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.女に襲われるなんて無理っ!絶対無理っ! 9
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本人ににらまれながら食べたシカ肉は、思いの外おいしかった。ちょっとクセはあるけど、赤身のステーキみたい。
「うまいな」
「ふだんの干し肉とは違って、捕れたては格別にうまいんだ」
俺が一口サイズに切ってもらってるのに対して、ハオは骨付き肉にかぶりついていた。うん、ワイルド。
祝の宴ということで、俺らは広場の一段高いところで飯を食ってるんだけど、男たちはわいわい叫びながら肉と酒をかっくらっていた。
俺も一口もらったけど、甘くてのどが焼ける、むちゃくちゃ度数の高い酒だった。
「この酒、なにでできてるの?」
「イモですよ。北の森との間にイモが採れる村があるので、そこで作らせています」
「あぁ、芋焼酎の味か」
せっかくの酒だけど、得意じゃないんだよな。残りをハオに押し付けると、水のように一気に煽った。顔色もまったく変わらず、またシカ肉を頬張っていた。
リノにもらったパンとシカ肉をもぐもぐと食べながら、下にいる男たちの様子を見ていたら、隣でふっと笑う気配がした。
「食べられるようになったな」
「え?」
「いや、ジジからマナの食が細いと聞かされていたからな。それだけ食べられれば、だいじょうぶだ」
そういや、風呂事件からヘダ襲撃までいろいろあってあんまり食ってなかった。
心配、してくれたんだ。
なんか、変な感じ。
俺様なハオが? 心配?
ぽかんとしている目の前で、ハオは食いちぎった肉をひとつまみ、俺の口の中に放り込んだ。
「ここが、一番うまいんだ」
そう言われて噛んでいると、口の中に肉汁が広がった。部位はわからないけど脂がのっているところみたいだ。
あっという間に口の中で溶けて、なくなっていた。
「お仲がよろしくて結構です、クククッ」
サイの一言で、気づいた。
俺はなにを餌付けされているんだ!
あーん、じゃないっ! あーんじゃ。
勝手に放り込まれたから、食べただけで、バカップルみたいなことしたわけじゃないっ!
途端に恥ずかしくなって、手を伸ばした先にあったグラスを手にした。
「マナっ! それは――」
「ぐあっ! 酒なの忘れてた!」
ハオが止めるのも間に合わず、一気に煽るとかぁっと熱くなる。
頭がふわふわしてきて、視界がボヤける。
「……あぁなんか変なもんが見えてきた」
キャンプファイヤーを囲んで騒いでいた男たちが裸に見える。
いくら火があっても、夜は寒いのにバカなの?
しかもなんか勃起してない?
あーあっちじゃ、シコりあって……。
「って! 乱交じゃん!」
むっさいおっさんどうしが、完全に合体してるのまで見えて思わず叫んだ。
「宴の醍醐味だからな」
「なんなのそれっ! いくらなんでもオープン過ぎないっ? 理性どこいったのっ? 無理っ! こんなの見てられないっ! 俺、帰るっ!」
そりゃ、俺たちがしてるのを平然と見てるわけだ。
すくっと立ち上がったつもりが、ぐらりと揺れて、ハオに抱えられてしまった。けど、もうこの場から早く離れたい。
されるがままに、寝室まで運んでもらうことにした。
「うまいな」
「ふだんの干し肉とは違って、捕れたては格別にうまいんだ」
俺が一口サイズに切ってもらってるのに対して、ハオは骨付き肉にかぶりついていた。うん、ワイルド。
祝の宴ということで、俺らは広場の一段高いところで飯を食ってるんだけど、男たちはわいわい叫びながら肉と酒をかっくらっていた。
俺も一口もらったけど、甘くてのどが焼ける、むちゃくちゃ度数の高い酒だった。
「この酒、なにでできてるの?」
「イモですよ。北の森との間にイモが採れる村があるので、そこで作らせています」
「あぁ、芋焼酎の味か」
せっかくの酒だけど、得意じゃないんだよな。残りをハオに押し付けると、水のように一気に煽った。顔色もまったく変わらず、またシカ肉を頬張っていた。
リノにもらったパンとシカ肉をもぐもぐと食べながら、下にいる男たちの様子を見ていたら、隣でふっと笑う気配がした。
「食べられるようになったな」
「え?」
「いや、ジジからマナの食が細いと聞かされていたからな。それだけ食べられれば、だいじょうぶだ」
そういや、風呂事件からヘダ襲撃までいろいろあってあんまり食ってなかった。
心配、してくれたんだ。
なんか、変な感じ。
俺様なハオが? 心配?
ぽかんとしている目の前で、ハオは食いちぎった肉をひとつまみ、俺の口の中に放り込んだ。
「ここが、一番うまいんだ」
そう言われて噛んでいると、口の中に肉汁が広がった。部位はわからないけど脂がのっているところみたいだ。
あっという間に口の中で溶けて、なくなっていた。
「お仲がよろしくて結構です、クククッ」
サイの一言で、気づいた。
俺はなにを餌付けされているんだ!
あーん、じゃないっ! あーんじゃ。
勝手に放り込まれたから、食べただけで、バカップルみたいなことしたわけじゃないっ!
途端に恥ずかしくなって、手を伸ばした先にあったグラスを手にした。
「マナっ! それは――」
「ぐあっ! 酒なの忘れてた!」
ハオが止めるのも間に合わず、一気に煽るとかぁっと熱くなる。
頭がふわふわしてきて、視界がボヤける。
「……あぁなんか変なもんが見えてきた」
キャンプファイヤーを囲んで騒いでいた男たちが裸に見える。
いくら火があっても、夜は寒いのにバカなの?
しかもなんか勃起してない?
あーあっちじゃ、シコりあって……。
「って! 乱交じゃん!」
むっさいおっさんどうしが、完全に合体してるのまで見えて思わず叫んだ。
「宴の醍醐味だからな」
「なんなのそれっ! いくらなんでもオープン過ぎないっ? 理性どこいったのっ? 無理っ! こんなの見てられないっ! 俺、帰るっ!」
そりゃ、俺たちがしてるのを平然と見てるわけだ。
すくっと立ち上がったつもりが、ぐらりと揺れて、ハオに抱えられてしまった。けど、もうこの場から早く離れたい。
されるがままに、寝室まで運んでもらうことにした。
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