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.遠征なんて無理っ!絶対無理っ! 7
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からかい続けるリノに別れを告げて、女の園を出た。
別に、ハオが俺のことをどう思ってるかなんてどうでもいい。
ただ、なんにもできない俺のために、ハオがなんかしてくれるのが申し訳ないなと思うだけだ。
アンダーウォーカーだからって、なんかしたわけでも、この先できるわけでもないからなっ!
ぷりぷりしたまま、ジジと一緒に寝室に戻ると、すでにハオが帰ってきていた。
「おかえり、マナ」
「お、おお。ただいま……」
日の明るいうちにハオに会うのは久しぶりだし、おかえりなんて言われるのもはじめてで面食らう。
「ちょうどよい素材が見つかった。明日には取り付けられるだろう」
「そっか。よかったな」
「もっと喜ぶかと思ったんだが」
「……別に、窓なんてなくたってかまわねぇよ」
どうせ外の景色なんて似たり寄ったりだしな。
「なんだ。俺に抱き着いて眠るほうが良いのか? ならこのままでも――」
「違ぇし! どうせ窓があったってお前が抱き着いてくるんだから同じじゃん!」
ああもうっ!
さっきリノにからかわれたことといい、ハオにまでからかわれて腹立つ。
窓があったところ、トタンが仮置きされていたところには、小柄なおっさんがなにやら作業をしていた。
俺はそれを見に行くフリをしてハオから離れた。
トタンがないから、めちゃくちゃ怖い。けど怖いもの見たさで覗き込む。
おっさんは、レンガを組んでいた。
「大きさは小さくなるが、より頑丈なものができるはずだ」
せっかく離れたのにハオが俺の後ろに立って教えてくれた。
塔の壁は結構な厚さがあって、コンクリみたいだ。
ところどころ、鉄筋が入っている。
なのに、おっさんが手にしているレンガは土っぽい。日干しレンガみたいな粗雑なものだ。
「……なんかちぐはぐなんだよなぁ」
「なにがだ?」
「いやだって、こんな高い建物作れたのになんでレンガはあんな脆そうなんだよ。ここってお前らの先祖が建てたんじゃないの?」
「さあ……。昔からあるらしいが。サイ、何か知ってるか?」
ハオに問われたサイも、首を横に振った。
「遺跡にも似たような建物がたくさんありますが、私たちではどう作られているのか理解の外ですね」
「ここ以外にもあるんだ?」
「いくつかの村にはここと同じくらいの高い建物が残っているところもありますが、ほとんどは地下ですね」
これもオーパーツってことかな。
ん-。
なんか気持ち悪い。
あんまり考えたくはないんだけど……。
もう一度、窓の外を覗き込もうとしたら、ハオに引っ張られた。
「落ちるぞ」
「だいじょうぶだよ」
「前にも落ちかけたのを忘れたのか?」
ハオの腕の力が強くなる。
「痛いんだけど」
「あの時、俺ははじめて怖いと思った」
「あの時って、俺が落ちそうになったとき? なんで? お前が落ちるわけじゃないじゃん」
ヘダに襲撃された時、俺がこの窓から落ちかけたときのことを言ってるんだろうけど、落ちるのは俺でハオじゃない。あんときは、獣に襲われるって怖くてそれなら落ちたほうが楽なんじゃない? って思ったときだ。
「……俺にもわからん」
「わかんねぇのかよ」
ハオにわかんねぇのに、俺にわかるわけない。
抱えられたまま、ふたりで頭を捻ったけど、答えは結局見つからなかった。
別に、ハオが俺のことをどう思ってるかなんてどうでもいい。
ただ、なんにもできない俺のために、ハオがなんかしてくれるのが申し訳ないなと思うだけだ。
アンダーウォーカーだからって、なんかしたわけでも、この先できるわけでもないからなっ!
ぷりぷりしたまま、ジジと一緒に寝室に戻ると、すでにハオが帰ってきていた。
「おかえり、マナ」
「お、おお。ただいま……」
日の明るいうちにハオに会うのは久しぶりだし、おかえりなんて言われるのもはじめてで面食らう。
「ちょうどよい素材が見つかった。明日には取り付けられるだろう」
「そっか。よかったな」
「もっと喜ぶかと思ったんだが」
「……別に、窓なんてなくたってかまわねぇよ」
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「なんだ。俺に抱き着いて眠るほうが良いのか? ならこのままでも――」
「違ぇし! どうせ窓があったってお前が抱き着いてくるんだから同じじゃん!」
ああもうっ!
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窓があったところ、トタンが仮置きされていたところには、小柄なおっさんがなにやら作業をしていた。
俺はそれを見に行くフリをしてハオから離れた。
トタンがないから、めちゃくちゃ怖い。けど怖いもの見たさで覗き込む。
おっさんは、レンガを組んでいた。
「大きさは小さくなるが、より頑丈なものができるはずだ」
せっかく離れたのにハオが俺の後ろに立って教えてくれた。
塔の壁は結構な厚さがあって、コンクリみたいだ。
ところどころ、鉄筋が入っている。
なのに、おっさんが手にしているレンガは土っぽい。日干しレンガみたいな粗雑なものだ。
「……なんかちぐはぐなんだよなぁ」
「なにがだ?」
「いやだって、こんな高い建物作れたのになんでレンガはあんな脆そうなんだよ。ここってお前らの先祖が建てたんじゃないの?」
「さあ……。昔からあるらしいが。サイ、何か知ってるか?」
ハオに問われたサイも、首を横に振った。
「遺跡にも似たような建物がたくさんありますが、私たちではどう作られているのか理解の外ですね」
「ここ以外にもあるんだ?」
「いくつかの村にはここと同じくらいの高い建物が残っているところもありますが、ほとんどは地下ですね」
これもオーパーツってことかな。
ん-。
なんか気持ち悪い。
あんまり考えたくはないんだけど……。
もう一度、窓の外を覗き込もうとしたら、ハオに引っ張られた。
「落ちるぞ」
「だいじょうぶだよ」
「前にも落ちかけたのを忘れたのか?」
ハオの腕の力が強くなる。
「痛いんだけど」
「あの時、俺ははじめて怖いと思った」
「あの時って、俺が落ちそうになったとき? なんで? お前が落ちるわけじゃないじゃん」
ヘダに襲撃された時、俺がこの窓から落ちかけたときのことを言ってるんだろうけど、落ちるのは俺でハオじゃない。あんときは、獣に襲われるって怖くてそれなら落ちたほうが楽なんじゃない? って思ったときだ。
「……俺にもわからん」
「わかんねぇのかよ」
ハオにわかんねぇのに、俺にわかるわけない。
抱えられたまま、ふたりで頭を捻ったけど、答えは結局見つからなかった。
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