は友達を失った。それでもナリアを失ったわけじゃない。
僕は幸せを失った。それでもナリアの幸せを失ったわけじゃない。
だから大丈夫。
今回は取り戻すことができるかもしれないんだ。
僕は前を向く。
もう僕は悲しまない。いちいち傷ついたりなんかしない。そんな暇はない。
僕は進むんだ。真っ直ぐ前に進むんだ。
もう一度、ナリアと笑い合うことのできる明日のために。
僕の望む幸せな未来のために。
……失敗だった。
やっぱり迷惑だったんだろう。
僕らはただの友達だった。
それなのに……僕には今まで人間の友達なんていなかったから友情と、愛情の違いすらわからなかったんだ。
よく考えてみれば当然のことだ。
こんな欠陥品の僕を誰が愛してくれるのだろう。
ナリアの優しさに舞い上がってそんなことも忘れていた。
だから……僕は決めた。
人間になると。
幸い僕には優秀な頭脳が与えられている。
他の誰かにはできなくても僕にならできるかもしれない。
それに僕が人間になれたのなら、ナリアもまた救うことができる。
そうなれば今度こそ僕のことを好きになってくれるかもしれない。
どんな物語でも、悲劇のヒロインはそこから救い出してくれたヒーローに恋をするのがお約束だ。
悲しみにくれて、うつむいているだけじゃ何も変わらない。
ナナを失ったときとは違う。あのときはどうしようもなかった。
でも今回は……確かに僕は友達を失った。それでもナリアを失ったわけじゃない。
僕は幸せを失った。それでもナリアの幸せを失ったわけじゃない。
だから大丈夫。
今回は取り戻すことができるかもしれないんだ。
僕は前を向く。
もう僕は悲しまない。いちいち傷ついたりなんかしない。そんな暇はない。
僕は進むんだ。真っ直ぐ前に進むんだ。
もう一度、ナリアと笑い合うことのできる明日のために。
僕の望む幸せな未来のために。
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