世紀末な転移先で覇王に捕まりました〜この世界で生き抜くなんて無理っ!絶対無理っ!〜

三谷玲

文字の大きさ
上 下
54 / 70

.遠征なんて無理っ!絶対無理っ! 4

しおりを挟む
 今日も地図作り。
 というのも、今朝俺の書いた地図を見たハオが自分の分も欲しいって。
 仕方ないのでもう一枚書くことに。
 カタカナは出来るだけ、こちらの字に似せて書くことにした。

「イなんか完全にTじゃん」

 慣れないけど、ハオが読むなら読みやすいほうがいいもんな。
 カタカナとの違いを楽しみながら、書き写していく。
 きっと、俺の何代か前のアンダーウォーカーって思われた転移者が教えたんだろう。
 質悪な筆でも書きやすいように簡略化したのかもしれない。

 なんかちぐはぐなんだよな。
 こんな高い建物や、人力とはいえエレベーターがあるのに、識字率は低い。現に俺の作業を横で退屈そうに見ているジジは、まったく読めない。
 ハオが探しに行ってるガラスじゃない透明の板。誰が作ったんだろうな。
 言語チートかなとも思ったけど、口の形見る限り、こいつらがしゃべってるの日本語っぽいんだよな。
 俺のまったく知らないゲームとか小説世界に転移した?

「んーわからん!」
「……っ! どうしたんでさ、いきなり大声あげて」

 半分くらい眠っていたジジが、驚いた声をあげた。

「ごめん起こして。いや、なんで俺ここにいんのかな? って」

 だって知らないゲームに転移なんて意味なくない?
 この先の展開なんて、まったくわかんないし、チートにならんのに転移させられてもなぁ。

「そりゃハオ様を覇者にするためでさぁ」
「そうじゃなくて!」

 ジジが答えられるとは思ってなかったけど、意味も取り違えられていた。
 アンダーウォーカーを手に入れたからってほんとに覇者になんてなれるのかなぁ?

「あ、でもさ。二百年前はどうだったの? やっぱり分裂してたのをレオだっけ? ユウが彼を覇者にしたの?」

 過去のアンダーウォーカーはたぶんみんなトリッパーで、ユウにいたってはおそらくただの女子高生だ。
 なにか能力があったようには思えない。
 それなら手帳に書いているはずだ。
 ということは、彼女を手に入れたレオが覇者になったのは、単にレオが強かっただけかもしれない。

「わしゃよく知らんで、そういうのはリノが詳しいでさぁ」
「リノか。でも、女の園って簡単には行けないよな?」
「マナ様なら、男と思われておりませんから、問題ありゃせんさね」
「ひどくない? それ、ひどくない?」
「ヒヒャヒャヒャ! 冗談でさぁ。アンダーウォーカーなら自由に出入りしても怒られはしゃせんさね」

 くそ。
 サイといいジジといい、俺のことからかいやがって。アンダーウォーカーって偉いんじゃないの?
 いや、敬えとか讃えろとか言わないけどさぁ……。
 まぁいいや。注目集めるのも好きじゃないし、なんかできるわけでもないしな。

 もう少しで地図も、書き終わるし、行ってみるか。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

田舎育ちの天然令息、姉様の嫌がった婚約を押し付けられるも同性との婚約に困惑。その上性別は絶対バレちゃいけないのに、即行でバレた!?

下菊みこと
BL
髪色が呪われた黒であったことから両親から疎まれ、隠居した父方の祖父母のいる田舎で育ったアリスティア・ベレニス・カサンドル。カサンドル侯爵家のご令息として恥ずかしくない教養を祖父母の教えの元身につけた…のだが、農作業の手伝いの方が貴族として過ごすより好き。 そんなアリスティア十八歳に急な婚約が持ち上がった。アリスティアの双子の姉、アナイス・セレスト・カサンドル。アリスティアとは違い金の御髪の彼女は侯爵家で大変かわいがられていた。そんなアナイスに、とある同盟国の公爵家の当主との婚約が持ちかけられたのだが、アナイスは婿を取ってカサンドル家を継ぎたいからと男であるアリスティアに婚約を押し付けてしまう。アリスティアとアナイスは髪色以外は見た目がそっくりで、アリスティアは田舎に引っ込んでいたためいけてしまった。 アリスは自分の性別がバレたらどうなるか、また自分の呪われた黒を見て相手はどう思うかと心配になった。そして顔合わせすることになったが、なんと公爵家の執事長に性別が即行でバレた。 公爵家には公爵と歳の離れた腹違いの弟がいる。前公爵の正妻との唯一の子である。公爵は、正当な継承権を持つ正妻の息子があまりにも幼く家を継げないため、妾腹でありながら爵位を継承したのだ。なので公爵の後を継ぐのはこの弟と決まっている。そのため公爵に必要なのは同盟国の有力貴族との縁のみ。嫁が子供を産む必要はない。 アリスティアが男であることがバレたら捨てられると思いきや、公爵の弟に懐かれたアリスティアは公爵に「家同士の婚姻という事実だけがあれば良い」と言われてそのまま公爵家で暮らすことになる。 一方婚約者、二十五歳のクロヴィス・シリル・ドナシアンは嫁に来たのが男で困惑。しかし可愛い弟と仲良くなるのが早かったのと弟について黙って結婚しようとしていた負い目でアリスティアを追い出す気になれず婚約を結ぶことに。 これはそんなクロヴィスとアリスティアが少しずつ近づいていき、本物の夫婦になるまでの記録である。 小説家になろう様でも2023年 03月07日 15時11分から投稿しています。

オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる

クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

グラジオラスを捧ぐ

斯波良久@出来損ないΩの猫獣人発売中
BL
憧れの騎士、アレックスと恋人のような関係になれたリヒターは浮かれていた。まさか彼に本命の相手がいるとも知らずに……。

転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!

音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに! え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!! 調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。

処理中です...