世紀末な転移先で覇王に捕まりました〜この世界で生き抜くなんて無理っ!絶対無理っ!〜

三谷玲

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.遠征なんて無理っ!絶対無理っ! 5

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「あんた、また来たの? アンダーウォーカーって、暇なんだな」

 入口までジジに連れてきてもらって入った先で、いきなり子どもに喧嘩を売られた。

「えっと、ハルくんだっけ? なにしてるの?」

 たしか、レンといっしょにいた子だ。
 左手にたくさんの枝を抱えている。

「仕事だよ。無駄に伸びた枝をはらってるんだ」
「子どもなのに偉いな」
「あんたは、おとなのくせに働きもしないのかよ」

 ぐはっ!
 痛いところを突かれた。
 いや、俺にできることがあればしたいよ?
 アンダーウォーカーなんて言われたって、なんも、できねぇし。それなら雑用でもしたほうが、よっぽど役立てる気がするけど、力じゃ多分この子より負けてる。
 だっていまハルくんが抱えてる枝、全部持てるとはとうてい思えない量だからな。

「て、手伝う」
「いいよ。あんたに手伝わせたってバレたら、リノに怒られる。それより、何しに来たの?」

 木立の間に落ちてる枝を拾いつつ、ハルくんが先を歩く。

「リノにユウの、前のアンダーウォーカーのこと聞きたくて。レオを覇者にしたって、ほんとなのか?」

 アンダーウォーカーを手に入れた者は覇者になる。その言い伝え通りならユウを手に入れたレオは、どうやって覇者になったのか。
 ユウはこの女の園を作って、そこからほとんど出ることはなかったはず。
 この世界を統一したレオはどんなやつで、なにをしたのか。
 それがわかれば、俺の役割もわかるかもしれない。
 子どもに、ニートと思われることもない。

「レオ様を疑うのか?」

 振り返ったハルくんに、殺気だった目でギロリと睨まれる。こ、こわいっ!

「違う違うっ! そうじゃなくてさ! 覇者って結局なんなのかとか、ユウはなにしたのかって! 俺は……俺はアンダーウォーカーなんて言われても、なんもできねぇし。俺のせいでハオが覇者になれなかったら、悪いじゃん?」

 慌てて言い訳する俺に、ハルくんは「は?」と訝しげな声をあげた。

「覇者になるのはハオ様の仕事。別にアンダーウォーカーがなにかするわけじゃねえよ。アンダーウォーカー手に入れたからって、なんもしないでなれるわけないじゃん」
「じゃあなんのための言い伝えなんだよ」
「これまでの覇者が全員アンダーウォーカーを手に入れたからそう言われてるだけじゃねぇの? ロウ様だってそりゃ強くて人格者だったらしかったけど、覇者にはなれなかったし、その前の首領だってそう」
「たまたまってこと?」
「いや、違うな。オレが思うに、アンダーウォーカーと共にいることで、覇者としての自覚や才能が開花すんだよ。手入れをしなきゃ、保てないこの林みたいなもんでさ」

 そう言ってハルくんが、枝を打ち払う。
 スパッと切れた枝が突き刺さった地面に、明るい光が差し込んだ。

「だからハオ様に早く言ってくれよ。遠征してダワラのやつらを倒してくれってさ」

 遠征?
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