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エピローグ

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                 観測者 ??歳



 物語はここまでだ。

 しかし、この場を借りて私はあなたに語りかけてみたいと思う。

 私はこの世界の想像主であり、この物語の作者。そしてこの世界を読んでいるあなたこそが、観測者だ。

 この世界はハッピーエンドの物語。描かれていないということは、あなたの望むように出来る余地だ。あなたがそれを望み、想像するのであればそのようになるだろう。

 もし世界が終わることを知らない少年が一人で死ぬことをかわいそうに思うのなら、母親が駆けつけてもいいし、山田君も学校をサボっていて、二人でゲームをしたっていい。

 世界が滅びること自体が嫌であるのなら、特異な力を持つ少年がその力を覚醒させて世界を救ってもいいし、魔法使いの青年が本当に世界を救っていて、夢オチみたいな夢を気絶して見ていたことにしてしまってもいい。

 あなたが何を想像するかは、あなたの自由だ。あなたの望む想像で世界の余白を埋めてほしい。

 今までだってそうしてきたはずだ。私はこの世界では出来るだけ容姿の描写は避けてきた。だからあなたは好きなようにその容姿を想像出来た。

 例えば最終話の叶翼。あなたはどんな容姿に想像しただろう。実は彼女は……そう、女の子だ。一人称が僕だったから、きっとあなたは男の子を想像していたのではないだろうか。それは言葉にして明言しなければ、性別すらあなたが好きなように想像することが出来るということ。

 確かにこの世界は私が想像し、生み出した。しかしあなたがそれを受け取ってくれたのなら、この世界はもう私の手から離れ、あなたのものだ。ただ言葉を追っているだけだったとしても、私が思い描いたものとはどこか違った世界になっていることだろう。私が作ったのだから、私が正しいということはない。あなたにとって、あなたの世界こそが正しい姿だ。全ての登場人物は、あなたの心に触れることで私だけでなく、あなたの分身にもなり得る。私が想像したときとは、きっともう別人だ。

 もし良かったら、それをふまえて、もう一度最初からこの世界に触れてみてほしい。いつだっていい。あなたが変われば、そのたびにこの世界もまた違う形を見せてくれる。世界を変えるのはいつだってあなたの想像で、あなたの言葉なのだから。
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みんなの感想(1件)

ポチ
2024.05.11 ポチ

私はスマホで読んでいるのですが、最終話の1と2が左によって小さくなっていて見にくいです。

鈴木りんご
2024.05.12 鈴木りんご

読んでいただきありがとうございます。
文字数が多いからかもしれないので、さらに話を分割してみます!

解除
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